#フォント好き 大集合!盛りだくさんの #フォントの日 2018 イベントレポート

連載

#フォントの日


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4月10日は何の日?そう、「フォントの⽇」。みなさん、もう覚えましたよね?「フォントの日」は、アドビが⽇本記念⽇協会に登録した、正真正銘の正式なフォントの記念日です。


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記念日制定から1年を迎える2018年4月10日(火)、千代田区紀尾井町のYahoo!ロッジを会場に、フォントコミュニティに向けたイベント「#フォントの日」が開催されました。クリエイターや文字っ子、フォント好きが集結した、内容が盛りだくさんのイベントを写真で振り返ります!


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記念日登録証と 会津娘「花さくら」純米吟醸 うすにごり


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会場にはふんわり桜の香りが漂う 赤坂青野本店 道明寺桜餅


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会場は超満席!後方には立ち見のお客様も。


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「フォントの日、カンパイ!」

まずは、アドビ 研究開発本部 日本語タイポグラフィ シニアマネージャーの山本太郎さんによる乾杯の挨拶


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司会のアドビ デザイン製品マーケ担当 岩本崇さんは飲むPhotoshopでカンパイ!


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参加者全員でカンパイ!

■「フォント川柳」受賞者発表


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イベント冒頭は、3月に実施された「貂明朝 #フォント川柳 Twitterキャンペーン」の受賞者発表から。選考委員により厳選された三句の優秀作品が、掛け軸になって登場しました。


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フォント好きならクスっと笑ってしまう、マニアックな川柳

■女性タイプフェイスデザイナーが登壇「meet the Typeface designer」


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続いては、日々フォントを作るクリエイターによるフォントトーク。モリサワから原野佳純さん、フォントワークスから越智亜紀子さん、大日本印刷から宮田愛子さん、タイプバンクから半田藍さん、字游工房から宇野由希子さん、視覚デザイン研究所から松島裕也さん、アドビから西塚涼子さんが参加しました。

みなさんがタイプフェイスデザイナーになったきっかけは?という質問に、西塚涼子は「小学校で新品のノートを買って、表1に合う文字を書きたいと思い、各科目にふさわしい文字を描いていた。」と、幼少期からその才能を発揮していたエピソードを紹介。タイプバンク半田さんは「母がレタリングを習っていた。子どもの時に作ったポスターを手直ししてもらって、その劇的な効果に驚いた。」と語ってくれました。


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「悔しい!と思う(他社の)フォントは?」という質問に、「貂明朝」、「すずむし」、「ぶどう」という個性派の3種類が挙げられました。また、自分が手がけた中で一押しのフォントは?という質問には、フォントワークス越智さんが脱力系のゆるかわいい「パルラムネ」、字游工房宇野さんが見出し向けのデザインを一新した「游明朝B」、タイプバンク半田さんが視覚の悪い人が使えるフォントを研究して制作した「UDデジタル教科書体」という回答がありました。宇野さんが手がける「もじうご」プロジェクトには、アドビ 西塚涼子さんも「刺激を受けている」とラブコールを送っていました。


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実は伝統的に男性優位のフォント業界。今回のトークも、女性クリエイターを応援するために女性デザイナーが招聘されました。アドビによる女性クリエイター支援については、「国際女性月間に寄せて〜 女性タイプフェイスデザイナーと #Typekit 」というブログがアップされていますので、こちらも是非ご覧ください。


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■トークセッション「フォントの未来」


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「フォントの未来」トークに登場したのは、UXデザイナーである深津貴之さん(THE GUILD 代表)、有馬トモユキさん(日本デザインセンター)、李ナレさん(ヤフー 検索デザイン開発部)、山本太郎(アドビ )、モデレーターの横石崇さん(&Co.Ltd代表取締役)。AI(人工知能)やAR/VR時代に、webフォントはどのように進化していくのか?!というテーマについてパネルディスカッション。

フォントの未来と聞いて思いつく「キーワード」は?

