Adobe Digital Insights: ブランド企業は、消費者に提供する「体験」を向上させていると考えているが、消費者はそう感じていないことが明らかに

今日のマーケティングは、かつての「数撃てば当たる」方式から大きく進歩したとはいえ、ブランド企業の多くはいまだに有意義な広告体験を消費者に提供できていないようです。

アドビが消費者1,000人とデジタルマーケター300人に対して実施したAdobe Digital Insights(ADI)調査によると、広告の効果に関する認識において、消費者とブランド企業の間には隔たりがあることが明らかになりました。ブランド企業の58%が、消費者に役立つ広告を提供する能力が向上していると考えていますが、残念なことに、それに同意する消費者の割合は38%でした。

ADIのプリンシパルアナリストであるタマラ ガフニー(Tamara Gaffney)は次のように述べています。「ブランド企業が消費者に役立つ広告を提供しようとする取り組みは大きく進歩してきてはいますが、この20%の隔たりは、これまでの取り組みが十分ではないということを表しています。ブランド企業はほんの一瞬で顧客に価値を証明することが求められていますが、まだそれができるような体制になっていないのです。」

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調査結果によると、全ての異なる年齢層で、カスタム化されたコミュニケーションや体験に興味を持っている顧客が、そうでない顧客より多いことがわかりました。しかし、18歳から49歳までの50%以上が自分の好みや関心に基づいた広告を望んでいるという事実にも関わらず、マーケターはカスタム化の期待に十分応えていないと、消費者が回答していることも分かりました。

それでは、なぜカスタム化が進んでいないのでしょうか? 原因は、組織やテクノロジーの断片化にあるとADIは分析しています。

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そのことについて、ガフニーは次のように述べています。「組織自体の断片化により、テクノロジーも断片化しており、広告の最初の5秒間を進化させることが難しくなっています。この5秒間に、関連性のある適切な広告を提供しなければなりません。マーケターが消費者の時間やアテンションを競い合う中で、適切なデジタル体験を提供することができれば、競合他社から抜きんでることができます。」

米国のインターネット普及率が比較的横ばいになっているため、新しいトラフィックの獲得競争が激しさを増していることがADIの調査結果からわかっています。米国のwebサイトの訪問総数は過去3年間で0.4%減少しました。一方、デジタル広告の費用はあらゆるチャネルにおいて平均12パーセント増加しており、この増加率はインフレ率の5倍の速さです。

https://blog.adobe.com/media_64d0b10ce2a53a78cd7bcbb56ab14edda35d7e70.gifブランド企業は広告の費用に見合う効果を得ているのでしょうか? ADIによると、広告主は、検索への支出を42%増やしましたが、サイトの訪問者数は11%しか増加していません。さらに、消費者がwebサイトで費やす時間は前年比22秒減(6%減少)であったことがADIで分かっています。

https://blog.adobe.com/media_4f44c6afdd6543c6f5bdfb4d6c3b7104351d4faf.gifまた、TV Everywhere (TVE) やモバイルの視聴者数が増加しており、デジタルビデオに大きな機会があることが浮き彫りにされました。Adobe Primetimeのデータによると、TVEビデオの視聴回数は過去2年間で102%増加し、TVEのユーザーは110%増加しました。

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ガフニーは次のように説明しています。「現在、マーケターはロイヤルカスタマーを逃さないようにするだけでなく、競合他社からお客様を効率的に獲得しなければならないという強いプレッシャーを感じています。我々は、新しい顧客獲得のためには、新しいチャネルが鍵となると予測しています。」

さらに、ADIは、デジタルチャネルの台頭に伴い、クリエイティブの役割が変化していることについても掘り下げています。主要な調査結果として、データがクリエイティブコミュニティの新たなトレンドとなっていることが分かりました。データやテクノロジーの能力を必要とするクリエイティブの仕事に対する関心は、54%増加しました。それに対して、従来のクリエイティブの仕事に関する関心は27%しか上昇していません。アドビが運営するクリエイター向けのポートフォリオサイトであるBehanceのデータによると、2016年第4四半期のクリエイティブの仕事リストの中で、データやテクノロジーの能力が必要な仕事は32%を占めています。

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ガフニーは次のように語っています。「我々が知るマーケティングの世界が変化しつつあるということは紛れもない事実です。その中で勝者となるには、カスタマージャーニーの全ての点において、関連のあるカスタマイズされた一貫性のあるコミュニケーションを提供できる技術と能力を持った企業であるべきでしょう。」

本調査の詳細は、以下のSlideshareをご覧ください。

**Digital Advertising Report 2017 **from Adobe

※本ブログは、2017年3月21日に米国で公開されたCMO.com記事の抄訳版です。