フリーランス必見!「デザイナーの営業」の達人・宮田雄斗さん

連載

Webデザインの新しい参考書【達人に学ぼう】

こんにちは! Webデザイナーのさくらです。

Webデザインには、幅広いスキルが必要です。成果の出るWebサイトをデザインするには、『ほかの専門家』の力と化学反応してこそ、ではないかと感じています。

そこで、この連載は『ふところがより深いWebデザイナーになるためのヒント』をテーマに、くれまとさくらが選びぬいた話題をお届けします。

第2回は「自分を売るためのポートフォリオを強化したい!」

さくら:

くれまさん、こんなインタビューサイトを見つけたんですけど。

くれま:

あ、ホームワーカーズコミュニティさん。社名は拝見したことがありました。確か、人材派遣系の会社さんですよね?


https://www.hwc.jp/interview/

フリーランスインタビュー | HOMEWORKERS’COMMUNITY

さくら:

企業に常駐勤務する「派遣」の紹介ではなくて、「フリーランス専門」らしいんですよ。

くれま:

ほー、それは知りませんでした。フリーランスのためのお仕事を取ってきてくれるってことですか? 私たちもお願いできるんでしょうか。

さくら:

そうですね、私はまだ登録していないんですが、営業ってフリーランス共通の悩みじゃないですか。だから前から興味があったんです。

月によってご依頼や作業の量にはムラがあるし、ジャンルや規模も偏りがちなので、営業については、悩みが尽きないですもん。誰か「専門家」に相談してみたいなぁって思ってたところなんですよね。

くれま:

フリーランスには相談相手もなかなかいないから、悩みが多いですよね……。私は、ポートフォリオ(作品集)の見せ方が古いんじゃないか、内容が分かりにくいんじゃないかと悩み、周囲の人の意見を積極的に取り入れるようにしています。

さくら:

やっぱり他の人の話を聞くと、いろんなことが見えてきますよね。フリーランス専門の会社なら、「フリーランス営業の悩みに詳しい方」がいるんじゃないかと思ったんですが、この会社さんにお話を聞きに行ってみませんか?

くれま:

こういう立場の方だったら、たくさんのフリーランスやポートフォリオを見てるし、私たちの疑問にも答えてくれそう!

さくら:

あとは、地方の移住支援などにも力を入れているみたいなんです。「どこでもできるのがWebデザイナーの魅力」なんて言われますけど、本当のところどうなんだろ?ということも聞いてみたいです。

ということで、東京・渋谷にあるホームワーカーズコミュニティ株式会社さんのオフィスにお邪魔することにした私たち。

フリーランスの「営業」と「ポートフォリオ」について、私たちデザイナーの気遣いって「選ぶ側」に本当に届いているの……?

さらに、あわよくば、売りやすい&売れるフリーランスデザイナーの秘訣が知りたい! そんな疑問と下心(?)を解消すべく、今日の達人・宮田さんのお話を伺おうと思います!

今回の「達人」はこんな人! 宮田さんのキャリアを解剖

「ホームワーカーズコミュニティ株式会社」は、クライアントから依頼があった広告やWebサイトを、フリーランスの方と一緒に制作している会社。宮田さんはここで営業を担当され、クライアントが制作したいもの・現在抱えているお悩みを伺い、登録しているフリーランスや小規模法人とマッチングする業務を担当していらっしゃいます。

まずはじめに、宮田さんのキャリアをちょっと紐解いてみましょう。

宮田さんはこんな人

平成元年生まれの28歳。この業界に入ってからは、4年目というキャリアの持ち主。

製鉄会社でキャリアスタート

意外にも、宮田さんのキャリアのスタート地点は、製鉄業界。前職は、なんと工業用ロボットのエンジニアとして勤務していた。

実はフリーランス志向

実は、フリーランスになりたかった宮田さん。Web業界への転職を目指し、ホームワーカーズコミュニティのグループ会社「インターネットアカデミー」に通って、学習に励む。

グループ会社の存在を知り、転職

自分自身が転職を目指してポートフォリオを制作していたとき、グループ会社の「ホームワーカーズコミュニティ株式会社」の存在を知る。将来自分自身がなりたいと思う「フリーランス」と多く接することができる場所と考え、転職を決意。

会社内で営業職を打診される

クライアントやフリーランスの方々と、コミュニケーションをより密に取れるポジションとして「営業」という職種を打診され、現職に。今では、自分自身がフリーランスになるというよりは、フリーランスの方々と一緒に面白いものを作っていきたいという思いが強くなった。

最初はご自身がフリーランスを目指していたのであれば、フリーランスの気持ちはよくご理解いただけるはず! ということで、さっそくポートフォリオについてお話を伺ってみましょう!

