知ってるようで、知らずに損してるAcrobatとPDFのアレコレ(1)AcrobatとPDFの基本(バージョンと閲覧方法)
知ってるようで、知らずに損してるAcrobatとPDFのアレコレ
多くの方が、AcrobatやPDFをほぼ毎日お使いのことと思いますが、その反面、「なんとなく開いて、ただ見るだけ」の方が多いようです。
Acrobatでできること自体が広範囲にわたり、その全容をつかむのも一仕事ですし、バージョンアップによってインターフェイスが変わり「何がどこにあるのかわからなくなって困っている」という方もいるでしょう。
この連載では、AcrobatやPDFを仕事で使う上でのヒントやコツをご紹介していきます。
そもそもAcrobat、PDFって?
まずは、AcrobatとPDFの関係、歴史、バージョンについて把握しておきましょう。
必ず覚えておきたいポイント
必ず覚えておきたいのは次の3つです。
- Acrobat、Acrobat Readerはアプリケーション名。PDFはファイル形式
- PDFにもバージョンがあり、最新版は「PDF 1.7」。
- 無償のAcrobat Readerは基本的に閲覧専用。PDFを編集するアプリケーションがAcrobat
たとえば、PSDファイルはPhotoshop、AIファイルはIllustratorのように、ネイティブ形式のファイルはそのアプリケーションがないと開くことができないのが大原則です。一方、ワープロソフトのように、ある程度の互換性はあっても、メーカーやバージョンが異なると文字化けしたり、レイアウトが崩れてしまうことがあります。
どんなアプリケーションで作成されても、PDF(Portable Document Format)形式に変換し、Acrobat(Acrobat Reader)を使えば、レイアウトが保持され閲覧できるというのがAcrobat/PDFの基本思想です。
Acrobatが生まれて24年。日本語対応してからも21年と「あって当たり前」の存在ですが、リリース当時は、まさに「アクロバティックな」ファイル形式として注目されました。その後、閲覧するだけでなく、パスワード設定したり、ページを増減したり、文字や図形を修正したり、また、校正指示を書き込むなどの機能が追加されてきました。
少し余裕覚えておきたいポイント
少し余裕があれば、次の点も覚えておきましょう。
- Acrobat Readerは2003年から2015年まで「Adobe Reader」と呼ばれていた
- Mac OS Xは、OSレベルでPDFをサポートしている
- PDFのバージョンは、現在、PDF 1.3から1.7までが使われている
年表
ご参考までに、年表を添えておきます。
PDFの素性を知る
PDFのバージョン、作成元のアプリケーションを調べる
まずは、手元のPDFの素性を調べてみましょう。
- 利用されているフォントを調べる
- どんなアプリケーションで作成されたかを知る
- PDFのバージョンを知る
[ファイル]メニューの[プロパティ]をクリックして、[文章のプロパティ]ダイアログボックスを開きます。キーボードショートカットはcommand+Dキー/Ctrl+Dキーです(DocumentのD)。
[概要]タブ内にて、次の情報を確認できます。
- 【1】アプリケーション:作成元のアプリケーション
- 【2】PDF変換:変換方法
- 【3】PDFのバージョン
- 【4】ページサイズ:判型(ページごとに異なる場合には、選択しているページの判型が表示される)
使用されているフォントを調べる
埋め込まれているフォントは、[フォント]タブで確認できます。
いろいろな閲覧方法
複数ページのPDFを閲覧するとき、使いこなすと便利なのが「ページ表示」のオプションです。
単一ページ表示
「単一ページ表示」では、1ページずつ表示されます。「スクロール表示」を有効にすると、ズーム比率によって前後のページが表示されます。
また、「他のページとの間にスペースを表示」オプションをオフにすると、ページ間のアキが消え、破線が表示されます。
見開きページ表示
「見開きページ表示」では、2ページずつ表示されます。
「スクロール表示」、「他のページとの間にスペースを表示」オプションは、単一ページ表示のときと同様です。
表紙を表示
「見開きページ表示で表紙を表示」オプションをオンにすると、1ページ目のみ、片ページで表示されます。
書籍などのページものでは、「見開きページ表示で表紙を表示」オプションをオンにすると、見開きが正しく表示されます(左)。
一方、裏表で構成されている制作物(チラシ、アンケートをスキャンしたもの、名刺など)は、「見開きページ表示で表紙を表示」オプションをオフにします。
開き方を設定する
[文書のプロパティ]ダイアログボックスで[開き方]を設定すれば、PDFファイルごとに開き方を保存することができます。
プレゼンで利用する
プレゼンで利用する際には、フルスクリーンモードを利用します。
[表示]メニューの[フルスクリーンモード]をクリックすると、すべてのインターフェイスが消え、黒背景に、1ページごと表示されます。キーボードショートカットはcommand+Lキー/Ctrl+Lキー(LargeのL)です。
トランジション(ページの切り替わりのアニメーション)の初期設定は「なし」になっています。環境設定の[フルスクリーンモード]で変更できますが、残念ながら、どれも昭和テイストのものばかりですし、また、タイミングなどのコントロールができません。使うのは避けた方がよいでしょう。
まとめ
今回は、AcrobatやPDFの基本、PDFの閲覧方法についてご紹介してきました。この連載を機に、使いこなしましょう。