ビジュアルトレンド:上空からの眺め

by Ryusei Yoshimoto

Posted on 04-12-2017

連載

Adobe Stock ビジュアルトレンド

今年のスーパーボウルでは2つのチームが繰り広げる熱戦もさることながら、あのドローンの「群れ」に釘付けになった方も大勢いらっしゃるとおもいます。数百ものドローンが光を放ち、レディー・ガガのハーフタイムショーの間、夜空を華やかに彩りました。昨年の全米オープンでも見られたように、ドローンがスポーツイベントに輝きを添えたり、選手の動きを新鮮な視点でとらえたりすることが頻繁におこなわれています。

これは大きなトレンドの中のひとつの動きです。以前に比べ、ドローンがどこにでもある存在になり、人々はその機能を用いてさまざまな試みを行っているのです。クリエィティブ業界で見ると、空撮写真における「創造性の大爆発」とも言うべき胸が躍る状況が生まれています。
ドローンの魅力は、これまで不可能とされてきたアングルで世界を眺めることに尽きます。私たちは長い間、衛生写真やヘリコプター空撮写真を利用してきましたが、ドローンは地上により接近することが可能なため、対象物をさらにつぶさにとらえる能力を秘めています。そのうえ、ほぼどこにでも行くことができ、フォトグラファーが橋やビルに登るくらいでは到底発見することができない眺めをもたらしてくれます。この柔軟性はまさにアーティストにとっての夢。空撮写真家であり、Adobe Stockのプレミアム・コントリビューターでもある Tobias Hägg はこう語っています。「上空からの眺めや、下降する際の眺めはどんなものか、若い頃はよく想像したものです。」そうした視点が現在、彼の作品の中心を成しています。

TOBIAS / ADOBE STOCK

ドローン写真の流行には、ドローンカメラが低価格となったことや技術の安定化、人々が関心を持ち、アーティストたちがインスピレーションを刺激されていることなど、複数の重要な要素が背景にあります。ドローンに挑戦してみたいと考えているフォトグラファーにとっては、まさに好機と言えるでしょう。

空撮写真の需要は好調―さらなる拡がりも

フォトグラファーには最新のテクノロジーをいち早く取りいれる新しもの好きが多く、ドローンカメラの売り上げを見ると、ドローンもその例外ではないことがわかります。昨年はホリディシーズンの割引も手伝って、オンライン上のセールスは前年に比べ 165%の伸びを記録しました。このことから、2017 年はドローン写真が大幅に急増すると見られています。

AURORA PHOTOS / ADOBE STOCK

デザイナーはこのドローントレンドを積極的に取り入れているため、ストック写真・動画の市場は期待が持てます。Adobe Stockでは、ドローン写真の検索数が2015 年の初めから2017 年の初めにかけて5%上昇しました。過去の似たようなトレンドの分析に基づき、ドローンの撮影画像・動画の収益予測を行うと、2017 年はおよそ14%の成長となる見込みです。

思いもよらない、目を奪われる光景を見せてくれる空撮写真に、デザイナーは魅了されるでしょう。つまり、フォトグラファーにとっては、表現方法の限界を押し上げるチャンスが広がっているということです。アウトドア写真、旅行写真専門のフォトグラファーであり、Adobe StockのPremium CollectionのコントリビューターでもあるRyan Longneckerは、作品制作にドローンを利用している一人ですが、このように述べています。

「空撮写真自体はなんら目新しいものではありません。でも、このすばらしい装置の柔軟性と入手のしやすさを考えると、新たな潮流の先端を目指すなら、装置について学び、スタイルを発展させていく必要があるでしょう。価格が手頃なので、いずれ愛好家たちがプロと並んで活躍するようになりますから、プロも腕を磨き、チャレンジ精神を持ち、大胆でなければなりません。」

RYAN LONGNECKER / ADOBE STOCK

感情を揺さぶる力を持つドローン写真

昨年最も話題となった空撮写真は、鑑賞者の感情に訴えかける作品です。Ryanの views of the sea(海の眺め)の画像のような、やや引きでとらえた風景が私たちに安らぎを与えてくれた一方、ドローンが写すストーリーには、心が痛むような、厳しい現実を突きつけるものもありました。たとえば、ケープタウンを拠点とするフォトグラファー、Johnny Miller の「Unequal Scenes(不平等な風景)」シリーズは、南アフリカの貧富の差を表現しています。彼はドローンを使い、富める者と貧しい者の生活に見られる、言葉を失うほどの経済的、物質的格差を写真に切り取り、アパルトヘイトにより引かれた線が今もなお人々の生活に与えた影響を伝えています。

Nairobi, photo by Johnny Miller.

