あなたのデザインが理解されない理由 / デザイン批評の始めかた | アドビUX道場 #UXDojo

デザインはセンスだけでは伝わらない

「なんとなく違う」
「〇〇みたいな雰囲気にして」
「もうちょっと目立たせたほうが良くない?」

相手はフィードバックを提供しているつもりでも、聞き手である私たちからすれば自己否定されているかのように聞こえるフレーズ。しかも、何をすれば良くなるのか分かりません。これでは、やる気を奮い立たせることもままなりません。

相手が、なんとなく『違う』と感じたこと事態が間違っているわけではありません。問題は、その違和感を感じた理由です。違和感がどこから来ているのか言語化ないし視覚化されていない会話は、ただ感情を訴えているだけのように見えます。これではTwitterなどのソーシャルメディアから声を集めているのと大して変わりません。

そもそも、デザインと接点がなかった人たちに、デザイナーの試行錯誤や意図がダイレクトに伝わるのはごくマレなことです。ですから、単純に「これはどうですか?」と質問しただけでは、デザイナーに意味をなすフィードバックは期待できません。

良いデザインなら「センスがあれば伝わる」という言葉を耳にすることがありますが、センスはむしろ誤解を招くこともあります。

例えば Behance で「Cute(かわいい)」と検索してみると、様々な表現を見つけることができます。

中には「これはかわいくない」「こわい」と感じるものもあるかもしれません。

いずれも、ある特定のコンセプトに沿った『かわいい』を表現していると思います。しかしコンセプトが共有されて人には理解できないかもしれません。理解できないから「センスがない」と突き放してしまうと、ますますデザインが遠い存在になってしまいます。これでは、「なんとなく違う」という曖昧で感覚的なフィードバックが返ってきても仕方ないことでしょう。

批評の始めかた

デザインには感覚的にしか伝えられない部分があります。しかし、感覚だけでなんとなく発せられた言葉や非難めいた表現が行き交う生産性のない会話では、デザインを改善する役には立ちません。デザインの専門家ではない人たちと望ましいデザインについて語るには、誰もが納得して共有できるガイドラインが必要です。

デザインの「批評」は、改善のための話し合いをする機会をもつことです。欠点を挙げるだけの「批判」とは異なり、何がうまくいっているのか、改善できるところはどこか、その理由は何かを述べて、良い方向に向かうヒントを探し出す時間を指します。

批評する側が気をつけることは以下の5点です。

批評される側、つまりデザイナーが気をつけることは以下の4点です。

デザインの批評は、ディレクターのようなプロジェクトの進行役任せではうまくいきません。デザイナーからの歩み寄りが欠かせませんし、デザイナーはデザインの伝え方を身につけている必要があります。デザインの専門知識やディテールの理解を促すのではなく、プロジェクトのゴールとデザインの関わりについて語れるようになれば、デザイン批評により、どこを直せばよいのか、その理由は何かを議論できるようになるでしょう。