クライアントに紹介したいポートフォリオ/紹介したくないポートフォリオ

さくら:

今日はよろしくお願いします。では早速ですが、ポートフォリオの話を……。ズバリ、クライアントに紹介したい、あるいはしたくないポートフォリオの特徴を教えてください!

くれま:

単刀直入ですみません(笑)

宮田:

おふたりが以前書いた記事にあった「アレオレ詐欺」と関係する話なんですけど、実際に担当された領域がどこか分からないポートフォリオは、お客様へのご紹介が難しいですね。

そういった担当箇所の分からないポートフォリオについては、詳しく担当箇所をヒアリングするときもあります。ポートフォリオの作品のパッと見がよくても、実際に作業をお願いしたら成果物がまったく違う、というようなトラブルを防ぎたいですから。

くれま:

宮田さんが「この人どこまでできるんだろう?」と思うということは、その先のお客様も当然そう思うわけですよね。

宮田:

はい。(自分を良く見せたいという気持ちは分かりますが)有名な案件や、難易度の高そうな案件にこだわらなくてもなくてもいいんですよ。ただ、ポートフォリオそのものがきれいにまとめられているかどうかで第一印象が変わる、というのは感じますね。

さくら:

「きれいにまとめられている」というのは、具体的には……?

宮田:

たとえば、1ページにたくさんの情報を詰めこみすぎると、その方が本当に伝えたいポイントが分かりにくいですよね。

「見る人がどう感じるかをちゃんと考えてデザインされている」と感じられるポートフォリオかどうかは、「この人からちゃんとしたデザインがあがってくるんだろうか」という疑問に直結していると思います。

写真:お話を聞くさくらとくれま

くれま:

手がけたデザインの美しさだけでなく、ポートフォリオの情報構成も大事ということですか?

宮田:

そうですね。たとえば添えられているキャプションの入れ方や文章なども含めた、ポートフォリオそのものがチェックの対象になります。

くれま:

ここは、デザイナーさんは必ずメモしておくべき項目ですね!(笑)

ところで、掲載案件のボリュームはいかがでしょうか。多すぎても駄目、少なすぎても駄目だと思うのですが、見る方のご意見としては。

宮田:

私自身は、最低でも3件ないと駄目だと思っています。

さくら:

えっ、3件でもいいんですか?

宮田:

最低3件ということで(笑)。

お客様へご案内させていただく時に、あまりにもポートフォリオの件数が多いと、判断が難しくなってしまう可能性が高いんです。

以前、ご紹介するフリーランスが過去数年で携わった20件ほどのポートフォリオを出したときに、古いデザインがマイナスに働いたり、多すぎる情報量で、チェックするお客様の方が混乱されたことがありました。

けれど、1件や2件では分からないと言われてしまうので、提案のやり方として、最低でも3件の実績があれば、私からお客様へご紹介することは可能というわけです。

もちろん、私たちへお持ちいただくポートフォリオの内容はある程度多いほうが良いのですが。

さくら:

なるほど。

宮田:

それから、実績が古すぎると駄目ですね。

くれま:

どのくらい前だと「古すぎる」とお感じになりますか?

宮田:

私個人の意見ですと、直近1年間の実績が3件程度あれば判断できる、と思います。

さくら:

過去の膨大な記録より、フレッシュな3件!ですね。納得です。ジャンルはいかがでしょうか。やはり得意分野がある人は、絞ったほうがいいですか?

宮田:

はい。経験の長いデザイナーの場合は特定の業界やツールに特化しているという方も多いと思いますし、得意分野を絞りこんだポートフォリオをお持ちいただければ、その方個人の強みを明確に売り込めますので、より的確なマッチングが可能になりますね。

フリーランスWebデザイナーの仕事って、どうやってもらうの? / 最近用意しているポートフォリオは?

くれま:

ポートフォリオの体裁についても伺いたいのですが、御社に持ち込まれるのはどういう形のポートフォリオが多いんでしょうか。

宮田:

HTML上(ポートフォリオサイトのURLやzipファイルなど)でいただくケースもありますし、紙でいただくケースもあります。実感としては半々くらいですね。

大手代理店のお仕事を担当されている方のほうが、紙の形式で提出される印象ですね。おそらくクライアントとの機密保持契約に配慮してなのだと思います。

くれま:

宮田さん個人は、どちらが望ましいと感じますか?

