Adobe SUMMIT 2018 に行ってきました #AdobeIO

この投稿について

いつも Adobe I/O デベロッパーブログを読んでいただきまして、ありがとうございます。

…ですが、今回は Adobe I/O からは少し離れまして、2018年3月25日から29日までの5日間、アメリカのラスベガスにて開催しました Adobe SUMMIT 2018 についてちょっとご紹介させていただきたいと思います。

コンテンツ

Adobe SUMMIT とは?

ところで皆さま、Adobe SUMMIT をご存知でしょうか?

Adobe SUMMIT とは、毎年3月末頃にアメリカのラスベガスにおいて開催しておりますデジタルマーケティングに特化したイベントです。クリエイター向けに毎年開催しています Adobe MAX と対をなす大きなイベントでして、Adobe MAX が Adobe Creative Could / Adobe Document Cloud によりフォーカスしているのに対して、Adobe SUMMIT は Adobe Experience Cloud によりフォーカスしています。

この Adobe SUMMIT は、世界中の様々な業種・業界のリーダーやエキスパートが集う国際的なカンファレンスでして、今年は40か国以上、13,000名を超える方々にご参加いただきました。5日間で300を超えるセッションが行われ、マーケティングを変革してきた先進企業のリーダー達の様々な話を聞いたり、直接質問してみたり、またセッション外でも今抱えている悩みを参加者同士で共有・相談してみたりと、マーケティングに従事していらっしゃる方々同士で交流も活発に行われました。

今年のテーマは「EXPERIENCE MAKER」

ここ数年 Adobe では、企業において「Experience(顧客体験)」が最も重要になる、と皆さまにお伝えしています。
2年前の Adobe SUMMIT 2016 では「EXPERIENCE ERA」をテーマに掲げ、これからはお客様に製品を売るだけではなく、お客様の製品購入までの体験や、利用した際の体験、また購入後の体験など様々な体験が今後重要になるだろう、とお伝えしました。
続く昨年の Adobe SUMMIT 2017 では、「MAKE EXPERIENCE YOUR BUSINESS」をテーマに、顧客体験こそが差別化のポイントとなり、顧客体験をもっとビジネスの中心に考えていきましょう!とお伝えしました。この SUMMIT で我々の製品も「Adobe Experience Cloud」と名前を改め、顧客体験を最良のものとするためのお手伝いをさせていただく様々なツール・ソリューションを提供していくことをお約束しました。

そして今年は、さらにもう一歩進んで、テーマに「EXPERIENCE MAKER」と掲げ、ご参加いただいたお一人お一人が最良な顧客体験を作っていく “Experience Maker” になりましょう!と訴えかけました。ちょっと想像してみていただきたいのですが、もしも今年参加されていた 13,000人以上の方々が各々の企業でユーザーに対して最良な顧客体験を提供してくださったら、利用者側は日々、様々な場面で素敵なおもてなしをしてもらえるんじゃないかと思いませんか?一例としてキーノートで弊社CEOのシャンタヌ・ナラヤンが語った「飛行機の荷物がちゃんと目的地に向けて送られていることをスマホに通知してくれる」という体験、 今回の出張で私もそのサービスめっちゃ欲しい!と思いましたし(実際今回の出張での飛行機の乗り継ぎで荷物が行方不明になったんじゃないか未遂がありましたので。。。)、様々な場面で素敵なおもてなしのサービスがあちこちから提供されたらと思うとちょっとワクワクします!

さて、ここからは Adobe SUMMIT 2018 で取り上げられていた技術に関する話をいくつかピックアップしてご紹介いたします。

Adobe Cloud Platform

私が感じた今年の Adobe SUMMIT の目玉の一つは「Adobe Cloud Platform」の紹介でした。その中でも特に、「データサイエンスワークプレイス」と呼ばれる機能にとても惹かれました。データサイエンスワークプレイスでは、モデルを自由に作成したり、カスタマイズが行える大変柔軟性に富んだ機能です。Adobe AnalyticsAdobe Audience Manager など Adobe Analytics Cloud で収集されたデータや、皆さまが自社でお持ちのデータなど、様々なデータソースをご活用いただけますし、それらのデータソースからモデルを自由に構築し利用することが可能なのに加えてモデルの調整や育成なども自由に行うことができます。手軽に自由にモデルを生成できたりチューニングできるようになっていくなんて!と衝撃を受けました。この Adobe Cloud Platform は、今年の SUMMIT で発表されました。まもなく皆さまにもお使いいただけるようになりますが、さらに今後この Adobe Cloud Platform が進化していくのがとても楽しみです。

Adobe Advertising Cloud

みなさん、Webサイトやアプリの広告ってどんな印象をお持ちですか?「あれってウザいよね」とネガティブな印象をお持ちだったりするでしょうか?

