アドビ独自の小売業界向けパーソナライゼーションを強化し、体験主導型の商取引を実現
消費者の期待値が高まり、2017年の小売業界動向が複雑化してきている中、小売業者は他にはない楽しいショッピング体験を提供しなければなりません。消費者は、デジタルに関わらず店舗などの物理的なあらゆるタッチポイントにおいて、スムーズで自分に合った体験を求めおり、小売業者への要求は高まっています。
人工知能(AI)やマシンラーニング、音声インターフェイスなどのイノベーションにより、先進的な小売業者はテクノロジーを活用して他にないショッピング体験提供することで差別化を図り、消費者の満足度と収益を向上させることが可能になります。
米国ロサンゼルスで9月25日から27日まで開催されたデジタル小売業のカンファレンスShop.org(英語)において、アドビはAdobe Experience Cloudのデモを披露し、AIおよびマシンラーニングのフレームワークであるAdobe Senseiにより、いかにして小売業者が体験主導型の商取引を実現し、よりタイムリーで関連性の高い体験を提供することができるかを披露しました。
消費者が認知、発見からコンバージョンまでのショッピングジャーニーの中で、その人の嗜好に合うリアルタイムなコンテクストにもとづくパーソナライズされた体験ができることを想像してみてください。Adobe Senseiのパーソナライゼーション機能を統合した「柔軟なエクスペリエンス(Fluid Experience)」は、消費者が求める情報を適したチャネルで提供でき、スムーズなシナリオのショッピングジャーニーを実現します。
さらに、消費者は、チャット、音声機能、モバイル、店頭という複数のタッチポイントをシームレスにつなぎながらブランドと関わることができ、小売業者はこの体験を単一プラットフォームで構築し、管理することができます。
自社を訪問した顧客はいかにコンバージョンするのか、というインサイトを持つことは、小売業者の戦略において重要です。例えば、小売業者のwebサイトへの訪問全体に占めるソーシャルネットワークからの割合は、2015年1月以降で2倍以上に増大しています。つまり、ソーシャルネットワークは買い物客へリーチできるチャネルへと急成長を遂げていることが分かります。
アドビは、Adobe Analyticsから得た匿名データにもとづいて小売業界レポート(英語)を発表し、小売業者にインサイトを提供しています。
Adobe Experience Cloudは以下のような小売業者向けの新機能を発表します。
- **柔軟なパーソナライゼーション(Fluid Personalization) – 消費者のコンテクストに合わせた柔軟でパーソナライズされた体験を創出:**小売業者にとって、あらゆるタッチポイントにわたりパーソナライズされたオムニチャネルの体験を創出、管理できることは、非常に重要です。複数のチャネルにわたりコンテンツを配信できるAdobe Experience Managerの機能とAdobe Targetのパーソナライゼーションおよびテスト機能を統合することで、小売業者はコンテンツのテストとパーソナライゼーションを容易かつ大々的に実施できます。この新機能「柔軟なパーソナライゼーション」は、状況にあったコンテクストにもとづく体験を自動で配信および最適化を行うAdobe Senseiを活用することで、パーソナライゼーションのボトルネックが大幅に解消させます。消費者のジャーニーの位置や状況にあうコンテクストを判断し、適切なメッセージを配信することができます。例えば、ファッション小売業者は秋物コレクションの販促にあたり、顧客にeメールを送ります。eメール内でマーケティングのために利用したコンテンツは、自動的にInstagram、モバイルアプリ、店頭スクリーンにも活用され、現地のファッションショーへの招待やターゲットを絞ったオファーなど、パーソナライズされた情報を提供します。アドビはワンクリックパーソナライゼーションのリリースに続くものとしてこの新機能を位置付けています。
- **Smart Imaging – 帯域幅にあわせて画像を賢く調整:**小売業者は、Adobe Experience Managerにより、鮮やかでダイナミックな画像や動画を簡単に作成でき、さまざまなスクリーンに向けて幅広く配信できます。アドビはこのたび、Experience Manager for Dynamic Mediaの新機能としてSmart Imagingを発表します。配信にあたりSmart Imagingは、帯域幅、スクリーンの画像解像度、ブラウザのバージョンにあわせて賢く画像を調整でき、最適化された画像をより小さな容量サイズで、視覚的な忠実性を損なうことなく配信します。モバイルプラットフォームに重点を置いたSmart Imagingは、ページサイズを大幅に削減し、帯域幅にかかわらずすばやくロードすることができるため、高品質な体験を実現します。これにより、消費者のエンゲージメント、コンバージョン、満足度が向上します。例えば、消費者は、会社で休憩中に高帯域幅のネットワークでショッピングのリサーチを開始し、帰宅中の電車など、低帯域幅のモバイル端末で閲覧を続けることができます。Smart Imagingにより、すばやく画像や動画がロードされ、画像はどのシナリオでも同様の高品質を保ちます。この機能は年内に利用可能になる予定です。
