知ってるようで、知らずに損してるAcrobatとPDFのアレコレ(2)PDFの軽量化、そして、別フォーマットへの変換

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知ってるようで、知らずに損してるAcrobatとPDFのアレコレ

今回は、Acrobatを使ってPDFを軽くする方法と、PDFの各ページをテキストや画像に書き出したり、MS Office(Word、Excel、PowerPoint)などに変換する方法についてご紹介します。

PDFを軽量化する

オンラインでやりとりするときなど、少しでもPDFファイルを軽くしたいケースがあります。

PDFを軽くするためにZIP圧縮される方がいますが、PDF自体が圧縮フォーマットのようなものなので、実際のところ、劇的に軽くなることはありません。そこで、Acrobatに用意された軽量化ツールを使います。

簡易的に軽くする方法と、少し込み入った方法まで5つの方法があります。

なぜ、このように“建て増しの迷宮”のようになっているのか理解に苦しみますが、それはさておき、すべて覚える必要はありません。手に馴染むものを覚えておきましょう。

それぞれ、AcrobatでPDFを開いたところからスタートします。

【1】簡易的に軽くする方法(1)ファイルサイズを縮小

  1. [ファイル]メニューの[別名で保存]をクリック
  2. [PDFとして保存]ダイアログボックスが開くので、[ファイルサイズを縮小]オプションにチェックを付ける
  3. [別のフォルダーを選択]ボタンをクリック。保存先やファイル名を指定して[保存]ボタンをクリックする

[PDFとして保存]ダイアログボックスで[Document Cloud]を選択しても同様です。なお、Document Cloudは、Acrobatから利用できるクラウドの保存領域です。

なお、ぱっと見た目にはわかりにくいのですが、[ストレージ]は「マイコンピューター」や「Document Cloud」を包括する項目名、[アカウントを追加]はボタンです。

上記の図では、[アカウントを追加]からDropboxを接続した状態です。

【2】簡易的に軽くする方法(2)最適化

簡易的に軽くする方法の2つ目です。途中までは「簡易的に軽くする方法(1)」と同様です。

  1. [ファイル]メニューの[別名で保存]をクリックして、[PDFとして保存]ダイアログボックスを表示する
  2. [ファイルサイズを縮小]オプションはオフのまま、[別のフォルダーを選択]ボタンをクリックする
  3. [PDFとして保存]ダイアログボックスが開いたら、[フォーマット]に「Adobe PDFファイル(最適化)」を選択、保存先やファイル名を指定して[保存]ボタンをクリックする

【3】簡易的に軽くする方法(3)サイズが縮小されたPDF

  1. [ファイル]メニューの[その他の形式で保存]→[サイズが縮小されたPDF]をクリック
  2. [ファイルサイズを縮小]ダイアログボックスが開く。PDFのバージョンを指定することが可能
  3. [別名で保存]ダイアログボックスが開くので、保存先やファイル名を指定する

【4】PDFの最適化

  1. [ファイル]メニューの[その他の形式で保存]→[最適化されたPDF]をクリック
  2. [PDFの最適化]ダイアログボックスが表示されます。

PDFの重さの原因のほとんどはビットマップ画像です。画像のダウンサンプル(解像度を間引くこと)などによって、より軽いPDFになります。

[PDFの最適化]ダイアログボックスでは、主に、画像の解像度を変更することで、PDFを軽くします。

PCの画面だけを想定する場合、「144dpi」から「200dpi」程度まで下げます。ただし、iPhoneなど高解像度のスマホへの対応を前提とする場合、300dpi程度ないとボンヤリした画像になってしまいますので、結果を見ながら試してみてください。

なお、ダイアログボックス右上の[容量の調査]ボタンをクリックすると、現在開いているPDFの構成を調査することができます(毎回、[容量の調査]を開く必要はありません)。

【5】簡易的な流れからの詳細設定

「簡易的に軽くする方法(2)最適化」にて、「Adobe PDFファイル(最適化)」を選択すると、[設定]ボタンがアクティブになります。

このボタンをクリックすると、[PDFの最適化]ダイアログボックスが開くので、ダウンサンプルなどの設定を行います。

PDFファイルの軽量化のまとめ

改めて図解すると、次のようなフローになっています。

3つの簡易的に軽くする方法は、ほぼ結果は変わりません。

PDFを保護する

Acrobatを使い、PDFに対して「パスワードを持っている人のみ開けるようにする」、「閲覧者がプリントアウトできなくする」などの制限をかけることができます。これを「セキュリティ」や「保護」と呼んでいます。