宮田:

もちろん機密保持契約に違反しない範囲でですが、Webの案件の場合、可能であればHTMLとキャプチャ、両方が提出される形式だと、分かりやすくて望ましいです。

公開されているWebサイトは、URLをいただけると実際にアクセスして確認できますので、ありがたいですね。

ただ、期間限定の特設サイトなどですでに公開が終了しているものは紙だけで提供していただいても問題ありません。

さくら:

両方を提出するのはいいですね。ブラウザでもチェックができると、コードの品質も確認もできますし。

先程の「フレッシュな3件」のお話といい、日頃からポートフォリオの手入れが必要だなぁと思いました……。

宮田:

お忙しいとは思いますが、ぜひ頑張ってみてください(笑)。

ここがポイント

デザイナーがポートフォリオを制作するときは、以下の点に注意すると好印象。

ポートフォリオだけでなく、社会人としてのマナーやコミュニケーション能力も見られています!

写真:宮田さん

くれま:

最初からポートフォリオがきちんとまとまっていれば、比較的スムーズに案件に入れそうですが、他に問題になる場合はありますか?

宮田:

実は私たちは、ポートフォリオと同じくらい、フリーランスの方がお客様ときちんとコミュニケーションができるかどうかも重視しているんです。

仮にディレクターではなく、コーダーだったとしても、きちんと会話ができるかどうかは、一緒にお仕事をしていく上で非常に重要だと考えています。

あとは会話だけではなく、集合時間にルーズだったり、連絡がなかなかつかなかったりという方は、せっかく良いポートフォリオをお持ちでも、自信を持っておすすめしにくい、ということはあります。

さくら:

う〜ん。そこはフリーランスどうこうというより、社会人としてどうかということですよね。

宮田:

お客様と直接やりとりした経験のない方に多いのですが、メールや電話のレスが遅かったり、文面がラフな方は、もったいないなと思います。

紹介する側としては、ラフな言葉遣いをされる方ですと、自信を持って紹介しづらいです。

メールについては何日も返信がなかったり、電話だと折り返しが無いとか。一緒に仕事をする人達に心配や迷惑をかけてしまいます。レスのスピードというのは、信用を勝ち取る上で重要だと思います。

くれま:

服装なども重要でしょうか? 私は、クリエーターはスーツなんて着てはいけない!と言われたことがあるので、駄目な服装、良い服装というのがあれば、教えていただけると嬉しいです。

宮田:

もちろんお客様にもよりますが、常にスーツの着用を強要することはまずありません。清潔感のある服装で来てくださいというくらいなんですけれど、たとえば、打ち合わせでTシャツにジーンズにサンダル、のような服装は避けていただければと思います。

くれま:

常識の範囲内で、TPOを大切に、ということですね。

ここがポイント

本当に一般常識ではあるが、以下の点を守ってこそ、フリーランスとしての信用を得ることができる。

クライアントに選ばれたい!企業側の「クリエーターの選び方」を聞いてみよう!

写真:お話しをする3人

さくら:

クライアント側から、「クリエーターさんをどうやって選んだら良いの?」という質問を受けることもあると思うのですが、そういったときにはなんとお答えしていますか?

宮田:

クライアントとクリエーターの相性があるので一概には言えないのですが……。

よくあるケースとしては、お客様のWebに関するリテラシーが低い状態でサイトのリニューアルをしたいというご要望があった時に、さきほどおっしゃったような「どうやってクリエイターを選んだら良いのか」という質問が出るんです。併せて、「そもそもサイトリニューアルをどう進めてよいのかわからない」という場合も多いです。

そういったお客様へは、相手のリテラシーや目線に立ってお話ができる方をおすすめしています。

Webに関するリテラシーが低い方というのは、どうしても細かいポイントに気がつかずに、後でいろいろとトラブルになるケースが多いので、どちらかというとしっかりと工程を管理できるディレクターさんが合います。

クライアントにもそういう提案をした上で、最初に細かくヒアリングしてくれる方を選んで声をかけ、チームを作っていきます。

さくら:

なるほど、相手のリテラシーに合わせてということですね。

くれま:

いま、「サイトリニューアル」とお話されましたが、そういった案件は多いのですか?

