Adobe Digital Insights: 音声認識機能は次の破壊的技術革新となるか

音声認識機能は新しいコンセプトではありませんが、人工知能 (AI) とマシンラーニングの進歩により、近年採用される機会が増えています。アドビが公開したAdobe Digital Insights (ADI) の最新のレポートによると、音声認識デバイスの市場競争が激化していることが明らかになりました。

2016年の年末商戦において、米国では音声認識デバイスがプレゼントとして人気を集めました。Amazon EchoとGoogle Homeの一般ECサイトでのオンライン売上台数は11月と12月に大幅に増加しました。年末以外の期間では、2017年5月の、売り上げ台数が前年同月比の39%増加しています。

ADIのアナリストであるトレバー ジョーンズ (Trevor Jones) は、この調査結果について「デバイスの売り上げは好調なものの、まだ一般世帯では購入に至っていないことを示している」と考察しています。

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本調査は、Adobe Analytics Cloudが測定した2016年5月から2017年5月までの間に収集されたオンライン販売サイトにおける143億の訪問者数とAdobe Marketing Cloudによる音声認識機能とそのデバイスに関するソーシャルメディアでの1億4,500万のコメントを元に分析しました。また、397名を対象とした音声認識機能に関する消費者アンケートも実施しています。

売上金額ではGoogle Homeがリードするものの、台数ではAmazon Echo Dotが優位

ADIによると、Google Homeが2016 年11月初めに発売されたことが、年末商戦の売上増加に寄与したと分析しています。年末商戦におけるGoogle Homeの一般ECサイトでの売上台数は、Amazon Echo Dotをわずか3%ほど上回りました。その後、Google Homeは、Amazon Echo Dotに追い抜かれましたが、より高価なAmazon Echoに対してはリードを保っています。

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売上面では、Google Homeは、年末商戦中もその後も一般ECサイトでの販売において、他のすべての競合商品を上回る売上を保っています。ジョーンズは、このことについて以下のように分析しています。「消費者は安価なAmazon Echo Dotへの関心が高いようですが、より高価なGoogle Homeが売上では勝っています。」

デバイスの売上が好調であるだけではなく、コンテンツクリエイターのオンライン上のコミュニティにおいて活発な交流を創り出しています。IFTTT (インターネットに接続可能なデバイス同士を連携させるwebサイト) 上では現在、778,000を超える音声認識機能との接続が行われており、その数は毎年伸び続けています。こうしたサイトにより、スマートフォンスピーカーのような音声認識デバイスへの関心が高まり、使用も増えています。

音声認識の市場成長機会

年末商戦期の売上増加やIFTTTのようなサイトでの使用拡大は進んでいるものの、音声認識の市場にはまだまだ改善の余地があります。年末商戦を除く期間の売り上げは、前年同月比で39%増という健闘を見せているものの、ADIの消費者調査によると、49%の米国の消費者は音声認識を使用していません。潜在的市場の半数に対して、音声認識機能が将来的に流行することを認識させ、メーカー企業側も新規ユーザーがポジティブな第一印象を持つよう努めなければなりません。

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37%の米国消費者は、音声認識機能のユーザーエクスペリエンスは期待値を下回っていると答えています。デバイスに対する関心は高まっており、売上も伸びていますが、ユーザー体験の向上が健全な売上増加につながるでしょう。

ソーシャルメディア上ではSiriが一強

Siriとの直接競合である、iPhone版Googleアシスタントがリリースされた際は、大きな反響がありました。しかし、ソーシャルメディアで一定の投稿数を獲得できている音声認識機能はSiriだけです。3月にSamsung Bixbyが発表されましたが、消費者の関心を集めきれず、米国でのリリースが延期されたことにより、ユーザーの興味が失われてしまった印象があります。

ジョーンズはそのことについて以下のように述べています。「Bixbyは、GoogleアシスタントやSiriのリリースやアップデートの時ほど、話題にはなりませんでした。関心度や認知が低かったことは確かですが、新しいアシスタント技術の先行きが危ぶまれるということではありません。」

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Adobe Digital Insightsについて

Adobe Digital Insightsは、デジタルマーケティングをはじめ、さまざまな業界のマーケティングやEコマースを担当するエグゼクティブから関心の高い話題について調査しています。調査では、アドビのデジタルマーケティングソリューションを採用する世界中の5,000を超える企業から集約された匿名データを利用しており、Webサイト、ソーシャルメディア、広告などにおけるリアルタイムデータや消費者行動の分析結果を公開しています。

※本ブログは、2017年6月29日に米国で公開されたCMO.comの記事を抄訳、編集したものです。