文書を開く

PDFを開くときにパスワードを設定する

権限

印刷

許可しない

低解像度(150dpi)

高解像度

変更

許可しない

ページの挿入、削除、回転

フォームフィールドの入力と既存の署名フィールドに署名

注釈の作成、フォームフィールドの入力と既存フィールドに署名

ページの抽出を除くすべての操作

コピー

テキスト、画像、およびその他の内容のコピーを有効にする

スクリーンリーダーのテキストアクセスを有効にする

パスワード

(開くときのパスワードとは別のパスワード)

「面倒そう!」と思う方は、「セキュリティ」や「保護」では、次の項目が設定可能とだとおさえましょう。

設定を行うには、次の2つのアプローチがあります。

[文書のプロパティ]ダイアログボックスの[セキュリティ]タブ

  1. [ファイル]メニューの[プロパティ]をクリックすると、[文書のプロパティ]ダイアログボックスが開きます。
  2. [セキュリティ]タブに切り換え、[セキュリティ方法]に「パスワードによるセキュリティ」を選択します。
  3. [パスワードによるセキュリティ – 設定]ダイアログボックスが開くので、次のように設定します。

[保護ツール]

古くからAcrobatを使っている方には、「ツール」という概念自体が理解しにくいと思います。複雑化したメニューを簡略化しつつ、カテゴリごとに機能を再整理し、新しいUIで実行できるようにしたものが「ツール」です。

ちょっとややこしいのが、画面上部に従来のアイコンベースの「ツール」が並んでいるところ… とはいえ、一度、理解できると実はシンプルです。

  1. [ホーム]の右側の[ツール]をクリックする
  2. ツールの一覧が表示されるので、スクロールして[保護と標準化]までスクロールして、保護のアイコンをクリックする
  3. [保護]のツールバーが表示され、次の4項目が表示されます。

非表示情報を検索して削除

ウェブサイトなどでPDFを配布するとき、[保護ツールバー]の[非表示情報を検索して削除]を行っておきましょう。

これを実行すると、次の情報が削除されます。

「いつ、誰が、どんなアプリケーションを使って、どのファイルをどのような方法でPDFを作成したのか」という情報が削除されます。

外部からの攻撃に対し、情報を与えない、という観点から、ウェブサイトなどでPDFを配布するときには、削除しておくのが賢明です。

PDFのデータを再利用する

最後に、PDFからテキストや画像を書き出したり、Excel、Word、PowerPoint形式に変換する方法についてまとめておきましょう。

テキストを抜き出す

次のアプローチ方法があります。

なお、「リッチテキスト形式」、「テキスト(アクセシブル)」を除き、見かけの改行位置に改行記号が入ってしまいます。

テキストのカラーやフォントサイズなどの情報が不要な場合でも、「リッチテキスト形式」で書き出してから加工するのがよいでしょう。

画像

次の4つのファイル形式への書き出しをサポートしています。それぞれページごとに1ファイルとして書き出されます。

それぞれの詳細設定は、[PDFとして保存]ダイアログボックス内の[設定]ボタンをクリックすると表示されるダイアログボックス内で行います。

Word、Excel、PowerPoint形式に変換

Acrobat DCの特筆すべき機能強化ポイントに、Word、Excel、PowerPointなどのMS Office形式への変換が挙げられます。

[ファイル]メニューの[書き出し形式]から、それぞれの形式を選択するだけです。

たとえば、Illustratorで作成したドキュメントをPDF化し、AcrobatからPowerPoint書き出しすると、微調整こそ必要ですが、かなりの精度で書き出されます。

ただし、Illustratorのアピアランスやテキストの自動カーニングなど、Illustratorの独自機能はサポートされませんので注意してください。

まとめ

今回は、Acrobatを使ってPDFを軽くする方法と、PDFの各ページをテキストや画像に書き出したり、MS Office(Word、Excel、PowerPoint)などに変換する方法についてご紹介しました。

多機能なAcrobatゆえ、「あ、ここにあったの!」、「え、そんなことできたんだ」など、発見があったことと思います。使えそうなものがあれば、ぜひ、日々のワークフローに落とし込んでみてください。