星の軌跡の撮り方 #AdobeStock

連載

調査

“風景写真をもっと楽しく”をモットーとする風景写真専門のオンラインフォトコミュニティPASHADELIC (パシャデリック)。そのサイトでは単に写真を投稿、閲覧、共有できるだけではなく、風景写真を撮るに必要な3つのレシピ「いつ・どこで・なにが」を共有することで質の高い作品をとるための活動を行っています。今回は、PASHADELICから、星の軌跡を美しく撮る方法についてのヒントをご紹介いただきます。

・デジタルならではの「明合成」を使ってみよう

星は日周運動で少しずつ空を動いていきます。デジタルカメラが主流になってからは、カメラを固定してインターバル撮影で何十枚、場合によっては何百枚も夜空の写真を撮影し、後処理で「明合成」によって日周運動の軌跡を作り出す撮影方法がよく用いられています。デジカメで撮影した1枚の写真の露出にはある程度の自由度があるため、地表の風景との明るさのバランスもフィルム時代に比べて取りやすくなりました。

この撮影方法では、例えば天の川全体を広域に狙うタイプの撮影方法よりも、写る星が少なめになるよう露出を控えめにするのがコツの一つです。露出の目安はISO800、F4.0、8秒程度です。** **20秒間隔で30コマ(合計10分間)ぐらい撮影し、Photoshopを活用して明合成を施すと、それらしい雰囲気のある写真に仕上がります。トータルの撮影時間をさらに長くすると、より雰囲気が出るでしょう。

ちなみに、このようにして撮影したたくさんの写真を動画として構成すれば、星の動きの分かるタイムラプス動画が出来上がります。

重明 引田 / ADOBE STOCK

KANAGU / ADOBE STOCK

・注意点

撮影はあくまでも間欠撮影(インターバル撮影)です。そのため、合成をおこなっても拡大して見てみると星の軌跡は完全にはつながりません。以下の画像は20秒間隔で8秒の露出を行なった写真を合成したものですが、ドット・バイ・ドットで見るとご覧の通り暗い星は途切れてしまっています。

Web掲載用に1500 x 1000px程度に縮小するならば十分利用可能ですが、大判印刷への使用は厳しいかもしれません。

また、デジタルカメラでは星がシャープに写りすぎて星の色が分かりにくい写真になりがちです。明合成での星の軌跡の途切れをカバーする意味でも、軽いソフトフォーカスフィルターを使う、またはあえてわずかにピンボケにして星の像を少し滲ませる、といった撮影方法もあります。さまざま工夫で素敵な星景写真を楽しんでくださいね。なお、Adobe Photoshopの公式サイトでは、天体写真をより美しく仕上げる画像調整のチュートリアルがご覧いただけます。そちらも参考にしてください。

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