#ProjectFelix 0.3 の提供を開始 3D合成をさらにカンタンに
Project Felixは、3Dオブジェクトと2D画像を簡単に合成できる、アドビの新しいアプリケーションです。私たちの目標は、3Dデザインの経験がないユーザーにも3Dデザインの世界を体験できるようにすることです。
最新アップデートであるProject Felix 0.3では、効率性とワークフローを改善しました。過去6カ月以上にわたって、私たちはユーザーの皆様のフィードバックを募集してきました。お寄せいただいたご意見やご提案を参考にして、要望の多かった機能をアップデートで追加してきました。これまでにライティングの改善、ブックマーク機能の追加、みなさまが毎日お使いのアドビのクリエイティブツールと同じ直感的なユーザーインターフェイスを開発し、プロジェクトのレンダリングの時間を短縮しました。
アウトドアライティングを大幅に改善
光は、3Dオブジェクトのレンダリングの柱となる要素です。過去のブログ記事で、光がProject Felixでどのように使用されるかについて説明しました。今回のリリースでは、光を新しい方法で使用します。
アドビのインドア/アウトドアライティングのコンピュータサイエンティストであるJ. アイゼンマン(J Eisenmann)は次のように述べています。「これまで、Project Felixのライティングツールは、画像からの光を伝えるという、画像をベースとした技術でした。今回のアップデートでは、画像を見て、いくつかの畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Networks:CNN)に学習させることよって、シーンに応じた物理的なライティングを実際に再現しました。」
https://blogs.adobe.com/creativestation/files/2017/07/project-felix-02.jpg
デジタルで描かれた部屋と家具は、写真の背景画像とProject Felixの自動ライトマッチングに基づいて光が当てられています。(画像:Vladimir Petkovic)
ほとんどの人は畳み込みニューラルネットワークの専門家ではなく、それが何を意味するかもわからないでしょう。しかし、この技術がもたらすメリットは誰でも理解できます。Project Felixのライティングツールは、そのシーンに存在するオブジェクトに光がどのようにあたるかをより正確に再現することで、画像全体の写実性を高めます。アドビのProject Felixアートディレクターであるジャスティン パットン(Justin Patton)は、この機能は多種多様なかたちで役に立つと考えています。
ジャスティンは次のように述べています。「この技術は、太陽が画像内になくても太陽の向きを検出し、直射日光を作り出すことができます。これにより、太陽光の強さを直接的に調整できます。結果として、これまでよりもさらに現実に近いかたちで3Dオブジェクトと2D画像を合成できます。」
ブックマークにより3D空間内での位置を保存
ブックマーク機能は、ユーザーの皆様から寄せられたさまざまな意見に基づいて開発されました。皆様からの要望によって、実現した機能です。
Project Felixのシニアエクスペリエンスデザイナーであるタイラー ラフレニエール(Tyler Lafreniere)は、ブックマークのようなツールの必要性を開発初期から予想していました。ユーザーの皆様からの要望をもとに、最新のProject Felixにこの機能を組み込みました。
タイラーは次のように述べています。「ブックマークツールに対する要望は多くのユーザーから寄せられていました。ユーザーは、必要なビューに効率的に戻れることを望んでいました。この技術によりユーザーエクスペリエンスが大きく改善されると期待しています。それが今回の機能アップデートの最大の目的です。」
https://blogs.adobe.com/creativestation/files/2017/07/project-felix-03.jpg
カメラビューのブックマークは、同じシーンの複数のショットの保存に使用されます。デザイナーは、簡単に目的のショットに戻って画像をアップデートし、レンダリングできます。(画像:Justin Patton)
ブックマークが追加されたことで、ユーザーはいつでも気に入ったカメラアングルの位置を保存し、好きな時に過去に保存したビューにブックマークを利用して戻ることができます。経験豊富な3Dユーザーでも、満足できるショットを作るには時間がかかります。2Dとは異なり、空間を理解するためには、オブジェクトの周りを移動し続けなければなりません。つまり、カメラと見る角度を変えた組み合わせは無限に存在し、それぞれがそのオブジェクトの唯一無二なビューを生み出します。
3Dでは、変更を施すと、これらの無数のショットのそれぞれで作品がどのように見えるかに影響します。例えば、ビューコンビネーション37を変更した場合に、ビューコンビネーション124にどのような影響があったかを確認する必要が出てきます。ブックマークがなければ、記憶を基に正確なコンビネーションを再作成しなければなりません。
ブックマークツールを使用すると、特定のビューを保存し、ボタンをクリックするだけで、そのビューに戻ることができます。この機能により、各ショットを新たに作り直すことなく、複数のアングルを素早く行き来できます。ブックマークを作成することで、ユーザーは作業を高速化し、ワークフローを改善できます。
Project Felixでの新しいアートの作成
Project Felixのユーザーの皆様に、今回のアップデートを提供できることを喜ばしく思っています。意見交換やインタビューにご協力いただいたすべてのユーザーに感謝します。皆様のフィードバックがデザインの原動力になっています。Project Felixを初めてご利用になる方も、ユーザーフォーラムで作品やご意見をぜひお寄せください。
アレックス フィッシャー(Alex Fischer)は、フロントエンドエンジニアとしてデザインとプログラミングの間のギャップを埋める役割を担っており、ユーザーエクスペリエンスの開発に深く携わっています。アレックスは次のように述べています。「私たちはフォーラムを常に確認しています。ユーザーの皆様の意見に注目して、ユーザーが何を求めているかに基づいて製品を開発しています。製品は私たちチームとユーザーの皆様の協業の結果、生み出されています。」
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鮮やかな色で描かれたボトルによる街の抽象的な風景画。ライティングによって楽しいシーンにリアリティを与えています。(画像:Vladimir Petkovic)
ユーザーの皆様はすでにProject Felixで素晴らしいデザインを生み出しています。最新のアップデートでどのような作品が制作されるか楽しみにしています。最後にジャスティンからのメッセージです。
「3Dは遊び場のようなものです。オブジェクトと素材のすべては相互に影響し合います。最初は思いもしなかったような、新しく興味深いものに何度も出会うことでしょう。Project Felix 0.3では、数多くの実験と新たな発見の機会が提供できると考えています。新たなアートが生まれ始めているのだと思います。だからこそ、私たちは私たちがなすべきことを行っていきます。」
ヘッダー画像: Justin Patton
この記事は、2017/7/19(米国時間)に投稿されたProject Felix 0.3: 3-D Compositing Made Even Easierを翻訳したものです。