- **インサイトを取得し、音声インターフェイスからおすすめを通知:**音声認識デバイスとデジタルアシスタント機能が小売業者のアプリと統合され、夕食の宅配注文や洗濯洗剤の補充が可能になります。今日、小売業者はAdobe Analytics Cloudの充実した顧客インサイトによりおすすめを通知できることで、音声機能の顧客体験を向上できます。Adobe Analytics Cloudは、手作業による面倒な分析が不要で、あらゆる主要なプラットフォームからの音声データの分析を自動化するため、小売業者は実用的なインサイトを取得することができます。Adobe Marketing Cloudとの統合により、データのインサイトはアクションへとつながり、音声、モバイルアプリ、コネクテッドカーなどのチャネルにおいて自動的にパーソナライズされた情報を提供します。また、Adobe Analytics CloudはAnalysis Workspaceを基盤とする高性能なワークプレイスを発表します。これにより小売業者は、事前に構築した製品およびマーチャンダイジングのテンプレート(英語)を利用して、意義のあるインサイトをよりすばやく発見できます。
- **ユーザーが作成したコンテンツによりコンバージョンを増加:**Adobe Marketing Cloudの一つであるAdobe Experience Manager Livefyreにより、ブランド企業はすでに自社チャネル上で真のソーシャルコンテンツと統合できています。さらに、新たなイノベーションにより、小売業者は以下のことが可能になります。
- Adobe Experience Manager CommerceのカタログとLivefyreの同期や、他のeコマース ソリューションからファイルを簡単にアップロードできることにより、シームレスに製品とUGCを連携(英語)できます。これにより小売業者は、自社取り扱い製品に関わるユーザー生成コンテンツ(UGC)を、購買体験に統合できます。ソーシャル上に投稿された写真、動画、コメントを商品ページに直接埋め込むことで消費者の購買行動を促すことができます。また、Livefyre Media WallやMosaic、Filmstripなどに表示された、取り扱い製品のUGCにあわせて、カスタマイズ可能なCTA(call-to-action)ボタンを配置することで、顧客の購入を促進します。アドビは2018年初頭までにLivefyre APIを公開し、小売業者があらゆる商取引プラットフォーム(まずはGoogle Shopping)を活用してwebサイトを統合できるようにします。
- Experience Manager Livefyreおよび、Marketing Cloudのパーソナライゼーションエンジン(英語)であるAdobe Targetにより、UGC体験を最適化し、パーソナライズを実現します。小売業者は、静的コンテンツとリアルタイムUGCの比較テストを行ったり、ベストなソース、表示位置、ロケーションをテストで判断できます。例えば、インスタグラムとツイッターの比較、あるいはMedia WallとMosaicの比較、中央モジュールと右側のサイドカラムの比較などがあげられます。エンゲージメントとコンバージョンをさらに増やすため、行動、状況、オフラインの各データの組み合わせにもとづいて、それぞれの閲覧者に対してパーソナライズし、最高のUGC体験を提供することができます。Adobe Targetのこの新機能は、アドビのAIおよびマシンラーニングのフレームワークであるAdobe Senseiによるものです。
- **商品に関する詳細情報で広告をパーソナライゼーション:**Adobe Advertising Cloudは製品カタログ主導のキャンペーンの制作、管理、広告パーソナライゼーションを提供します。強化されたDynamic Creative Optimization(DCO)機能により、カタログのデータを広告に直接盛り込むことができるため、カスタマージャーニーの至る所で購買意欲を刺激し、パーソナライズされた体験の向上を図ることができます。ブランド企業は、多変量のテストを実施することで、消費者に対して最も効果的なクリエイティブやメッセージをアルゴリズム的に決定できます。こうした広告には、個々の商品に関する価格、モデル、商品説明、評価などの詳細なSKUレベルの情報が含まれており、消費者のコンバージョンを促進するようになっています。例えば、小売業者は、キッチン機器で有名な米国ブランドVikingのオーブンについて、欲しい機種の画像や商品詳細、10%などの割引オファーを検索している消費者にリターゲティングし、あるいはアップセルやクロスセルのオファーを提案することができます。また、Adobe AnalyticsおよびAdobe Audience Managerの統合により、広告をいっそうパーソナライズすることができます。
米国の小売業者トップ100の80%がAdobe Experience Cloudを活用しており、Adidas、Dior、Jet.com、John Lewis、花王、日清食品、Safeway、Sephora、Shop Directをはじめ多くの小売業者がAdobe Experience Cloudを導入しています。
※本記事は、2017年9月27日にアドビシステムズ 小売および旅行&観光業界戦略担当ディレクターのマイケル クライン(Michael Klein)が投稿したブログの抄訳版です。