UXデザインで仕事はどう変わる?「UX道場 Meetup 00: UXデザインが高めるデザイナーの価値とワークフロー」 #UXDojo #AdobeXD

https://blog.adobe.com/media_cc64f668debda11a96dceb9aeccf9168a5b2fa84.gif

いま、検索エンジンの検索数を比べてみると、実は“webデザイン”が下がり気味。その一方で、“UXデザイン”というキーワードがじわじわ上昇しています。デザイナーならずとも耳にするようになった、UXデザインというキーワード。果たしてどういうものなのか、自分の仕事がどう変わるのか、多くの人が興味を持つ分野です。そんなUXデザインについて考えるイベント「UX道場 Meetup 00:UXデザインが高めるデザイナーの価値とワークフロー」が、2018年6月20日 (水) 、東京・丸の内のWeWork Marunouchi Kitaguchiを会場に行われました。司会・進行をつとめるのは、アドビでエバンジェリストとしてXDを担当する轟啓介です。

https://blog.adobe.com/media_6ca75896ee799f7625bc29e5ebfb805fd301fdcc.gif

https://blog.adobe.com/media_7e49b85e8716dea53d2bbcd8b6bd8bcd87d35884.gif

本イベントの目的は、デザイナーの価値を高めることを目標に、その手段としてUXについて学ぼうということ。本ブログでも、 #UXDojo のタグで様々な投稿が行われています。それでは、充実のイベントをレポート!

■Dropbox PaperのUX設計思想とは

https://blog.adobe.com/media_c61414b0d20308048ea5a8d5f15fcea8e1cb8c7a.gif
まず登場したのは、Dropbox Japan株式会社 ジャパンマーケティングリードの上原正太郎さん。「Dropbox PaperのUX設計思想 & Adobe XDの連携」をテーマに語ってくださいました。

https://blog.adobe.com/media_819839e7508e29d521c1b9d9f7f02faf60dd38c8.gif

Dropbox PaperはWebネイティブのために作られた、オンラインのドキュメントツール。もうお使いの方も多いかもしれません。Webネイティブを徹底的に意識し、真っ白なキャンバスの中に着想したアイデアを書き込んでいくことができます。Outlookと連動して議事録を取ることもできるし、Google MapsやYouTube動画を貼り付けることも可能。プレゼンモードもあるので、プレゼンテーション資料を作ることもできます。

開発はサンフランシスコにて行われており、開発スタッフの数は80名程度。デザイナーは8名。複数のデザイナーが存在し、ユーザーに求められている機能をチームで議論して開発を進めるという民主的なアプローチが取られています。

デザインに注力しなくてはならないのはもちろんですが、一番重要なのはプロダクト全体としての体験。そのためにデザインスプリントを行い、カスタマージャーニーをマッピングしてユーザー体験をシミュレーションすることを多く行いました。また、非常に多くのユーザーヒアリング、ユーザーテストも行われたそう。

また、XDとの連携では、アプリのスクリーンジャーニーをデザインしたファイルをDropboxに保存すると、XDをインストールしなくてもブラウザ上でプレビューすることができるという機能が紹介されました。

■デザイナーの価値とは?!

https://blog.adobe.com/media_5b1c84de0b4d686a96821482ae73ca386568a081.gif
続いて登場したのは、 #UXDojo でお馴染みのお二人の著者。Web/アプリデザインのコンサルタントの長谷川恭久さんと、freee株式会社にてプロダクト戦略を担当する伊原力也さん。

https://blog.adobe.com/media_6e7f3225c406f224d9f053a22865ffd5ff85ed24.gif
まず最初のテーマは、「デザイナーってどんな人?」。

轟「デザイナーと働く人にもいろいろありますよね。クライアント、ディレクター、デベロッパーなど。それぞれクロスオーバーする場合もあるし、受託系と事業系でも変わってくると思います。そもそもデザイナーとはどんな人ですかね?」

