視覚の壁を超えるビジュアル作成法 – パノラマ合成 #AdobeStock

連載

調査

このブログでは、風景写真専門のオンラインフォトコミュニティPASHADELIC (パシャデリック)から、風景を撮影する際に役立つおすすめ道具やコツ、絶景風景の撮影スポットをご紹介いただきます。今回はパノラマ作品をうまく作成する方法についてです。

本来パノラマ写真は特殊なカメラでしか撮影できず、手を出すのが非常に難しい撮影方法の一つでした。現在は写真作成のプロセスのデジタル化により、本来のパノラマ撮影に極めて近い画像の作成が比較的手軽に行えるようになりました。

Adobe Stockで販売されているパノラマ風景の点数約100万点のうち、日本の風景を写したパノラマ作品は8千点に満たず、点数が少ないジャンルと言えます。いわば競合する作品が少ないジャンルでご自身の投稿作品を増やせば、売上のアップも見込めるのではないでしょうか。

更に、今後ますますニーズが高まることが確実なのは、360度パノラマVR (バーチャルリアリティー)。現時点ではこの撮影や合成には専用のカメラやソフトウェアが必要ですが、日頃からパノラマの撮影に慣れていれば、360度パノラマのニーズが伸びてきた時でも比較的容易に制作ができるでしょう。

パノラマ合成の考え方やいくつかのコツを取り上げた本ブログを参考にしていただき、パノラマ風景の撮影に挑戦してみて下さい。

パノラマ写真の狙い

パノラマ写真を撮る目的は、通常の撮影方法では表現しきれない何かを狙うことでしょう。多くの場合、パノラマの縦横比は横長、または縦長の画面構成になりますが、横アングルでは広大な自然の描写などに適したケースが多くなります。

こちらの写真は一見何気ないものに見えますが、天の川全てが虹のようなたちで写し取られています。概ね360度全周をカバーした写真で、視覚の世界を超越した写真です。


https://www.pashadelic.com/locations/1002375/photos/9cbf597ae27a4961a4d9891604af610e

Armin Proschek/PASHADELIC

こちらは、たなびく雲と画面いっぱいに広がる草原が画面の拡がりをより際立たせ、雄大な自然を余すことなく写し取ることが出来ています。


https://www.pashadelic.com/locations/1035233/photos/f8c5171621db4a99acf0811c077a3692

Mateusz Liberra/PASHADELIC

パノラマ合成の基本線

パノラマ合成を使った撮影の基本は、カメラをパンしながら撮影した複数の写真をPhotoshopなどを活用して結合・合成、1枚の写真に仕上げることです。

合成の際の位置合わせなどのために、隣り合う2枚の写真の間でオーバーラップする部分を作ります。目印になりやすいオブジェクトをオーバーラップ部分に入れておくと後処理が楽になります。

写真のトーンに関する注意点

パノラマ合成した写真のクオリティアップのための注意点の一つ目は、撮影する各コマでトーンを統一するために露出を固定しておくこと。

こちらの写真はカメラがAEモードのままだったためパンした際に露出設定が変化、空のトーンのつながりに破綻が出ている部分があります。

また、レンズは十分に絞り込んで周辺減光の影響がなくなるようにします。レンズで修正しきれない場合には、後処理で周辺減光の補正を行ないましょう。

厳密にはオートホワイトバランスも切って、プリセットか色温度指定モードを使った方がより良いでしょう。

図形歪みに関する注意点

合成元の写真がパースを効かせた写真の場合には、合成後に図形の歪みが目立ちやすくなります。合成元の画像はパースのかかりにくい望遠側の焦点距離を選ぶ方が良いケースもあります。

使用するレンズの図形歪みの収差にも気をつけましょう

比較的パースが穏やかな換算35mm相当のレンズで撮影した画像3枚からパノラマ合成してもこのような結果になります。(VR向けの画像としてはこちらの射影方式のほうが適している場合もあります)

また、オーバーラップさせる余裕部分を十分に取らないと、上記の画像の白地のようにうまく画像が行き渡らない部分が出るケースもあります。

さらに厳密にパノラマ合成由来の歪みを排除したい場合には、PASHADERICのこちらの記事『Shumonが伝える! 歪みのないパノラマ写真を上手に撮影するテクニック』が参考になると思います。

パノラマ合成のやり方

パノラマ合成はPhotoshopに実装されている**「Photomerge」コマンド**を使って行うことができます。コマンドが画像の位置合わせなどの情報を得るために、左右の画像と40%のオーバーラップ範囲を作ることが推奨されています。

詳細な手順はAdobe Photoshopのユーザーガイドに掲載されておりますので、ぜひ活用してみてください。

いかがでしたでしょうか?風景を撮影される際は是非挑戦してみてください。そして仕上がった作品はAdobe Stockへの投稿をお待ちしております。Adobe Stockでは作品を投稿して下さるコントリビューターを募集中です。コントリビューター登録がお済みでない方はこちらからどうぞ。

ページトップの写真 : Masaki Kaji