ビジュアルトレンド:No one is island – 私たちは皆、自然の一部

連載

Adobe Stock ビジュアルトレンド

地球環境について考える日として提案された日 – アースデイ。今回は私たち人類と地球との関係、そして地球に対する我々の責任について考えてみましょう。 実はこの概念、新しいものではありません。1624年、ジョン・ダン (John Donne) が「なんぴとも一島嶼にてはあらず」というフレーズで知られているを書物 “不意に発生する事態に関する瞑想” を発表しました。彼は重い病に倒れ、回復までの間、健康、喪失、痛みについての一連の瞑想と祈りを書き綴りました。

No man is an island,
Entire of itself,
Every man is a piece of the continent,
A part of the main.

何人(なんびと)も孤立した島ではない。いかなる人も大陸の一片であり、全体の一部である。

https://blog.adobe.com/media_0f279cfeb7455cdbd3ca9eab2ef0e21a9bdaf2cd.gif

HIKOLAJ2 / ADOBE STOCK

環境危機が様々なメディアで取り上げられる中、環境に対する企業責任はこれまで以上に重要になり、デザイナーやマーケッターは企業のマーケティング活動に環境保護に対する思いを取り入れるよう努力しています。一体「自然」のビジュアル表現はどのように変化しているのでしょう。Adobe Stockのデータを覗いて、「自然」と「都市」に関連し、どのような画像が求められているのか考察してみたいと思います。

都市 対 自然

当初、データを分析するまでは、「都市」より「自然」の画像を多く検索されていると予想していました。しかし Adobe Digital Insights(ADI)によると昨年、都市と自然、両方の検索数が増加し、都市の検索数は自然の検索数を32%上回りました。

https://blog.adobe.com/media_1a153c869f895fb8ce31b4374502568c6007a886.gif

私たちの予想は見当違いだったのでしょうか。より明確な情報をデータから読み取るために、自然言語処理と我々の経験則を交え、検索されている都市と自然の画像をそれぞれさらに分析してみたところ、非常に興味深いことがわかりました。検索されている都市画像の大半(62%)は、都市と自然の共存をとらえた画像だったのです。 例えば、公園や庭園、川の上にかかった橋、青々と茂る植物に囲まれる建物など・・・。最も検索された都市画像のわずか25%のみが、建物、コンサート会場や壁の落書きなど完全に人工的なものでした。

https://blog.adobe.com/media_8551916154b4e1a68f6787079099e935cb69074f.gif


このように、自然とのバランスを保ちながら存在する人が作り上げた都市風景が好まれるというビジュアルトレンドは、高まりつつある昨今の「都市化」からくるものだと考えます。USの国勢調査局によると、国土面積の97%が地方であるのに対し、そこには人口のたった19.3%しか住んでいないのです。不思議なことに、私たちは圧倒的に都会派でありながら、自然や緑地からは程遠い生活をしているものの、自然界と都会に住む自分たちと人工的建造物とがすべてがつながっていることを証明するビジュアルを求めているのです。

https://blog.adobe.com/media_2680df79aec708017119f2b12d7062877c50c7ca.gif

READYTOGO / ADOBE STOCK

自然は息抜きか、それとも脅威か

「都市」と「自然」の融合したビジュアルの検索数が急増していますが、それでも「自然」そのもののビジュアルも多く検索いただいています。その中で一体どのような画像が特に求められているのかもう少し詳しく見てみましょう。 さて、デザイナーたちは「自然」にどんなメッセージを求めているのでしょうか。自然の持つ恐ろしさやネガティブ要素を求めているのでしょうか。それともストレスフルな日常から逃避するための癒しでしょうか。ADIによると、自然の穏やかさや雄大さなどのポジティブな面を表現した画像の検索数が圧倒的に増えており、自然の破壊的な面(火災、洪水、廃墟など)を表現したネガティブな画像の2倍検索いただいていました。そして検索された自然の画像で自然の脅威をとらえたものはわずか13%でした。

https://blog.adobe.com/media_6fe4fa6c447fda8b67fd0b2492f3a33449da97df.gif

AMENIC181 / ADOBE STOCK

共存

上記分析の結論としては、デザイナーやマーケッターが都市や自然の画像を広い範囲で探しているということですが、その中でも特に都市部と自然とのポジティブな共存をとらえた画像を求めているということが特に注目すべき点ではないでしょうか。自然のネガティブな側面をとらえた画像の検索もあるものの、それはごくわずかで、且つ自然なことです。前述した“何人(なんびと)も孤立した島ではない”という概念、これこそが自然画像の検索を駆り立てるのです。

https://blog.adobe.com/media_23ff997ccfefa5688a0c6af97fde37f5214d7a61.gif

JACOB LUND / ADOBE STOCK

今月は自然と写真に焦点をあて、旅行画像のトレンドを詳しく見ていきます。インスピレーショナルな画像を集めたギャラリーはこちらからどうぞ。(この記事は2017年4月19日に Adobe Stock Team により作成&公開されたApril Visual Trend: No Man is an Island の抄訳です。)