伊原「リサーチもするけど、仮説と合意形成を作る人。状況を整理する人です」

長谷川「ぼんやりしているものを視覚化する人ですね。要件定義から納品物まで、視覚化したり言語化するのは、デザイナーの得意分野。僕たちは一体何を作っているんだっけ?と迷ったときに、目に見えるものがあると納得できます。受託でもフリーでも事業会社の内製でも、言われたことを作ればいいということはない」

伊原「WebやUIのデザイナーにしても動きが違います。事業側でデザインというと、数値を追う手段であって、事業を成長させるドライバの一つ。それをどうビジュアルで形作っていくのか。受託になると、ある程度の問題提起が出来た後に仕事が来る事が多いですよね。スタートのポイントが違います。発注側にしても、どの部署なのかによっても違うし、代理店を挟んでいる場合もあります。そういった要件を実際のものに実装していくというスタイルで進むことが多いですね」

長谷川「UXデザインの問題は、クリエイターがいいものを作りたい、ユーザーに価値を提供したいと思っていても、発注者が同じ視点・モチベーションでやっているとは限らないこと。その時に“課題解決”という、UXデザインで言われていることができるのかというと疑問もあります」

伊原「受託の場合、そこまで契約に入っていないというケースもありますよね」

長谷川「UXデザインというものが出来ていないと考えたときに、デザイナーはまず自分と周りの関係性を考えたほうがいいんです。自分がデザイナーとして、どういう役職にいるのかを把握しないといけない。ブログなどのメディアには、理想的なことが書かれているけど、その関係性を把握していないと、実際に導入してみようとなった時に進まなくなってしまう。それはもったいないので、自分がいまどういう立場で組織に属しているのかがわかると、攻め方もわかってきます」

https://blog.adobe.com/media_4566ff26c3b391f2779e10ed8267e48bc8f2c5ad.gif
続いてのお題は、「アメリカはどうなってる?」アメリカではビジュアルデザイナーの年収が高いのですが、UXデザイナーの年収はビジュアルデザイナーよりも高く、アメリカの中西部でも9万ドル超、NYやサンフランシスコなどでは12万ドルを超える高収入となっています。ちなみに、アメリカには“Webディレクター”という役職がなく、より細分化されています。日本では、ディレクターの役割が多すぎると語られました。

https://blog.adobe.com/media_e40e5216ef2fe0dd01e84e7c7c0edb7f474c9302.gif
お次のお題は、「デザイナーとしての価値とは?」デザイナーの価値とは、課題の本質を理解する、デザインを説明できるなどがありますが…

長谷川「“課題”と一言で語られがちですが、“PVを上げたい”とか、“使いやすくしたい”とか、具体的にどういう意味なのかをクライアント含めて共有するところからスタートしなければなりません。ゴールの話ばかりしていても仕方がない。今までは、デザイナーの価値とは何か、給料を上げるために何をしたらいいのか、どういう関係性になるのかという話がされてこなかったですよね」

伊原「クライアント、ディレクター、デザイナーという役割でいうと、ディレクターがハブのように感じますが、内容面でのハブはデザイナーなんですよ。プロジェクトの行動のアウトプットになっているのはデザイナーです」

長谷川「見えているようで見えていない課題を、見えるようにできるのがデザイナー。視覚化というところの説明が出来るようになるのが、デザイナーとしての価値です。Webもアプリも、デザイナー以外の人が関わって、デザインというキーワードで前に進もうとしている。『これいいよね』と言い合えるようになるために、デザインの本質を理解し、それをもとに議論ができる関係を作ることがデザイナーの価値だと思います。そのためには、プレゼンテーションする能力も求められます。Adobe XDやホワイトボードを使って説明するのもその能力のひとつです」

伊原「それがデザイナーだからこそ出来るアプローチですよね」

https://blog.adobe.com/media_6b998c3026c2c52a9507dbddd6fe4c4cda48444a.gif
最後のお題は、「デザイナーの価値を高めるためにすぐに始められること」。これは気になります!

