クリエイティブの不可能を可能にしてきたPhotoshop – アドビの功労者3名が語る「写真の変化」と「業界の変化」 #Photoshop

by Adobe Comms

Posted on 12-13-2017

35 anniversary

これまで30年近くにわたり、Photoshopは現実の再現に貢献してきました。そしてつねに進化を続けて、その魔法が途絶えることはありません。

アドビの35周年を記念して、Photoshopチームからシニアクリエイティブディレクターのラッセル プレストン ブラウン、PhotoshopとLightroomのプリンシパルエバンジェリストのジュリアン コスト、グループ製品マネージャーのステファン ニールセンの3名の功労者が、アドビを代表する製品について、Photoshopのはじまりからデジタル クリエイティビティの未来まで、さまざまなことを語りました。

アドビは、1988年にトーマス ノールとジョン ノールからPhotoshopのライセンスを取得し、1990年に「Adobe Photoshop 1.0」を発売しました。Photoshopチームのメンバーとして、これまでに印象に残っている出来事と製品の機能は何ですか?

**ラッセル:**私は初期メンバーとしてPhotoshopに携わってきました。ジョン ノールがアドビの創設者であるジョン ワーノックとチャック ゲシキにPhotoshopを売り込んだ時のことをいまでも覚えています。ジョンは、10万ドルのメインフレームでしか見たことがないような機能を私たちに披露しました。彼がMacで見せてくれたパワーには目を見張るものがありました。

私はこれまでデジタルのあらゆることに情熱を注いできました。駄菓子屋さんに集まる子供のようにです。今ではこのパワーを誰でも利用できるようになり、画像を処理するのにプログラマーである必要はなくなりました。

ラッセル プレストン ブラウン

アドビ シニアクリエイティブディレクター ラッセル プレストン ブラウン

節目となった機能はたくさんありますが、強いて言えば、レイヤー、スマートオブジェクト、Camera Rawでしょうか。レイヤーは、デザインと写真の編集の新しい道を切り開きました。編集が簡単になり、それまで必要だった作業がなくても、合成できるようになりました。

スマートオブジェクトは、エレメントをシェルの中に入れて、エレメントを壊さずに編集できます。元の解像度や画質はそのままで、シェルの中の画像の拡大、縮小やワープが可能になりました。

トーマス ノールが開発したAdobe Camera Rawですが、画像を調整するレベルやカーブにすっかり慣れていますが、新しいツールを使えば、これまで出来なかったような編集も出来るようになります。

Adobe Photoshopは、2015年に製品第1号の発売から25周年を迎えました。製品のイノベーションの推移はコチラでご覧いただけます。

写真編集で進化したのはPhotoshopだけではありません。画期的なデジタル写真編集や、ソフトウェアとハードウェアが一体になったことで革新的な創作を促進しているように思います。Photoshopのイノベーションの成果をどのようにみてきましたか?

ジュリアン:Photoshopは、クリエイティブの可能性の扉を開きました。ほとんどの人は、写真を “修正” するためのツールとしてPhotoshopを思い浮かべますが、私はクリエイティブな作業を推し進めるためのツールだと考えています。

Photoshopは、カメラで可能なことを簡単にするためのツールであるだけでなく、どのメディアにもできない機能を見つけられます。自由で数多くのオプションがあるデジタルの世界では、Photoshopを使用することで、これまでの写真編集ツールでは制限されていたさまざまな角度からの作業が可能です。Photoshopなら、ユーザーがアーティストなのか、デザイナーなのか、それともプロの写真家なのかを問わず、誰でも写真を編集して、微妙な色使いや色調の補正、複数の画像の合成など、自分のスタイルを生かして、世界中に作品をシェアする(25周年企画、英語)ことができます。

ジュリアン コスト

Adobe Photoshop 兼 Lightroom 担当 プリンシパルエバンジェリスト ジュリアン コスト

Photoshopは、写真の編集とクリエイティビティを「大衆化」させました。今後さらに誰でもPhotoshopを使えるように、どのように進化させていく予定ですか?

ステファン:私たちは、製品のアップデートのたびにかなり苦労して、リリースする機能の優先順位を決めています。多くの優れたアイデアの中から選ぶのはとても難しい作業ですが、すべてのお客様にとってインパクトのある改善機能を検討しています。

優先順位を決めたら、プロダクトマネージャがデザイナーとエンジニアと密接に連絡を取り合い、機能をくわしく調べます。膨大なリサーチを行い、ユーザーからの提案をレビューして、直接訪問したり、プロトタイプを作成し、エンジニアと実現可能なオプションを話し合います。

小さいバグが残っていたり未完成であったりしても、ある程度使える状態になったら、プレリリースプログラムにのせて数百人のユーザーからフィードバックを集めます。このプロセスを発売まで何度も繰り返します。

Adobe Photoshop 製品担当 グループマネージャ ステファン ニールセン

ユーザーからのフィードバックを開発プロセスに反映させる方法は?

ステファン:2010年頃からfeedback.photoshop.comというサイトを活用しています。ユーザーの間で最も多いリクエストを把握する上でとても有用な手段です。これまで、ユーザーから約3,000件のリクエストと約1万票の投票がありました。

優先順位が決められないような、些細なリクエストを受けることもあります。そうしたリクエストは「JDI(即実行)」リストに追加します。このサイトは開発プランニングにとても主要な情報源となっています。

基本的なクロップから、レイヤー、コンテンツに応じた塗りつぶしまで、デジタル写真の編集はPhotoshopが発売されてから大きな進化を遂げています。

アドビはすでにデジタルクリエイティビティの強化に取り組んでいますが、クリエイティブなプロセスをさらに直感的なものに進化させる技術について、どのようにお考えですか?