ソーシャルメディアを分析すると、空撮写真の感情に訴える力が浮き彫りになります。ソーシャルメディアでは一年を通じ一定の割合で――春と秋にやや増えます――ドローン写真に関して言及されており、昨年度のSNS上の感情は総じてポジティブなものでした。ただし、「Unequal Scenes」が注目を集めだした 6 月頃は、目に見えてネガティブな感情に変わっています。これは一連の写真が鑑賞者に、感情を深く揺さぶるような影響を及ぼしたことを示唆しています。
いうまでもなく、他のあらゆる写真技術と同様、対象にカメラを向けてシャッターを押すだけでは、心に訴えかけるような空撮写真は撮れません。念入りな計画が必要です。Tobias の息をのむほど美しいアイスランドの画像ができあがるまでには、まずGoogle Earthで調査を行い、撮影場所とシーンのプランを立てた後、光とテクスチャの完璧な融合が見られる瞬間を待たなければなりませんでした。
Ryan によれば、優れた空撮写真家なら、芸術表現としての独自性を考慮する必要があるとのこと。「多くのドローン/空撮写真には 2 次元性が見られるので、フレームを絵画のキャンバスとして考えると、人を感動させるような画像が生まれやすいでしょう。また、空中でのアングルにばかりこだわるより、その写真の題材は何かを認識することが、プロとアマチュアを分けるもう一つの要素だと思います。それは線の反復だったり、目立つ長い影だったり、あるいはランドマークの場合もあります」

SAMUEL BORGES / ADOBE STOCK

ドローン写真の今後とは?

ドローン写真はまだ誕生してまもないジャンルであり、Ryan はさまざまな可能性を想像しています。「上空で撮影された360 度の壮大なイメージは、インタラクティブに鳥瞰的な視点を見せてくれたり、天候に対応するドローン装置が開発されれば、激しい気象現象の驚異的なショットを撮れるようになるのではないかと思います」
捜索救助や危険な場所の探検においても、ドローンは注目すべきトレンドであり、フォトグラファーがこうした活動の撮影にどう関わるようになるのか、その動向を追っていくのも面白いかもしれません。そして、Johnny Miller の作品が示唆しているように、社会問題への取り組みにおいても、ドローン写真はさまざまな可能性を秘めています。Ryan も同様に考えています。「環境保護の必要性を強調するために、みんながドローンの写真や動画を活用していけるようになると良いですね。溶けだすアイスキャップ(氷河の塊)、浸食されていく景色、汚染などにスポットを当てていくのです。数年後には、上空から環境運動が起こるかもしれません」

PETER / ADOBE STOCK

いかがでしたか?今後のブログでは、ドローン写真の持つ社会的、政治的なパワーをクローズアップし、特集アーティストAlexPalazziがドローンにインスパイアされて制作したデジタルアート作品をご紹介します。息をのむほどの美しい眺め、考えさせられる光景をさらにご覧になりたい方は、こちらのギャラリーをどうぞ。

また、ドローンブームに興味が湧き、挑戦してみたいという方は、RyanとTobiasによるドローン撮影のコツをぜひご一読ください。ご自身の作品をAdobe Stockで販売するには、コントリビュータープログラムをご確認ください。皆さまからの作品をお待ちしております!(この記事は2017年2月15日に Adobe Stock Team により作成&公開されたFebruary Visual Trend: View From Aboveの抄訳です)

Topics: Stock, クリエイティブ, デザイン, フォト, UI/UX & Web, ビデオ

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