フォトレタッチの極意14:これならできる!「黒」から「白」への色変換

連載

Photoshop フォトレタッチの極意

今回は、「”黒”いものを”白”に色変換する」方法について解説します。デジタル画像の性質上、暗い部分を無理に明るくするとノイズが浮いてきやすいため、「レタッチ耐性」が強い、つまり情報量が多い画像であることが条件になりますが、階調を丁寧に扱って「”黒”から”白”への色変換」の「絶対的方法」を覚えましょう。解説は、フォトグラファー/レタッチャーの御園生大地さん。「Shuffle by COMMERCIAL PHOTO」に投稿した解説から抜粋しています。

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Before

After

1、色変換したい部分の選択範囲を作成

調整したい画像を開く。作例では、黒い革張りのソファを白い革張りに色変換する。

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調整する画像

黒い革張り部分を選択する。選択範囲の作り方は、パスがお勧め。ソファの革張りの部分をパスで囲ったら、「レイヤーグループ」の「マスク」に変換しておく。

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2、「レベル補正」調整レイヤーで階調番号を大幅シフト

選択範囲がアクティブな状態から、「レベル補正」調整レイヤーで下の図のようにスライダーを動かす。空間から浮き上がった感じではあるが、ソファが白くなる。

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このとき、「入力レベルのグレースライダーと白スライダーが離れすぎている」「出力レベルの黒・白スライダーの距離が離れすぎている」と、階調の破綻のリスクが上がるので、慎重に微調整を行う。

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3、「トーンカーブ」調整レイヤーでシャドウを作成し、周囲の色となじませる

色変換で作り出した「白い被写体」は、陰が白すぎて背景から浮き上がったような状態になるので、これを解消する。まず下の図のような「トーンカーブ」調整レイヤーを作成し、マスクを黒に塗りつぶす。
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硬さ「0%」、不透明度と流量を「10%前後」に落とした「描画色:白」のブラシで、シャドウ部分を焼きこんで立体感をつける。
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同じようにもう1つ黒ベタ塗りのレイヤーを作成し、マスクを黒に塗りつぶす。
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硬さ「0%」、不透明度と流量を「10%前後」に落とした「描画色:白」のブラシで、シャドウ部分を焼きこんで立体感をつける。さらに、マスクに3%程度のノイズをかけると自然な仕上がりになる。
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トーンカーブで微妙な色の転びをつけると、更に背景になじませることができる。
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4、エッジの処理

表示状態を「100%」に拡大して、ソファのエッジが不自然に残っていないかをチェックする。実は「”黒”から”白”への色変換」では、ほぼ必ずエッジに不自然な箇所が残ってしまう。
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ソファを選択しているマスクのうち、一番上のものを除いて全て削除する。
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一番上のマスクの部分をダブルクリックすると「属性」というウィンドウが出てくるので、「マスクの境界線」をクリックする。

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「マスクを調整」というウィンドウから「エッジをシフト」のスライダーを、エッジを広げたい場合は右へ、エッジを狭めたい場合は左へ動かす。さらに「ぼかし」を微調整して、納得のいく結果になったら「OK」をクリック。マスクの大きさが変わり、フリンジ(エッジに不自然なピクセルが残ってしまうこと)が少なくなった。最終使用サイズが小さい場合は、これだけでも十分な場合もある。

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https://blogs.adobe.com/creativestation/files/2017/07/color14_18.jpg

「レイヤーウィンドウ」の、一番上に「新規レイヤーを作成」する。新しいレイヤーが選択された状態で、「option(alt)」キーを押したまま「レイヤー」→「表示レイヤーを結合」を選ぶ。すると、現在の状態を統合した画像が新しいレイヤーにペーストされる。
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スタンプツールを使って、統合されたレイヤーのフリンジを修正する。この際に、選択範囲を補助として使うと作業が楽になる。背景側のフリンジを消す場合は、選択範囲を反転する。
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スタンプツールでぐるりと一周、フリンジの削除をし終わったら、エッジがクッキリしすぎている部分を「ぼかしツール」でなじませておく。これで完成。
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さらに詳しい解説は、Shuffle by COMMERCIAL PHOTO の「Photoshop 色調補正ゼミナール」(解説・写真:御園生大地)に掲載されています。

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