[使い方紹介] あなたが公開したPDF文書は大丈夫?情報漏えい対策に効く、「墨消し」と「非表示情報の消去」の方法 #AcrobatDC
近年、機密情報部分を塗りつぶして表示させないように「墨消し」したはずのPDF文書を、公開した後に消えていなかったことが発覚した、といったケースが後を絶ちません。デジタルによる文書管理が普及し、業務の効率化が進む一方で、「デジタルデータ」であるがゆえに、消したと思っていた情報が後々漏えいしたり、非表示情報からメールアドレスなどの個人情報が流出したりといった、思わぬアクシデントにつながりかねません。
今回は、そのようなアクシデントを防ぐため、Adobe Acrobat Pro DCを活用した、PDFデータの情報漏えい対策をご紹介します。
図形ツールで文字を黒く塗りつぶしても、PDFに文字情報は残っている?確実に「墨消し」をする方法
公開するPDF文書の一部に、個人情報や機密情報が含まれる場合、その箇所に「墨消し」を施す方法が知られています。しかし、図形ツールで文字を黒く塗りつぶすだけでは、PDFに文字情報が残ったままの状態となり、後々漏洩するリスクが潜んでいます。
「図形描画ツール」で黒い長方形を作って行う「墨消し」の例。画面上では見えなくても、PDFには文字情報として残っています。
図形ツールで黒く塗りつぶした部分をコピーし、テキストで貼り付けた場合、黒塗りの文字もコピー出来ていることがわかります。
Acrobat Pro DCで、確実な「墨消し」を
ここからは、Acrobat Pro DCを活用した、確実な墨消しの方法をご説明します。PDFの国際規格「ISO 32000」に準拠したPDFソリューションであるAcrobat Pro DCによって、確実な墨消し処理を行うことが可能です。
墨消し処理を行う PDF ファイルをAcrobat Pro DC で開いたら、「ツール」タブをクリックし、上記赤枠の「墨消し」を選択します。
次に、「プロパティ」をクリックし、墨消しの細かい設定を行います。
プロパティメニューからは、一般的な墨消しである「黒塗り」以外にも、白や赤といった色を選択できるほか、「社外秘」といった任意の文字で墨消しすることができます。ここでは一般的な「黒塗り」の設定をします。
次にメニューから「墨消しとしてマーク」をクリックし、墨消しする範囲を選択します。ここでは任意のテキストおよび画像を選んで墨消しエリアを選択できる「テキストと画像」をクリックします。
「テキストと画像」以外のツール機能は、以下の通りです。
ページ:ページ全体を墨消しできる
テキストを検索:墨消ししたいテキストを検索し、一括選択できる(墨消ししたい特定の単語が複数回ある場合、便利です)
次に、墨消ししたいテキストをクリックして選択します。選択されたテキストが赤枠で表示されます。赤枠上にマウスポインタを置くと、墨消し後の見た目をプレビューできます。
文書内の画像の一部分も墨消しエリアとして選択できます。また、Ctrlを押しながらドラッグして、段落すべてを選択することも可能であり、選択されたテキストが赤枠で表示されます。赤枠上にマウスポインタを置くと、墨消し後の見た目をプレビューできます。
墨消しを適用するすべての項目のマークが終了したら、「適用」をクリックします。この作業が完了しないと墨消しされません。警告メッセージが表示されるので、問題なければ「OK」をクリックします。
墨消し後の「非表示情報の消去」について
次に、非表示情報を削除するかどうかの確認メッセージが表示されます。ファイルの作成者情報といった非表示になっている情報も一緒に削除する場合は「はい」を、そうでない場合は「いいえ」をクリックします。ここでは「はい」をクリックします。
非表示情報の検索が終了したら、「削除」をクリックします。こうすることで、作成者情報、作成日時、使ったPDFソフト等といった、公開するPDFには必要ない非表示データを削除することができます。
最後にファイル保存を行い、「墨消し」と「非表示情報の消去」における一連の作業は完了です。この方法で墨消しをすれば、墨消し作業を行った箇所が漏洩することなく、安心してPDFを公開することができます。PDFの開発元であるアドビが提供するAcrobat Pro DCで、確実な情報漏えい対策を行うことをお勧めします。