まずは、「打ち合わせに同行すること」。

伊原「そもそも、話し合いに参加しなかったらUXデザインは出来ません。週のうち3時間を削ってでも、打ち合わせの場で議事録に残らない話を聞くこと。どういうニュアンスでどういう話になっているのかを知らないとUXはデザインできない。ユーザーヒアリングと息巻く前に、まずそのプロダクトに関わる人の合意を取るためのステークホルダーヒアリングから始めないと。“知らないうちに決まっている”ということが起こるのは、話し合いに参加していないからです」

長谷川「それが信頼関係に影響してくるんですよね。デザインの時間を削ってでも、デスクから離れて行動することは大事です」

次は、「ユーザーとして体験してみること」

伊原「デザインの時間を削って何に当てるのか。ユーザーとして、実際にそのプロダクトに触れた体験はすごく重要です。提供側の立場としてのバイアスがかからないうちに、ユーザーの体験をわかっておくこと。僕も、自分で作っているサービスは自費で使っています。そこの話があるかどうかで、説得力に違いが出てきます」

最後は、「XDを使ってみること」!

長谷川「自分が置かれているデザイナーとしての職域によって何を視覚化しなければならないのかが変わります。XDはコミュニケーションの視覚化に優れていますが、Illustrator、Photoshop から完全に乗り替えろという話ではないと思います。あくまで自分の仕事を最大化するためにツールを選んでいただきたいです」

伊原「ライブで高速なフィードバックがあるのがXD。お客さんの目の前でデザインしたり修正するときに便利です」

■XDでクライアントと一緒にものづくりをするーー有馬トモユキさん

https://blog.adobe.com/media_2f5c007fbde81896b3058c266c2de5b340eafa94.gif

©2017 時雨沢恵一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/GGO Project

トリを飾るのは、株式会社日本デザインセンターの有馬トモユキさん。現在放送されているTVアニメ『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン』のUIの遷移をXDで作られています。

https://blog.adobe.com/media_a5f5fb7f313c9f532173a0dc104e6e7c2b8ccbe8.gif

©2017 時雨沢恵一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/GGO Project

有馬「デザインにXDを使っているのは、Creative Cloudを使っていない人でも無料インストールが可能で、クライアントを含めた対話ができるからです。僕はデザイナーですが、週の半分は打ち合わせをしています。XDであれば、クライアントさんとモニタを繋いで、実際に作るものを見ながら話ができて、その場で作り直しもできます。打ち合わせのツールとして提案をまとめるワークフローではなくて、クライアントと一緒に作るツールとしてXDを使っています。デザインフィニッシュしながらプロトタイピングもできるし、プレゼンツールとしてもXDを使っています」

有馬さんがXDに惹かれるのは、“プリミティブで何を作ってもいい”という自由さが魅力とのこと。

有馬「僕はいろいろなものを作るので、ツールとしての素性を考えながら作っています。XDは汎用性があるので、自由な発想で使えています。コンテンツのトンマナを揃えられるので、全部のアセットをXDで作っています。XDでデザインまでフィニッシュする人は少ないと思うけど、僕らは全体を統御するために作っていますね。OGP画像やトップ画面など、ワンウィンドウで見てもらえるので、クライアントとのコンセンサスを取るときに気軽に確認してもらえるメリットがあります」

https://blog.adobe.com/media_b7c8524883dfc70f7ed255df25798947d97b1b2a.gif

Adobe XD最新アップデートの紹介で締めくくられた本イベント。デザインオブジェクトをアートボード上の特定の位置に固定表示する「固定オブジェクト」機能など、デザイナー待望のアップデートが発表されました。詳しくはAdobe XD 6月アップデートリリースの記事で!

今回は第0回の開催となり、第1回は7月下旬に行われるそうです。UXに取り組んでいる、またはこれから取り組みたいデザイナーにとって要注目のイベントになること間違いなしです!