Adobe Senseiによりパーソナライゼーションを変革する新機能をAdobe Targetで発表
例えばクルーズ旅行をしていたとします。そのとき、あらゆる好みやニーズが満たされたとしたら、旅行者はどう感じるでしょうか。おなかがすいた時に頭に浮かんだクラブハウスサンドイッチが勧められ、退屈していると最適なアクティビティが勧められる。そんな体験をしたら、きっと旅に満足するはずです。これぞまさに米国のクルーズ会社Carnival Cruise Lineが取り組もうとしていることです。同社はこれを、ウェアラブルデバイスやデジタルコンシェルジュを活用した新しいサービスOcean Medallion Classとして実現したいと考えています。乗客がバケーションを満喫できるよう、パーソナライズされた顧客体験をシームレスに提供しようとする取り組みです。
消費者はこのような水準のパーソナライゼーションを常に求めるようになっています。そしてその要望に応えることが、企業にとってかつてないほど重要になっています。その理由はシンプルで、企業が要望に応えられなければ、消費者は他社に移ってしまうためです。しかし、多くのブランド企業は、顧客一人ひとりにカスタマイズされた最適なエクスペリエンスを実現するという、膨大な課題に直面しています。それを実現する唯一の方法は、高度な人工知能(AI)とマシンラーニングを活用することです。
こうした背景から、アドビはAdobe Targetに組み込まれているAdobe Senseiの新機能を発表しました。マーケターはこの新機能により、パーソナライズされたエクスペリエンスをワンクリックで最適化し、顧客へのレコメンデーションを強化し、ターゲティング精度を向上させ、パーソナライズされたオファーの提供を自動化するソリューションを利用できるようになります。
待望のワンクリックパーソナライゼーション
アドビの使命は、ブランド企業が個々の顧客に最高のエクスペリエンスだけを大規模に提供できるようにすることです。それに対するソリューションが、Adobe Target Premiumの新機能であるAuto-Targetです。Adobe Senseiの高度なマシンラーニングを活用することで、マーケターは、さまざまなデジタル顧客接点で展開されるさまざまな顧客体験のバリエーションをワンクリックでテストし、パーソナライゼーションを図れるようになります。Auto-Targetのベータ版を試用した金融機関関係者は、次のように述べています。
「Auto-Target機能によって、A-B-C-Dのページレベルのテストを、アルゴリズムを使用して行えるようになりました。従来のテスト方法から改善された点として、マシンラーニングでは、我々が重要と考えた特徴やセグメントだけでなく、サイト訪問者のすべての変数と特徴が考慮できるようになりました。」
Auto-Targetは顧客一人ひとりにとって最適なエクスペリエンスとはどのようなものかを自動的に判断するとともに、顧客が新たな行動をするたびにエクスペリエンスを最適化し続けます。例えば、ホテルチェーンでは、予約状況やモバイルアプリのエンゲージメントをもとに、温暖な旅行先を求めるリワード会員を特定し、ビーチリゾートのホテル情報やコンテンツを提供することができます。これにより、エンゲージメントやロイヤルティを向上させることができます。
また、Auto-Targetは、消費者が何に反応し何に反応しないのかを学習することで、時間の経過とともにエクスペリエンスのパフォーマンスが向上していくよう設計されており、最適な顧客体験だけを提供することができます。そのため、ブランド企業は、貴重なトラフィックで何かリスクを冒していないかと懸念することなく、パーソナライゼーションをさらに推進することができます。バックアップポリシー機能によってマーケターは、任意の選択肢の中から最善のオファーが提供されている状態を保つことができます。その結果、最適な顧客体験がさらに向上します。
Auto-Targetは、Adobe Target Premiumのすべてのお客様に提供中です。
自然言語処理機能による効果的なレコメンデーション
デジタル顧客体験において、レコメンデーションは最も活用されており、最も効果的なパーソナライゼーション手段の一つです。実際、Amazonのレコメンデーションは、同社の売り上げの30%に寄与しているという報告もあります。しかし、すべてのレコメンデーションエンジンの精度が同じであるとはいえません。何十億にも及ぶ消費者のインタラクションを踏まえてリアルタイムで効果的なレコメンデーションを提供することができないエンジンもあります。
