アドビ 2018年 年頭所感

【2018年1月5日】

あけましておめでとうございます。謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

2017年の振り返り

2017年は2016年にも増して、AI(人工知能)に関する話題がメディアを賑わせていた一年でした。厚生労働省が2017年6月2日に発表した人口動態統計によると、日本で2016年に生まれた子どもの数は、1899年に統計をとり始めてから初めて100万人を割り、少子化がますます深刻になっています。そのような背景から、AIや機械学習を活用して作業を自動化したり、一人当たりの生産性を向上したりするなど、減少し続ける生産人口を技術で補うことが急務になっています。

アドビは昨年、AI、機械学習のフレームワークであるAdobe Senseiを組み込んだソリューションをいくつも発表しています。アドビの考えるAIのアプローチは、日常的な単純業務の遂行から人々を解放するものです。お客様の視点に立って、人にしかできない作業に集中できるよう支援することを目的としており、人間の創造性をより高めるものとなっています。クリエイティブ業界のみならず、マーケティング業界にも貢献し、またオフィス内でやり取りされるドキュメントワークフローの簡素化によって、生産性の向上にも寄与しています。

また、アドビはお客様からのニーズに応えるべく、Experience Cloud事業のテクニカルコンサルティングに加え、今年からデジタルストラテジーグループという新組織を発足し、グローバルなノウハウと人材をベースとしたビジネスコンサルティングサービスも提供してまいります。消費者のコンテンツ消費量が増大し、コンテンツ提供のスピードと正確性がビジネスの成功に直結する現代において、従来の手法ではその流れに対応することは不可能です。そして、マーケティングデータからもたらされる知見は、ビジネスの未来を見通すためにより不可欠なものとなっています。このコンサルティングサービスは、日本のお客様に寄り添いながら、より迅速にそしてより少ない時間でビジネスの生産性を高めるお手伝いをするために発足しました。

2018年の目標

あらゆる市場で企業とお客様の間でデジタルタッチポイントが増え、顧客体験の向上は経営における重要課題となっています。アドビは、引き続きお客様の成長戦略に寄与するべくAdobe Senseiのイノベーションに支えられたCreative Cloud、Experience Cloud、Document Cloudの3つのクラウドソリューションの提供を通じて、企業の顧客体験戦略の推進を一層支援してまいります。

また、日本では働き方に関する価値観が大きくシフトし、さらに生き方改革の波も来ています。20世紀的な価値観であった物質的な満足度を測る世界は過去のものとなり、人とのつながりや社会的な貢献を通じて精神的に満たされることで幸福を感じる現代において、すべての働く人々にプライベートとビジネスとのバランスの取れた柔軟な働き方を提供することが社会的な課題となっています。アドビはこの課題に対しても、3つのクラウド製品群をフルに活用した業務改革を促すことによって、企業の働き方改革、生き方改革にもお役に立てると自負しております。

最後になりましたが、皆さま方のご健勝とご多幸、ますますのご発展をお祈りし、新年のご挨拶とさせていただきます。

アドビ システムズ 株式会社 代表取締役社長

佐分利 ユージン