ヤフーの李さんは、「コンテキストアウェアネス」。「将来、IoTやAIの時代が来ると、ビッグデータによってユーザーのコンテクストを読むことができる。それに対して一番良いフォントを提示できるのではないか?」と話しました。ここで未来を感じたと思うのは、Appleの新しいコーポレートフォント、「Apple San Francisco」。スクリーンなどで見やすく設計されたフォントです。


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San Francisco Font について語る有馬さん

続いて深津さんが語ったキーワードは「AI字詰めロボ」。「大物デザイナーを召喚して、巨匠の霊がディレクションしてくれる機能が5年後とか10年後に出来るのでは?」と深津さんが提案すると、山本は「統計的な情報を集めて、同じようなものを作ることはできるが、そこから先は人間がデザインするというのは変わらないのではないか?コンテキストアウェアネスでは最適化して字が太くなるところまで機械がデザインするが、そこからどうデザインするか、アルゴリズムを構築していくかということは人間が担っていくのでは」と語りました。


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有馬さんが開発中のバリアブルフォント「sezitak」

ボールド / イタリックで変形するsezitak #variablefonts pic.twitter.com/IwrgzBUfxQ

— 有馬トモユキ (@tatsdesign) March 19, 2018

有馬さんは「ARは都合のよい現実を見るものだと思っている。例えば笑顔と泣き顔の間を100段階ぐらい作るとそれが何かを伝える手段になっていく。誰かに何かを伝える時には絵文字の可能性がある。」とフォントの未来について語りました。

李さんは「かつて、紙だとコンテンツとコンテナの中身は一対一だったが、デジタルだとコンテナとコンテンツが分離されている。ブログというデザインされた空間では、コンテンツに集中できるというのはよく出来たコンテナということにとどまる。今まで、本という美しい世界が作られてきたけど、インターネットではその美しさが発展できていない」と語り、山本さんは「伝統的なブックデザインは、“完成されたオブジェを作る”ということが課題だった。デジタルでは、どういうデザイン論で適応することができるのか、どういう方法論でコントロールすることができるのかが課題になる」と返しました。それに対して、深津さんは「美しさが置いてけぼりになってると言われますが、一応綺麗にはなっているんです。美的な部分はあと10年たてば解決すると思います。基本的には技術革命が起こっているので、技術がトントンになったレイヤーからものごとが積み重ねられるのでは」と答えました。

これからのデジタルフォントに期待することは?という質問に、有馬さんは「センサーと接続しやすいスペックや組版や、アンビエントライトを期待します。画像では実現できていることが、意味を持つフォントではまだ出来ていない。フォントが画像のように扱いやすかったら良いのにと思っている。タイポグラファーやグラフィックデザイナー以外の知恵が入ってほしい」と語りました。


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■難問続出!絶対フォント感クイズ


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最後のセッションは、「絶対フォント感」が試されるフォントクイズ!「ジャンクの花園」などのサブカルイベントで人気のDJ急行さん、セラチェン春山さんがMCで進行。回答者は『マツコの知らない世界』(TBSテレビ、2017年放送)の「フォントの世界」で “絶対フォント感” の持ち主として出演した数学教師 須藤雄生さんと、ヤフーもじもじ勉強会の田島佳穂さん。


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1問目からいきなりのハイレベル!フォント好きが集まった会場も戸惑う難問揃い。それもそのはず、この質問はフォントのプロ『文字の食卓』で知られる文筆家の正木香子さんが監修したクイズ。回答者が答えられない超難問題に、会場からも参加するアツいバトルが繰り広げられました。
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クイズに続いては、アドビ 日本語タイポグラフィエンジニア服部正貴さんによる「フォントトリビア」。


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正解は84画!フォントトリビアを友達にうんちく自慢できますね。


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最後に「初代フォント王」の表彰式が執り行われ、須藤先生にその栄冠が贈られました。おめでとうございます!


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最後、来場者には貂明朝のトートバッグと、フォントの日を記念した「冷マ(冷蔵庫のマグネット)」をプレゼント!文字っ子たちのアツいフォントの日が幕を閉じました。

当日のアーカイブ映像はコチラ
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