パーソナライズマーケティングの自動化を成功させる5つのポイント
今日、多くのマーケターの間で、自動化による顧客ターゲティングの向上が話題になっている。多くのマーケターが、メッセージングやターゲティングの自動化とバランスさせながら、いかにパーソナライズされた顧客体験を提供できるかという課題に取り組んでいる。
今日の顧客の期待に応えるためには、複数のチャネルをまたぐデータ分析やターゲティング戦略の展開が必要であり、これを手作業で実施することは不可能だ。
自動化はもはや必須の仕組みとして、ビジネスのスピードに見合うコンテンツ戦略の展開を支えている。
マーケターが本当に検討すべきテーマは、「自動化をパーソナライゼーションの強化にどう役立てるか?」という課題であろう。そこで、自動化の価値を明確化するために、Adobe Experience Cloudのコンサルティングマネージャーであり、最適化の専門家でもあるヘザー・ラズカスに話を聞いた。以下に続くQ&A形式の対話の中で、ラズカスは自動化によってパーソナライゼーションを促進するための5つのポイントを挙げてくれた。
自動化によって、キャンペーンの大規模なパーソナライゼーションに伴う困難な作業に対処できるでしょうか?
できます。いや、それこそ自動化が最も得意とするところです。顧客ごとにパーソナライズされた体験を大規模に提供するために、自動化はその真価を発揮します。自動化は手間のかかる作業の大規模な展開を可能にし、作業から解放された担当者は、より創造性の高い業務やブランドエンゲージメント、顧客体験の向上などに時間を使えるようになります。
自動化のプロセスは、顧客トレンドのリアルタイムな分析とその対応も可能にします。マシンラーニング(機械学習)を導入すれば、データを活用したキャンペーンの展開を自動的化できます。顧客の期待に応えたいのなら、自動化をある程度取り入れることは必須事項と言えるでしょう。
かつて私が一緒に仕事をしていたある企業は、自動化によって、手作業とは比較にならない程の影響が顧客エンゲージメントにもたらされることを確認しました。自動化以前と比較して、訪問者ひとり当たりの収益が約7%増え、コンバージョンレートは約6%向上したのです。
マーケティングの自動化について、経営トップ層の支持を得ることが重要になるのはなぜでしょうか?
私が経験から学んだことは、どのような手法を導入する場合でも、経営トップ層の賛同が得られない限り、プロジェクトがスタートすることはほとんどないという事実です。
高度にパーソナライズされた顧客体験を提供するという試みは、孤立した単独のプロジェクトではありません。カスタマージャーニーの多くの要素を巻き込むような、全社的な課題なのです。だからこそ、パーソナライゼーションを強化するプロジェクトには、マーケティング部門の関係者だけでなく、組織全体に影響力を持つエグゼクティブの支持を得ることが必要になります。
賛同を期待できるエグゼクティブに面会する際は、複数の組織をまたぐ戦略をサポートしてもらうための、明確な計画を見せるべきです。コンセプトを実証できるテスト結果や説明などを添えて、説得力を高めます。また、継続的なROIを示しながら、サポートの見返りとして得られる成果を、具体的に理解してもらいましょう。
自動化に関して、関係者にはどのような教育が必要になるでしょうか?
私たちは既に、自動化がマーケターの仕事を奪うものではないことを知っていますが、どんな形であれ、自動化を受け入れることに前向きになれない企業が多数あることに驚かされます。
このような場合、組織的な教育を推進するべきでしょう。先進的なマーケターには、組織に適切な教育を実施し、何を目指すべきかを正確に理解してもらう責任があります。コストの見返りに期待できる収益や、各部門にどのような利益がもたらされるかといった内容に的を絞り、プロジェクトの明確な計画を立てることが重要です。
また、組織的な教育に必要なのは、自動化の価値を理解してもらうことだけではありません。もうひとつ重要な点として、拡張性という意味でマシンラーニングのメリットを認識してもらうことが必要です。システムの自動化についてチームを教育すれば、あらゆる意思決定から不安を取り除くことができます。
私は、管理の権限を失いたくないがために、自動化を躊躇していた数多くのマーケターと話してきました。少し説明すれば、マシンラーニングがもたらすメリットは、それによって失うものを補って余りあることを、ほとんどの人が理解してくれました。
ガバナンスや規制などによる制限がある場合、自動化はどうなりますか?
一緒に仕事をしたことがある組織の中には、厳格な規制要件が適用されている企業もありました。特に、金融や医療などの業界です。このような企業がコンテンツの自動化戦略を立てる場合には、追加的な措置や注意が必要になります。
自動化の仕組みはコンテンツの提供だけでなく、対象となる顧客だけに個別の情報やオファーを確実に届けるプロセス作りにも貢献します。特定のアセットの使用を制限したり、特定の顧客だけに特定のコンテンツを定義することも可能です。また、著作権を遵守したり、コンテンツの有効期限を守るためにアラートを設定することもできます。
マーケティングメッセージのコンプライアンスを順守するための施策として、企業の中心的なチームに自動化のルールを策定させ、それをグローバルで一元的に展開することも有効です。これにより、法務部門や経営幹部を安心させることができます。
ニーズに合った自動化ソリューションを選ぶには、どうすればよいでしょうか?
まず、問題はもはや、自動化すべきか否かではない点を理解しましょう。判断すべきことは、自社のマーケティングニーズに合わせるには、どの程度の自動化が最適かという問題です。Fortune 500企業にとっては最適でも、起業したばかりの企業にはやり過ぎになる場合もあります。自動化やパーソナライゼーションによって実現したいものは何かを検討することが重要です。
パーソナライゼーションの自動化戦略は、基本的なルールに従うものから人工知能(AI)を利用した多面的なものまで様々です。初めてパーソナライゼーションを実施するのなら、まずは小さい規模からスタートしましょう。A/Bテストをマーケティング施策に導入することから考えるのも良いでしょう。つまり、必要な材料をひとつずつ、自動化に取り入れていけばよいのです。