Adobe Advertising Cloud は、オンライン広告のためのツールです。従来の検索連動型広告やWebページ・アプリのバナー広告の配信をサポートするだけでなく、今では動画やTVで流れる広告のROIの最適化なども Adobe Advertising Cloud でサポートしています(*1)。そしてこの SUMMIT では「Advertising Cloud Creative」が新たに発表されました。Advertising Cloud Creative では、オーディエンスに応じてパーソナライズされたバナー広告のクリエイティブを動的に生成してくれます。バナー広告には、スマホ・タブレット、PCなどのデバイスや、表示位置などに応じて様々な画像サイズがあり、1つのキャンペーンに対するクリエイティブの作成だけでもなかなかの作業量です。さらに、メッセージや背景画像などを変えた複数パターンのクリエイティブを用意するとなると、作成・管理が大変煩雑な作業となっていきます。そのお悩みに対して Advertising Cloud Creative は、メッセージ、背景画像を組み合わせたバリエーションを各画像サイズに最適化された配置に自動で生成してくれます。加えて、クリエイティブを動的に生成するため、バナー広告上に「〇〇さん」とログインアカウント名を入れ込むことや、時間帯によって朝はこの画像、夜はこの画像なんて入れ替えたり、今いるところの天気や気温によってメッセージやイメージを変える、なんてこともできちゃいます。

また Adobe Advertising Cloud のもう1つの目玉として詳細されていたのが Sensei の機能を活用した、オンライン広告予算の最適配分の提案機能です。オンライン広告の広告費を、どのチャネルにどんな配分で出稿すれば一番利益が出るのか(または達成したい効果が最大化されるのか)を、これまでの広告配信の結果から自動で算出してくれちゃいます!「これまでの成果から、今回は検索連動型広告よりもソーシャルに配分を多くしたほうがいいですよ」とか言ってくれて、何百何十何円っていう単位で推奨の予算配分を教えてくれちゃうわけです。Adobe の強みの1つとして Adobe が直接持っている広告媒体、広告枠が無いため(時に弱みとも思われるかもしれませんが…)、ボタンをポチっとするだけで Web・モバイル・アプリ・TVを横断した形でAdobe とつながっているすべてのメディアに対して独立・公平な立場で予算配分を推奨してくれます。予算配分は Sensei にお任せして、次のキャンペーンの企画を考えよう!なんてことができちゃうわけです。

バナー広告に触れるユーザー側の立場では、広告配信側が細かな配信設定まで手が回らなかったため「この広告いつまでも出続けるなぁ」といったことが起きていたのですが、この悩みが解決されるかもしれませんし(もちろん意図的に出し続けることも可能ですが…)、ユーザーがどんな広告をクリックするのかを学習してくれるため、ユーザーにとっても不要な広告が表示されることが減り最適な広告が表示されるようになっていく、そんな未来も近いかもしれません。

*1: TV広告の機能は、日本国内ではまだ提供されていません。

Summit Sneaks

最後に、私の一番好きなセッションが、この Summit Sneaks です!この Sneaks では、開発に携わる社員のみならず全ての社員が「こんなことができたらスゴイよね!」というアイディアを出し合い、厳しい選考を勝ち残った選りすぐりのアイディアを皆さんにお見せするコーナーです。いいね!と思うアイディアに対して、会場の皆さんやオンラインで視聴されている皆さんからハッシュタグをつけてSNSへ投稿してもらい、反響の大きかったアイディアはなるべく早く皆さんに提供できるよう会社としても全力でサポートしていきます。またこのセッションがユニークなのは、著名なコメディアンの方 (*2) が進行役に加わり会場をめっちゃ盛り上げてくれたり、セッション参加者は会場で提供されるお酒を片手に一緒に盛り上がったり楽しむセッションとなっています。
この Sneaks は Youtube で視聴可能です。別途、USでのブログで紹介されている今年の Sneask についてのブログで、今回紹介された7つのアイディアについての紹介やすべての動画を閲覧いただけます。

さて、今回紹介されたアイディアの中で私が一番いいなと思ったのは「Perfect Path」です。こちらは Adobe Sensei の機能をフル活用し、オーディエンスのセグメントを自動で生成し、そのオーディエンスに対してどのようなタッチポイントがあり、それぞれのタッチポイントに対してどのようなクリエイティブの広告を出せば良いのか、すべて Adobe Sensei が自動で分析し、提案してくれちゃいます。例えば「都会に暮らしているスタイリッシュな学生」に対して、各種タッチポイント(広告メール配信、リマインダーメールの配信、アプリの通知、などなど)のその順番や、その時の学生のアクションに対して次はどのような反応をすれば良いのか、そして刺さるイメージの生成まで、データに基づきすべて Adobe Sensei がやってくれます!
広告に触れるユーザー側の立場で考えると、先ほど紹介した Advertising Cloud よりもより進化したこの機能で、いつまでも変な広告にずーっと追い掛け回されることがなくなりその時その場に応じた広告が表示されるようになるので、煩わしさが減ってついついぽちっとしたくなっちゃうのではないでしょうか。笑

*2: 今年 Sneaks の Host 役としてご参加いただいた Leslie Jones 氏は女優・作家でいらっしゃいますが、コメディアンの様に会場を笑いの渦に巻き込んでいました!

最後に

私がご紹介できたのは Adobe SUMMIT のほんの一部となってしまいましたが、実はこの Adobe SUMMIT 2018 の各種キーノート、ブレイクアウトセッションを動画でご覧いただくことができます!ぜひ後述の関連リンクよりアクセスしていただき、より興味をお持ちのセッションなどをご視聴ください。中にはもちろん Adobe I/O に関するセッションもございますので、ぜひぜひチェックしてみていただけますと幸いです。

また、秋ごろには Adobe SUMMIT の日本版も開催を予定しております。こちらも昨年は5,600名以上の方にご登録いただき大変盛況なイベントとなりました。ご興味のある方はぜひ今年のイベントにご参加ください!

関連リンク

投稿者

折原 大 (Hiroshi Orihara), Software Development Engineer