宮田:

最近は増えてきていますね。

以前は、フリーランスというキーワードからか、単発のランディングページなどのご依頼が多かったんです。

でも、フリーランスという存在への世間の認知が進んでいったことや、実績が増えるにつれて、深くお取引しているお客様からもっと大きなお仕事もお願いできるよね、という要望もいただくようになりまして、規模の大きなお仕事のご相談も請けるようになってきています。

さくら:

私もいわゆる「単発の案件」が多いのですが、確かにフリーランス一人に、大きなサイトのリニューアル案件などは頼みづらいですよね……。

複数のフリーランスが組んで、大きな仕事に取り組める土壌ができるのは魅力的ですね。

ここがポイント

「相手のリテラシーや目線に立って話ができる」のは重要なスキルのひとつ。Webに関するリテラシーが低いクライアントの案件では、トラブルの防止にも役立つ。

やっぱり都市でないとダメ?地方で働くのは不利ですか?

写真:くれまとさくら

さくら:

先ほどの「選ばれるフリーランスになるためには」という話の続きですが、地方で仕事を獲得するのは大変そうなイメージがあります。やはり地方は不利でしょうか?

くれま:

その話は、よく聞きますよね……。登録者の方のお住まいは全国各地なんでしょうか?

宮田:

まず、登録者さんは、やはり東京が圧倒的に多いですね。約5割くらいが東京近郊です。次いで大阪が3割程度、あとは北海道などですね。

次に、有利不利のお話ですが、クライアントの中には会って打ち合わせがしたいという希望もありますし、現状は確かにそういった面もあります。でも、企業に勤めている方のリモートワークの例も増えてきていますし、私たちも日頃、都市のクライアントと地方のフリーランスの方の間に立って、コミュニケーションなどをサポートしています。

活性化のためにフリーランスの活躍の場を作ることに積極的な自治体さんの協力もありまして、こういった事例もあるんですよ。結局、地方でも人材活用は重要な課題ですので。

さくら:

クライアントの獲得から移住までサポートしてくれる存在があるのは、新規の営業時に金銭の交渉が得意でなかったり、孤独になりがちだったりするフリーランスの方にとっては心強いですね。

宮田:

これは地方に関わらずですが、自分の代わりがいないというリスクや、孤独感というのはありますよね。そういう声は私もとても多く聞いていますし、不安を解消する“同僚”になれたら良いなと思って仕事をしています。

くれま:

のびのびと子育てしたいとか、自然の中で暮らしたいとか、様々なライフスタイルへの憧れがありますが、なかなか1人で実現させるのも難しいケースも多いので、フリーランスを支援する取り組みがあると、助かる人もいるんだろうなと思います。

フリーランスデザイナーのキャリア形成とは?

さくら:

ここで、少し長期的な視点に立って、デザイナーのキャリア形成についてお話を聞かせてください。

フリーランスのデザイナーがディレクターを志したり、今までとは違うジャンルのデザインに取り組んでみたいと思ったりした時、キャリアアップ/キャリアチェンジの上で気をつけることはありますか?

宮田:

たとえば、デザイナーがディレクターを志すケースであれば、実際にディレクターとして活躍している方と一緒にプロジェクトに参加する機会を作って、ディレクターさんが何をしているのかを見てもらったり、ドキュメント作成などのアシスタント的なポジションの仕事もしてもらったり、ということは行っています。

そういった経験を重ねていったら、次に小規模のサイトの案件をディレクターとしてお任せして、段々とステップアップできるようなお手伝いをしています。

さくら:

実案件の中でOJT的に経験して必要なスキルを学ぶということですね。

くれま:

では、異なるデザインジャンルへの挑戦、という点ではどうですか? たとえば「アパレル関連のデザイン業務の経験がないけれども、挑戦したい!」といったケースがあると思うのです。そういう「自分の得意分野ではない、新しい分野に挑戦したい方」の売り込み方法などで、気をつける点はありますか?

写真:くれま

宮田:

ある分野ではスキルの高い方が異なるジャンルに挑戦される場合に、「(お客様の)予算が少ない」という条件はひとつの交渉材料になると思います。例えば「御社のジャンル経験豊富なAさんは予算の関係で難しいので、経験はありませんが、意欲の高いBさんでしたらご予算内での調整も可能かと思います。」という言い方をすることもあります。

くれま:

異なるジャンルにはじめて挑戦するためには、そういう交渉の仕方もアリですよね。ゆくゆくは高いご予算の案件を受注できることを目指して。

さくら:

いまは学校に通われていて、ゆくゆくはフリーランスに、という方もいらっしゃると思うので、まったく業界への就業経験が無い方へのアドバイスもお願いします。

宮田:

まったく実務経験がない方は、まず実際の業務の中で実績を積んでいくことが大事ですので、その最初の一歩は頑張っていただきたいところです。

その後は、たとえスキルが高くなくても、コミュニケーションがきちんと取れて、出会う皆さん一人ひとりと失礼のない形で接することができれば、フリーランスとしてやっていけると思います。「縁を大事にする」ことでしょうか。

さくら:

「縁を大事にする」! 本当に大事なポイントですね。

ここがポイント

経験のないジャンルの案件を獲得する時は、「(お客様の)予算が少ない」という条件はひとつの交渉材料になる。まったく実務経験がない場合は、まず実際の業務の中で実績を積んでいくことが大事。出会う皆さんとの縁を大事にしよう!

