アドビは35周年を迎えました ー まだ始まったばかり #Adobe
アドビの創設者ジョン ワーノック(John Warnock)とチャック ゲシキ(Chuck Geschke)およびCEOシャンタヌ ナラヤン(Shantanu Narayen)がアドビのイノベーションに関する見通しについて語りました。
1980年代は、MTVがケーブルテレビの主流であり、ベルリンの壁が崩壊し、世界初の有望視される永久人工心臓が発明された時代でした。インターネットの登場はまだ10年先で、CDが音楽業界とデジタルデータの保存方法に革命をもたらしました。アフロヘアーや蛍光色の服が流行したこの時代、イノベーションが最高潮に達していたことは間違いありません。
1982年12月、ジョン ワーノックとチャック ゲシキがそれぞれの才能を持ち寄ってアドビを創業しました。二人は、Adobe PostScriptによってデスクトップパブリッシング(DTP)革命の礎を築き、用紙に文章や画像をきれいに印刷する斬新で新しい方法を実現しました。それ以来、アドビはデジタルコミュニケーションとデジタルエクスペリエンスの最前線の地位に留まり続けるべくイノベーションを続けています。
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チャック ゲシキ、シャンタヌ ナラヤン、ジョン ワーノック
アドビ35周年を記念して、アドビの共同創設者であるジョンとチャックおよびCEOのシャンタヌ ナラヤンに、現在のアドビを築き上げたものは何か、さらにアートとサイエンスの融合においてトップの地位を保ち続ける構想について聞きました。
アドビの創業当時を振り返り、企業文化を育む上で特に重要なことは何ですか。
**チャック:**非常に特別な思い出が一つあります。私にとって本当に素晴らしいものです。私の祖父と父は、凸版印刷の写真製版工をしていました。印刷のための版を作る職人で、当時タイム誌など高品質な大量の出版物をはじめ、あらゆる印刷業に参入していました。
非常に化学的機械的なプロセスを採用し、それをデジタルに変換しようとしていたので、ハーフトーンのサンプルを家に持ち帰り父に見せました。すると父は「ルーペで見てみよう」と言いました。彫版工は常にルーペを所持していましたから。そして、「チャールズ、これはあまり良くないよ」と言いました。今でも父が「チャールズ」と呼ぶと、良くない知らせのようです。
約半年後、成功したことが分かり、家に持ち帰りました。ロゼットはすべて完璧でした。見事なハーフトーンです。父に見せると、父はルーペを取り出してハーフトーンを見てほほ笑み、「チャールズ、ついにやったじゃないか」と言いました。そして、おそらくそれは私にとって、自分の初期のキャリアにおける最大の見せ場の一つでした。これにより、私たちが市場に提供したかった高品質な製品の基準を打ち立てることができたと思います。
アドビはどのようにイノベーションのレガシーを継承し、印刷、イラストレーション、写真、web、動画における飛躍的な進歩を導いたのですか。
**チャック:**ジョンと私がアドビを創業したとき、自分たちが働きたい会社を築き上げることを目指していました。主な原則は、自分たちが扱われたいように従業員を扱うことでした。ジョンも私もアドビを創設する前にさまざまな企業や組織で働いてきたので、有効なものを取り入れ、それらをアドビの骨組み、理念、基本的価値の一部に組み込みました。
**ジョン:**イノベーションは計画していたものではありません。むしろ、イノベーションを促進する環境を構築しなければなりません。アイデアを自由に出し合うべきです。新しいアイデアやアイデアのフォローアップ、そのアイデアの実現には報酬を与える必要もあります。そのため「今年は4つの新しいアイデアを生み出した」というようなものではありません。従業員のクリエイティブな精神を通じ、アイデアが自然に生まれるような環境を作る必要があります。
また、「ついてこい」の態度も良くありません。誘導する姿勢が必要です。もっとうまくできることが世の中にあると思ったら、それを実行してください。https://blog.adobe.com/media_618bf53071ffea33a0d485babb94826741ed6bfd.gif
数学を学ぶ学生時代からXerox PARCでの革命的な仕事ぶり、さらにはアドビの創業とリーダーシップまでジョン ワーノックとチャック ゲシキのこれまでをご覧ください。
テクノロジーは常に変化していますが、アドビは常に後れをとっていません。変化に適応し続ける(および変化をもたらす)方法をいくつか教えてください。
**シャンタヌ:**テクノロジーの変化にかかわらず、アドビのミッションは変わりません。デジタルエクスペリエンスを通じて世界を変えることです。これがお客様のニーズを認識し、一日の終わりに現状を維持していることが事業戦略ではないので、変化を恐れることはない、という結論にたどり着きます。
アドビで従業員のやる気を引き起こす動機の大部分を占めるのは、当社の影響です。アドビの製品や業務の影響が及ばない場所は世界中にありません。飛行機の隣の席の人が「PDFはすべての情報を共有する方法だ」とか「Photoshopのおかげでクリエイティブになった」と語るのを想像してみてください。
