O2Oによりカスタマーエクスペリエンスはどのように変わるか
eコマースの普及
インターネットが普及し、インターネットを活用する商取引が登場するようになりました。現在、小規模なオンラインショップから大規模なオンラインショッピングモールまで、その形態は多様です。
消費者は直接価格を比較して、手頃な価格で購入したり、国境を越えてオンラインで取引したりしています。 しかし、これはオフラインの商品をオンラインで比較して購入するという形態でした。オフラインの売り場や知人が持っている現物を見て、購入することを決め、その後にオンラインで価格を比較して、最終的に購入する姿がよく見られました。
一方、完全にオンラインに移行することが難しい商品やサービスについては、反対に購入することをまずオンラインで決心し、最終的な消費がオフラインで行われる形態が登場し始めました。特にこのような形態は、一方通行の市場ではなく、継続的に循環する、より融合的な構造に発展しました。
O2Oトレンドの登場
こうしたトレンドをO2O(Online to Offline)といいます。用語の解説だけを見ると、オンラインで商品を選択して決済し、すぐに商品またはサービスを受けるという、以前からある電子商取引のように感じるかもしれません。
O2Oのトレンドは、スマートフォンやアプリというモバイル時代の商取引の特徴と見事に結び付いています。消費者は、いつでもどこでも手の中にある小さいデバイスを使うだけなので、webページ上の膨大な情報を自ら取捨選択する必要はありません。
既に最適化された結果を返すアプリを選んでインストールすればよいのです。 そして、そのアプリでは、商品の検索、サービスの比較、注文だけでなく、より手軽なオールインワン方式により決済まで行うことができます。
商品やサービスに対するフィードバックもやはり、モバイルアプリを使って行うことができます。そのフィードバックは、サービスとクライアントの一対一の関係を越えて、市場に対する評価と変化につながる可能性を持っています。
牽引するモバイルとメッセンジャープラットフォーム
最近では消費者がスマートフォンにアプリをインストールする以外にも、一般的なメッセンジャーをプラットフォームとする様々なO2O商品やサービスが登場しています。
決済手段もまた、メッセンジャープラットフォームで提供されるので、消費者はO2Oトレンドを違和感なく受け入れています。決済の簡単さ、そして使い慣れたプラットフォームにより、ユーザーがサービスを利用しやすくなっています。
現在では、こうしたO2Oがエクスペリエンスを明らかに変えています。特に、オンラインやモバイルとはまったく関係なく思われた様々なサービスがオンラインと結び付き、より気軽に簡単に利用できるようになりました。
例を挙げてみましょう。Aさんは忘年会を終えて家に帰るところです。何年か前までは、寒さに震えながら長時間待たされた挙句、やっと運良くタクシーに乗ることができました。
タクシーとO2O
今ではAさんはモバイルアプリを起動して、自分の現在位置に最も近い何台かのタクシーの情報を入手します。次に、現在位置と目的地を入力して、自分の情報をタクシーの運転手に渡します。そのようにして、メッセンジャープラットフォームとモバイルアプリを通じてAさんは運転手と場所などを決め、迎えに来てもらいます。
タクシーはまた、Aさんを乗せる時間の予告からAさんの目的地まで、地図アプリケーションを使って詳しい経路を提示し、お互いの信頼関係を築いていきます。近くにいるタクシーがAさんを行き過ぎたり乗せなかったりしても、慌てたりがっかりする必要はありません。
もう少し遠くにいるタクシーが、やはりAさんの状況と自身が提供できるサービスをマッチさせて駆け付けて来るからです。
タクシー代の支払いまで、もちろんアプリやメッセンジャー自体で行うので、決済手段を巡って発生し得るトラブルを未然に防ぐことができます。
以前は、タクシーを利用した後のレビューもまた、それが良かれ悪かれそのタクシーに対する第三者の評価として影響することはありませんでした。
しかし、現在ではAさんが残したレビューが、やはり同じアプリを使う他の顧客に大きな影響を及ぼします。
エクスペリエンスの進化を先導するO2O
公共交通手段が市場のメカニズムとエクスペリエンスを同時に変化させるといった動きはO2Oの代表的な事例です。現在も数多くのサービスがオンラインと結び付いて、エクスペリエンスを向上させています。
O2Oがこのようにエクスペリエンスを向上させている一方で、サービスを提供する企業の立場ではどのような変化が起きているのでしょうか?
「O2O時代のデータ分析とデジタルマーケティング」に続きます。