音声認識機能の現状と未来
米IBIS World社の発表した2017年度市場データによれば、2012年から2017年までのわずか5年間で約126億ドルの売上高を記録した音声認識市場。 Google Nowや AppleのSiri、Microsoft Cortana、Amazon Alexaなど、音声認識機能を搭載したバーチャルアシスタントが急速に普及してきた今、2017年から2022年までの間、年間売上高は6.9%の成長を予測されている。
市場での競争が年々激しくなる中、商品を販売する企業やメーカーはどのような戦略を持つべきなのだろうか。それを検討するためには、まず音声認識機能に対する消費者意識の現状と今後の市場予測の明確な分析が求められる。
米Walker Sands Communications社によって発表された、2017年度消費者レポートによると、5人にひとりの消費者(約19%)がAmazon Echoなどの音声認識機能型バーチャルアシスタントを通して、音声だけによる商品購入をおこなったという。 2018年には、この数字は約33%に増加すると予測される。
さらに、米Toluna社がおこなった2017年アンケート調査によれば、音声認識機能型バーチャルアシスタント所有者の約53%は、店頭を訪れる機会が減少したことが判明した。 消費者の「商品を見て買う」という発想が、徐々に薄れてきていることを示している。この消費者意識の変化を裏付けるかのように、米VoiceLabs社は、2020年にはwebページ閲覧のおよそ30%はスクリーンなしで行われるようになるという。 企業やメーカーは、そのような目に見えない商品棚で争わなければいけなくなる。
音声検索が主流となる前に、各企業は特にSEOに重点を置き、ブランドロイヤルティを築き上げていくことがより重要になっていくであろう。なぜなら、現在、音声認識機能型バーチャルアシスタント用のペイドメディアは存在しておらず、主に消費者の購入パターンからおすすめの商品が紹介されている。
もし、消費者に新たなブランドの商品を試したいという意識が低ければ、音声だけで、 なじみのない商品を「売る」のは不可能と言っても過言ではない。Google社によると、音声用のペイドメディアを検討しているというが、その詳細はまだ明らかにされていない。
現在、検索結果の上位に自身のブランドが表示されない場合、より検索範囲の狭くなる音声検索において、消費者の耳に触れることはまずないであろう。そのため、企業は 「ゼロUI」に向けて音声マーケティングやwebサイトの音声検索最適化に力を入れることが得策といえる。米Gartner社の市場分析によると、音声検索の最適化を駆使した企業は、2021までに、eカマースにおいて約30%の売上高向上が見込まれている。