これが私たちを駆り立てるのです。妥当であることは重要ですが、影響を持つことの方が、遥かに意味があると思います。
アドビ最大の変化には、クラウドへの移行によってこの数年間にもたらされたものがあります。今後はどのような機会があると思われますか。
**シャンタヌ:**アドビは創業以来、市場創出の最前線にいます。教育者、お客様にメッセージを届けようとしている起業家、または個人のフリーランサーにかかわらず、声を届けるお手伝いをしたいと思っています。Creative Cloudにより、より多くの人がより速いペースでビジョンを描き、実現できるようにすることを望んでいます。Document Cloudでは、紙媒体からデジタル媒体への動きが継続すると見ています。モバイルデバイスのプラットフォームとしてのPDFは根付きました。現在は、電子署名向けの優れたソリューションがあります。
Experience Cloudは、今ではいろいろな意味で、アドビにとっての新たな最大のチャンスです。地球上のありとあらゆる企業が、デジタルが追い風になるか、または逆風になるかを考えています。トランスフォーメーションを考慮する場合、すべての企業が「カスタマーエクスペリエンスをどうやって前面または中心に置くのか」と尋ねます。Experience Cloudは企業が変革するのを支援しなければならないという願望を劇的に大きくしていると思います。そのすべてを合わせると、アドビのチャンスは計り知れないと考えています。
デジタルエクスペリエンスによって次に起こることは何だとお考えですか。今後のイノベーションについて簡単にご説明ください。
**シャンタヌ:**私たちは、信じられないほど素晴らしい時代に生きています。アートとサイエンス、人間と機械が共存し、激変する成長と機会に拍車をかけます。これを21世紀のルネッサンスと呼ぶこともできます。この新時代に、これまで不可能であった方法で人々が創造できるようにし、企業が競争する方法を変革したいと思います。
クリエイションについては、デジタル媒体の消費と提供が、コンピューターだけにとどまらず爆発的に広がりました。現在、拡張された仮想体験が3Dに出現しています。アドビは新しいデバイスに向けたコンテンツを作成するためのツールと新しいデバイスの出現に合わせた出版の形式において最先端にいるでしょう。音声、タッチ、および新しい共同媒体の楽しみな開発が進んでいます。この媒体により、私たちは時間や場所を問わず、さらには自然な方法による作成が可能になります。
さらに、Adobe Senseiという人工知能(AI)を、クリエイティブなビジョンで時間のかかる作業への取り組みを支援するためのクリエイティブパートナーと捉えています。3秒でできることを3時間もかけてやりたいと思う人はいないということに気付きましょう。
デスクトップからweb、モバイルデバイス、さらにそれ以降へと、この35年間は出版業において大きな進展を遂げました。アドビのイノベーションは、引き続きこのプロセスを進めてまいります。
個々のクリエイターにもたらすメリット以外に、こうした動向がビジネス界で今後どのように展開されると思いますか。
**シャンタヌ:**私たちは消費者の企業との関わり方に大きな変貌があることを目の当たりにしています。消費者は単なる製品だけでなく、体験を購入したいのです。個人的な交流を必要としています。アドビのお客様はこの移行を行う手助けとしてアドビ製品を利用しています。アドビは、企業がそのお客様の心理を得るためにあらゆる交流の段階で役立つすべてのツールを持ち合わせています。アドビは、次世代のエンタープライズソフトウェアを設計しているほか、Adobe SenseiによってAIをアドビ製品に統合し、アクションに向けて道を開いています。
この35年間にわたってアドビが成功した理由は何だとお考えですか。
**ジョン:**アドビが優れている点の一つは、世界を変えるという当社のミッションを果たすことです。アドビには世界中の人々を奮い立たせ、創造性、アート、イマジネーション、サイエンス、イノベーションを促進する製品があります。 こうした要素をすべて実現するときに、人々の互いのコミュニケーション方法が変わります。役割を問わず、その一部であること、そして楽しんで行うことで、人生は素晴らしく、イノベーションが容易になります。
**チャック:**企業が将来を検討する際、抱えている在庫の量や製造能力、そして世界各国にある小売拠点を考えることがあります。アドビにとって重要なのは、従業員です。チームと一丸となって確実に未来を現実にする製品を生産するために取り組んでいます。当社の最大の資産、それは従業員です。
**シャンタヌ:**さらに、数多くの素晴らしいお客様にサービスを提供したり、そういったお客様と提携したりできることにも恵まれてきました。アドビのお客様は常に可能性の限界を押し上げ、同じことを私たちがするように刺激をくださいました。アドビのお客様の成功は実に私たちの成功です。
アドビ35周年のイノベーションに関する今後の記事をお楽しみに。
この記事は、2017/12/4にポストされたAdobe Turns 35 — And We’re Just Getting Startedを翻訳したものです。