アナリティクスは次の章へ:人工知能Adobe Senseiを組み込んだVirtual Analyst

世界のあらゆる企業のアナリティクス担当者は、ますます競争が激化している環境で自社を成功させるために役立つ新しい方法を求めています。顧客と関わるさまざまなチャネルにおいて複雑化が進み、混乱するようになるにつれ、企業がアクセスできるデータ量は一見、無限に膨れ上がったように思えます。もはや「どうやってデータを収集するか?」ではなく、「収集したデータをどのように活用するか?」が問題です。今や、人と機械の関係が確立されつつあり、マーケティングの観点からは、企業はいよいよこうした新たな機会を活用して、「エクスペリエンスビジネス(顧客体験中心のビジネス)」を実現できるようになります。

顧客体験を強化するインサイト

Adobe Summitで発表したAdobe Analytics Cloudは、ビジネスを促進する顧客インテリジェンスエンジンです。アドビのすべてのCloudにわたり、オーディエンス情報を独自の方法で一元管理することで、企業がリアルタイムなインサイトを具体的なアクションに変えることを支援します。Adobe Analytics Cloudは、オープンAPI(Application Programming Interface)のAdobe I/O(英語)、標準データモデルのAdobe XDM、人工知能フレームワークを提供するAdobe Senseiといった機能からなるAdobe Cloud Platform上に構築されています。これにより、企業は膨大な量のあらゆるデータの把握、集積、合理化、理解を向上させるだけでなく、そのデータを一つの顧客プロファイルに変換できます。****

アナリティクスは次の章へ — Virtual Analyst

アドビはAdobe Summit EMEAにおいて、Adobe Senseiを搭載したVirtual Analystを発表しました。Virtual Analystは、オフィスに常駐するエキスパートの役割を果たし、継続的にデータを解析する、予測アルゴリズムとマシンラーニングによって実装されています。これにより、企業に影響を及ぼす未知の異常について、いつ、どこで、誰が、何を、どのようにして企業に影響を与えているか、パーソナライズした高価値なアラートとインサイトを提供します。Adobe Analytics Cloudを利用する顧客は、異常値検出と貢献度分析の組み合わせにより、最も一般的で費用のかかるデータサイエンスにもとづくワークフローを自動化し、データの異常な動きの原因を特定できます。原因が特定されると、次にインテリジェントアラートがパートナーとなって、これらの異常値を24時間年中無休で積極的に特定し、通知します。Virtual Analystはデータサイエンティストである同僚のようなものなのです。

Virtual Analystベータ版を利用していた顧客は、収益を高め、コストを大幅に削減し、リスクを緩和するなど、非常に有益な使い方をしていました。また、小売店のカートから特定の製品を自動で削除してしまい、結果的にカート内の削除を73%も増加させていたバグを特定したケースや、キャンペーンを終了するタイミングが早すぎたために、毎日170万ドルものコストがかかっていたケースも特定しました。

Power BI用の新しいコンテンツパック

Adobe Analyticsと他のデータソースを統合するための協働となるアドビとMicrosoft Power BIの共同ソリューションにもとづき、Microsoft Power BI向けの新しいコンテンツパックも発表しました。

新しい時代の到来

膨大な量のデータがすぐに利用できる今こそ、企業は、間違いなく利益に影響を与える動きを十分に理解するべきです。Adobe Senseiを組み込んだVirtual Analystは、人と機械がひとつとなり、顧客データの奥深くに埋もれた秘密を解き明かす、新しい時代の到来を告げています。

※本記事は、2017年5月9日にAdobe Analyticsのプロダクトマーケティングマネージャーであるネイトスミス(Nate Smith)が投稿したブログの抄訳版です。