デジタル変革のスタートは「紙に依存したプロセス」の脱却から【前編】PDFが支えるデジタルトランスフォーメーション #AcrobatDC

ペーパーレス化だけがゴールではない。業務効率化を見据えた「紙のデジタルトランスフォーメーション」が、真のデジタル変革を進める一歩に最適な理由とは。

デジタルトランスフォーメーションを小さく始めてみよう

デジタル技術の発展はめざましく、その能力は20~30年前と比べると途方もないほどに進化した。CPUやストレージ容量、ネットワーク帯域、モバイルデバイスなど一般の消費者が、強力なデジタル技術を手軽に活用できるようになっている。

商品やサービスを提供する企業がこの潮流に乗ることができなければ、競争力は低下し、生き残りが困難になることは必至だ。タクシーを1台も持たずに世界的タクシー企業となったUberや、ホテルを一棟も持たずに世界的ホテル企業になったAirbnbの例を見れば、それは明らかだろう。末永く安泰と思われていた事業や企業が、新しい考え方やイノベーティブな手法に存在すら脅かされるのが、現代のビジネスなのだ。
そこで重要な要素となるのが、クラウドやモバイル、ソーシャル、ビッグデータといった「第3のプラットフォーム」を積極的に取り入れて新しい価値を生み出していく「デジタルトランスフォーメーション」の考え方である。デジタルトランスフォーメーションを実践し、イノベーションを起こすことができれば収益向上につながる可能性がある。

しかしデジタルトランスフォーメーションはまだ新しい概念であり、ハードルが高い。そこで、一部の業務からデジタル化を進めて、デジタルトランスフォーメーションをスモールスタートし、まずはその成功体験を積み重ねることから始める企業が増えつつある。

アドビ システムズ(以下、アドビ) 次のように述べる。「デジタルトランスフォーメーションは、単なるデジタル化ではありません。デジタル化によって、顧客や従業員の“体験”(エクスペリエンス)を向上させることが肝要です。当然、全ての事業で一斉に実践するのは困難です。効果が分かりやすく、導入しやすい分野として“ドキュメントワークフロー”を取り上げています。まずはデジタルトランスフォーメーションを、小さく始めることでその取り組みを広げられる企業が現れ始めています。」

なぜ紙は100%削減できないのか

ドキュメントのデジタル化と言えば、「ペーパーレス化」というキーワードを想像する読者は少なくないはずだ。既に多くの企業が紙や印刷コスト削減のためのペーパーレス化を実践して、一定の効果を上げている。

しかし業務を思い返してみると、全ての紙をデジタル化できているわけではない。いまだに紙に依存したワークフローが残されていないだろうか。

「定型的なルーティンワークはシステム化が容易です。しかし非定型の業務や外部組織との取引などでは、納品書や請求書、契約書といった紙のドキュメントでやりとりしている企業は多いです。当社のアンケート調査でも、80%以上の企業が“ビジネスプロセスが紙に依存している”と回答しています。紙のドキュメントは、控えを印刷したり、郵送したりといった作業も必要で、プロセスが分断されて非効率であることは想像に難くありません」(アドビ)

ここで重要なことは、デジタルトランスフォーメーションが単なるペーパーレス化ではないということである。第3のプラットフォームを活用し、ドキュメントワークフローそのものをデジタル化することで、情報のサイロ化やプロセスの分断を解消できるのだ。

そこでアドビは、ドキュメントワークフローのデジタルトランスフォーメーションを容易に実践する手法として「Adobe Document Cloud」の導入を推薦する。****

既存のワークフローを大きく変えずにデジタル化

Adobe Document Cloudは、紙のドキュメントをPDF形式でデジタル化する「Adobe Acrobat DC」と、署名やドキュメントのやりとりを含むドキュメントワークフローをクラウドで管理する「Adobe Sign」の2つを主要コンポーネントとして構成している。Adobe Signは、ドキュメントワークフローのデジタルトランスフォーメーションを推進するキーとなるコンポーネントだ。

https://blog.adobe.com/media_8c84f6a8aa56d4b42c2c00eaa08f50f432e55acd.gifAdobe Signは、Adobe Document CloudでPDFベースのドキュメントを管理しつつ、メールベースで書類と署名のやりとりができる。署名をする相手方は、メールとWebブラウザが利用できる環境さえあればよく、アカウントの開設や特定アプリケーションのインストールなどは必要ない。

ドキュメントのステータスをクラウドで管理し、完全にトラッキングすることが可能で、紙の書類が郵送されるのを待つ必要はない。署名されたドキュメントは自動的にセキュリティ設定が施され、不正な改ざんをすることはできない。Adobe Signのインフラは、厳格なグローバルセキュリティ基準であるPCI DSSにのっとった技術とプロセスが採用されているため、安心して利用することができる。

日本企業では、複数の部門や責任者の署名が必要となるドキュメントワークフローも珍しくない。そこでAdobe Signは、複数人を経由するワークフローを構築することが可能になっている。

「Adobe Signの最大の特徴は、従来の紙ベースのワークフローを、そのままデジタル化できる点にあります。多大な労力をかけてシステムを構築し、従業員に細かな操作を学習してもらう必要がありません。相手先に掛ける負担も最小限で済みますので、比較的容易に既存のプロセスに組み込むことが可能です。またドキュメントワークフローは、実際の仕事のプロセスにかかわるため、デジタルトランスフォーメーションの成果がすぐに実感できます。ドキュメントワークフローを変えることで、従業員の生産性が45%向上した等の調査結果(※)もあります。まずは小さくてもよいので、迅速にデジタルトランスフォーメーションに取り組み、その成果を積み重ねることが重要です」(アドビ)

(後編に続く)

※IDC,「Global Document Processes」2014年11月版

http://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/1611/17/news03.html

TechTargetジャパン 2016年11月17日掲載記事より転載

本記事はTechTargetジャパンより許諾を得て掲載しています。