Adobe Targetはすでに、顧客が求めているコンテンツやオファー、製品を予測することのできる、堅牢で枠にとらわれないアルゴリズムを提供しています。このアルゴリズムをさらに強化するために、自然言語処理機能にもとづく手法を用いて、品目や製品のレコメンデーションを行う新技術を発表しました。業界初のこの技術により、消費者の行動に隠された根本的な意図を明らかにしながら、顧客が次に求めるコンテンツや製品を高い精度で予測することができます。
その仕組みを説明しましょう。ブログの投稿を読む、動画を視聴する、といった消費者のあらゆるデジタル上でのアクションを、消費者との対話の一部であると考えてみてください。そして、それらのアクションの集合体が、何等かの質問や意図を含んだ意味を示唆している、と捉えるのです。Adobe Senseiは、マシンレベルでそうした消費者の求めていることを解釈し、どのように対応すべきかを考えています。Adobe Targetは、そのような対話を踏まえて消費者一人ひとりの関心に沿った製品やコンテンツを表示します。
例えば、小売業では、ある顧客が環境にやさしい洗濯技術を紹介したビデオを閲覧した後に、自然に還るドライシートを購入したことに着目したとします。顧客の行動が示唆したことにもとづき、その小売業者は環境にやさしい洗濯用洗剤をパーソナライズされたレコメンデーションとして勧めることができます。従来のアルゴリズムでは、他の人が多く閲覧したコンテンツにもとづき、洗濯用洗剤のレコメンデーションを発信していました。この新しいレコメンデーション技術のベータ版は、今秋リリース予定です。
顧客一人ひとりに最適なオファーの提供を自動化
最適なオファーを提供するには、多数のデータソースから得られる膨大なデータを活用する必要があります。すべてのデータを検証した上で理解することは、人間の能力を超えた膨大な作業です。そこでAdobe Targetの強化された判断機能を使えば、マーケターは何百ものオファー案の中から適切なオファーを自動生成し、常に正しいタイミングで正しい相手に表示することができます。
例えば、Adobe Targetの自己学習モデルを利用している金融機関は、住宅ローン、クレジットカード、オンライン決済といった動的なオファーを、個人の過去の閲覧経路、口座ステータス、検索条件などをもとに生成しています。新しく家を購入して初めての住宅ローン契約を交わした男性と、退職を間近に控えた女性とでは、求められるオンラインでのエクスペリエンスは大きく異なります。Adobe Targetならば、モバイルアプリやIoTでのエクスペリエンスにおいて、パーソナライズされたオファーの自動生成を提供することができるのです。
Adobe Analytics Cloudによる精度の高いターゲティング
顧客と一対一の関係を構築することはパーソナライゼーションの究極の理想ですが、これは一人ひとりについて、360度のあらゆる観点から理解することなしには成し遂げられません。Adobe Targetを使えば、訪問者行動データを活用して、総合的なパーソナライゼーションのためのプロファイルをリアルタイムで獲得することができます。しかもAdobe TargetとAdobe Analytics Cloudの統合強化により、マーケターは行動分析やオーディエンスデータを使って詳細なセグメンテーションを行うことができます。そして、秒単位まで掘り下げられる総合的なデータにもとづき、より精度の高いターゲティングを行い、関心事項に最も近いパーソナライズされたエクスペリエンスを提供することができます。
マーケターはさらに、Adobe Targetに新しく搭載されたExperience Version機能により、顧客体験についてのA/Bテストを実施し、webサイト上のオファーボックスなどについてテストする際に、Adobe Analytics Cloudから複数のオーディエンスや行動セグメントを適用し、エクスペリエンスの特定のコンテンツ分野に関してきめ細かくターゲティングを行えるようになりました。例えば、グローバルに事業を展開する台所用品メーカーは、過去5カ月の間に鉄製フライパンを購入したセグメントを対象としたオファーを企画することができます。そして、米国、フランス、ドイツといった顧客の住所によってオファーの言語や通貨が自動的に更新されます。
アドビは常に、お客様が極めて適切な顧客体験を提供できるようにすることを目標としています。このたび発表したさまざまな機能強化により、アドビはさらに多くのことを可能にし、これまでにない領域までパーソナライゼーションを進めることを支援できるようになったのです。
※本記事は、2017年7月27日にAdobe Targetのプロダクトマーケティング担当であるケビン リンゼイ(Kevin Lindsay)が投稿したブログの抄訳版です。