フリーランスからの「企業への就職」

写真:宮田さん

くれま:

さて、ずっとフリーランスとしてキャリアを積んでいく人だけではなく、企業内のポジションに戻る方も少なからずいらっしゃると思うのですが、宮田さんがご存じの方々の中で、そういうケースってありますか?

宮田:

正確な割合はわかりませんが、私がやり取りしているフリーランスの中でも、年に数名いらっしゃいます。1年に100名ほどのフリーランスにお会いする中で、1人から2人ぐらいでしょうか。

さくら:

その方々は、ポジティブに「ご縁があったから」就職された方なんですか?

宮田:

はい。私が知っている方々は、皆さん前向きな理由で転職されました。

とある30代前半男性の具体例をあげると、20代後半で制作会社から独立されて、数年フリーランスとして仕事をする中で、ひとつのサービスに関わって育てていきたいという思いが強まって、就職された方がいらっしゃいました。

一般的にある程度の年齢になると、人やスケジュールを管理する能力というのが問われるわけですが、その方はずっとひとりでお仕事をされてきたので、会社組織として部下に指示を出すご経験はありませんでした。

ですが、職種がディレクターだったので、デザイナーやコーダーをまとめてプロジェクトを進めていける点をアピールポイントにして、就職されたそうです。

さくら:

こういった、動機が明確でポジティブな事例を聞くと、一度フリーランスになった人の就職っていう選択もありなんだ! ということに気がつきますね。

宮田:

そうですね、フリーランスの方はビジネスの一通りの流れを理解している、経営者思考がある、責任感が強いなどの理由で企業さまから評価されて、社員で採用できないだろうかというお声もよくいただきます。

くれま:

私自身もお誘いがあって企業への就職を考えたことがあるので、「自分に合えばどこかの会社へ入りたい」という気持ちは分かる気がします。でも、フリーランスから会社員になっても社会や身内に受け入れられないんじゃないかと不安もあったりして……だから実例が分かって心強かったです。

フリーランスになりたい人へのメッセージ

写真:3人

くれま:

では最後に、これからフリーランスとして頑張りたい読者の方へ向けてメッセージをお願いします。

宮田:

実際のスキルや経験も大切だと思いますが、それよりも、その人がどれだけ真摯な気持ちで仕事に向き合っているのか、お客様の課題に対してどう貢献したいと思っているのかということが重要だと思うんですね。

ポートフォリオも、相手の立場、そして求めている情報を真剣に考えて作成されると、お仕事も増えていくと思いますし、何よりご自身のためになってくると思いますよ。

さくら:

フリーランスである前に、人間であり、社会人であるということですよね。今日は、本当に勉強になりました!

くれま:

個人的にも、とても参考になりました。ありがとうございました!

まとめ

くれまのまとめ

フリーランスとして働くというのは、ある意味「孤独との戦い」です。営業方針やキャリア形成に客観的な意見が欲しくても、相談相手もなかなか見つからず、悶々としてしまうことも多いかもしれません。また、組織力を活かす局面で、どうしても負けてしまうこともありがちです。そんなときに、こういう心強い「同僚」がいると、助かることも多いだろうなぁと感じました。個人的には、今日から早速ポートフォリオの見直しを進めようと、背中を押していただいた気分です! 皆さん、頑張りましょう!

さくらのまとめ

「新規」と「リピーター」のバランスが大事なのはどんなビジネスにも共通の考え方です。私たちのようなデザイナーも例外ではありませんが、この「新規」が意外と難しくて。以前のポートフォリオの記事「フリーランスWebデザイナーの仕事って、どうやってもらうの?」を書いた時は、私自身が「これから独立してやっていくぞ!でも、やっていけるのかな?」という時だったので、あれから少し経って、もう一度同じテーマを違う視点で考えられたのはとても有意義でした。「新規」に繋がるポートフォリオだけではなく、その先にある自分のキャリアチェンジやステップアップの方法など、普段なかなか同業者には聞きづらい(笑)お話を聞くことができました。宮田さん、ありがとうございました!