**ラッセル:**好みの写真の編集方法を製品が教えてくれるなど、自分の趣向に応じて画像の編集方法を製品に覚えさせる機能があれば良いなと思います。私が画像を編集する様子を観察した製品から、いつか逆提案してもらえるのが楽しみです。

ステファン:Photoshopのコンテンツと利用を促進しているイノベーションがあります。一つは使い勝手が重視されるようになっていることです。私たちは、新しいユーザーが無理なく使えることに重点を置きつつ、プロに求められるワークフローを提供しなければなりません。

クリエイティブ業界では直感的にデザインを行えるようにする傾向があり、私たちもそれに目指しています。その一つに、機械学習を利用してコンテンツの作成を自動化し、ユーザーを支援するという機能があります。コンテンツに応じた塗りつぶしは、クリエイティブなプロセスを自動化するためにテクノロジーを活用した好事例です。アドビは、より良い選択を支援し、繰り返しの作業を自動化するための新たな技術を探求しています。

また、音声や音声コントロールの活用に関するリサーチもアドビラボで行っています。これらは今後の研究が期待できる分野です。

Adobe MAX 2017ではScene Stitchが紹介されました。アドビのAI(機械学習のフレームワーク)であるAdobe Senseiを活用しているこの技術は、コンテンツに応じた塗りつぶしだけでなく、関連のあるコンテンツを自動的に見つけて編集画像の空白を自動的に埋めてくれます。

皆さんは長年アドビに在籍されていますが、Photoshopの成功とは何でしょうか?また、ここ数年のPhotoshopについてはいかがでしょうか?

**ジュリアン:**個人的には、成功とは個人の基準でそれぞれ判断されることだと思いますが、Photoshopという言葉が頻繁に大きなニュースで話題なったことかもしれません。例えば、National Center for Missing & Exploited Children(行方不明&搾取された子供たちのための_国立_センター)が「エイジ プログレッション(経年人相画)」の作成にPhotoshopを使用しています。

そのほか、Photoshopで作った画像で、見た人に疑問を抱かせたり、別の視点から世界を捉えさせたフォトグラファーがいました。科学者にとっては、画像の中の特定の要素の計測、評価、記録ができることや、詳細を解明できること、あるいはリサーチ結果を公表する際に教材として疑似色を使用できることなどが、Photoshopの成功といえるかもしれません。

Photoshopを使用すれば、無数の方法で別の視点から世界を捉えることができます。画像提供:Yum Tang

デザイナーにとっての成功とは、顧客が情報にアクセスできることや、他者とコミュニケーションを図れること、あるいは自分の製品を使っている人たちの暮らしが豊かになるという有意義な体験を実現することかもしれません。アーティストにとっては、個人的な体験を表現すること、人生の出来事を記録すること、架空の世界を創造することでしょうか。

Cihan Ünalanは、昔からSFが大好きで、仕事で東トルコにいた時にこの景色を見て、世界をPhotoshopで創作することが次のプロジェクトだと悟りました。画像提供:Cihan Ünalan、Matteo Musci、Atilla Karabay

私はあらゆる事例でお客様の成功を目にしてきました。作業で使用するPhotoshopツールの特定のサブセットにかかわらず、お客様の間で共通しているのは、他の方法では成し得ないような画像をPhotoshopで制作する能力です。画像は私たちの世界の見方を変え、想像力をかき立て、新しいアイデアを伝えることができます。それが実現した時、Photoshopもお客様も成功を収めたといえます。

**ステファン:**私が好きなお客様の反応は、「こんなことがしたかったなんて考えてもみなかったけど、出来るようになった今はやりたくて仕方ない」というリアクションです。

私たちは、お客様の期待に応えることと、誰も求めてていなかったけれど後で非常に有用と分かる新機能の双方で、うまくバランスが取れていると思います。これは、お客様を理解しているからこそできることです。

コンテンツに応じた塗りつぶしが良い例ですが、ほとんどのお客様はこんな機能があることを知りませんでしたが、今では非常に好評です。アートボードはリクエストは多くありませんでしたが、支持されると確信していました。そしてその通りになりました。

数年後、デジタルクリエイティビティは今後どのようになっていると思いますか?

**ジュリアン:**クリエイティブコミュニティはさらに活発になっていると思います。デジタルクリエイティビティの「ツールボックス」は進化し続け、新しい可能性を切り開いて、これまで以上に多くのユーザーが利用できるようになるでしょう。個人的には、画像のタグ付けや、特定のエフェクトの適用、ワークフローの自動化など、繰り返し作業の自動化に役立つ人工知能と機械学習の継続的な進歩と拡張に期待しています。また、3Dや拡張現実(AR)で作業するための新しいツールが引き続き注目を浴びると思います。

アドビはこれからもイノベーションを続け、デジタルツールでクリエイティビティの表現を向上させつつ、作業の目的や意義にさらに時間を費やせるようになるでしょう。

アドビ35周年の記事もご覧ください。

この記事は、2017/12/7にポストされたPhotoshop: Changing Your Photo, Changing an Industryを翻訳したものです。

Topics: リーダーシップ, 社会貢献, コーポレートニュース

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