フォトレタッチの極意24:夏色の高原を再現する

連載

Photoshop フォトレタッチの極意

「夏」の色彩を再現するには、「夏」という言葉から思い描く景色を参考にしてみましょう。イメージするシーンは人それぞれかもしれませんが、恐らくそこには青い空と白い雲が含まれているのではないでしょうか。今回は、空と雲を夏っぽくして、夏らしい風景に仕上げる方法について紹介します。解説は、レタッチャー/ライターの桐生彩希さん。「Shuffle by COMMERCIAL PHOTO」に掲載した内容から抜粋してお届けします。

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Before

After(※クリックで拡大)

レタッチの設計
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1、「Camera Rawフィルター」の準備をする

(1)「背景」をスマートオブジェクト化する

「レイヤー」パネルで「背景」レイヤーを選択し、スマートオブジェクト化する。「背景」がスマートオブジェクト化された「レイヤー0」になる。
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(2)「Camera Rawフィルター」を表示する

「レイヤー0」を選択したら、「フィルター」→「Camera Rawフィルター」を選択。これで、「Camera Rawフィルター」画面が表示される。
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2、「Camera Rawフィルター」でベースとなる色調に補正

(1)露出を補正する

全体の色調がイメージに近い状態になるように補正を施す。夏のまぶしい日射しを再現するために、適正な露出よりも明るく補正する。この段階は仮の補正なので、多少の白とびは気にせずに、全体の明るさだけに着目。
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(2)コントラストを補正する

「コントラスト」スライダーを調整してメリハリを出す。夏の色彩はコントラスト強めが基本となるので、スライダーを右に移動してコントラストを強く補正。作例は草の部分に着目し、陰が濃く見える(=日射しが強い)ように補正している。
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(3)鮮やかさを補正する

ある程度の明暗を整えたら、鮮やかさを補正する。使う機能は「彩度」と「自然な彩度」スライダー。先に「彩度」で全体の鮮やかさを底上げしてから、「自然な彩度」で足りない鮮やかさを補うと補正しやすい。夏らしい濃密な色彩を出すためにも、不自然にならない程度に鮮やかに補正する。
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(4)色を補正する

「色温度」スライダーを左に移動して、わずかに青みが強く感じられる色調に補正。作例は緑の面積が多いので、続けて「色かぶり補正」スライダーを左に移動して、黄色の要素を抜いて緑が強くなる(シアン寄りになる)ように色調を整えている。
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3、個別に色を作り込む

(1)「HSL/グレースケール」パネルを表示する

全体の露出や色を大まかに整えたら、続けて「Camera Rawフィルター」の「HSL/グレースケール」パネルで色を個別に作り込む。作例の場合は、「空の青」と「草原の緑」を補正する。①「HSL調整」タブをクリックして「HSL/グレースケール」パネルを表示し、②「色相」タブをクリックして色が変えられる状態にする。
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(2)空の青の色を補正する

草原の緑は「色温度」と「色かぶり補正」スライダーである程度整えたので、ここでは空の青から補正をはじめる。空の青に対応するスライダーは「ブルー」や「アクア」などの青系のスライダー。作例は「ブルー」スライダーの反応がよかったので、このスライダーから調整。空の色を確認しながらスライダーを右に移動して、色温度が高い(寒色系)青に補正。
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(3)草原の緑の色を決める

「HSL/グレースケール」パネルは、補正したい2色を先に調整するのがコツ。そこで、草原の緑の色味を調整する。「グリーン」スライダーを右に移動して緑の要素を強める。暖かみを感じる「黄色い要素を抜く」と考えると分かりやすい。写真によっては「イエロー」スライダーの反応がよい場合があるので、状況に応じて使い分けるか、両方をバランスよく補正する。
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(4)残りのスライダーを調整する

「HSL/グレースケール」パネルは、「特定のスライダーを単独」で調整すると、色のつながりが途切れてトーンジャンプのようなまだら模様が生じやすい。これを回避するために、移動したスライダーの位置が滑らかにつながるように、その他のスライダーも連動させておく。作例は「ブルー」と「グリーン」を右に移動しているので、その2つを基準にスライダーを動かす。
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(5)空の青の濃さを決める

色味を調整したら、鮮やかさ(発色)と濃さを調整する。発色の補正は必要ない状態なので、空の青の濃さを補正。使う機能は、「HSL/グレースケール」パネルの「輝度」タブで、「色相」の補正と同様に、空の青に反応する「ブルー」スライダーを調整する。「深い青」を目指し、スライダーを左に移動して色濃く補正。
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(6)草原の緑の濃さを決める

草原の緑の色の濃さを補正する。色濃く仕上げたいので、「グリーン」スライダーを左に移動して暗く補正。草木の緑は、軽い色彩だと春や初夏っぽい雰囲気になりがちなので、色濃く深い色彩にするのがポイント。
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(7)残りのスライダーを調整する

「色相」の調整と同様に、「ブルー」と「グリーン」以外の移動していないスライダーの位置が滑らかにつながるように調整しておく。この処理は、できる限り画質を荒らさない「おまじない」のようなものと考えよう。
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4、ヌケのよい透明感を出す

(1)「かすみの除去」スライダーを調整する

透明感(遠方まで見渡せるクリアな印象)が出せる機能が「かすみの除去」。夏の日射しを意識して、立体感(陰の濃さ)と濃密な色を出すために適用する。作例は空の色の反応がよかったので、不要に濃くならないレベルで補正の範囲を調整している。
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5、周辺光量を補正する

(1)「レンズ補正」パネルの「周辺光量補正」を調整する

画面四隅の色が濃くて気になるので、「レンズ補正」パネルにある「周辺光量補正」機能を使う。四隅が暗い状態を明るくするには、「適用量」スライダーを右に移動すればよい。全体の明暗がフラットに見える状態に近付ければOK。
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6、全体の色調を再調整する

(1)「基本補正」パネルで各スライダーを再調整する

補正を繰り返すと、最初に決めた露出やコントラストが仕上がりのイメージからずれてしまうこともある。そこで、最後にこれらを確認して、必要なら再調整する。雲の白とびが生じていたら「白レベル」スライダーを左に移動して補正しようと思ったが、ギリギリ階調が出ているので現状を維持。ただし、空の低い部分の雲の立体感がもの足りない感じ。「ハイライト」スライダーを左に移動し、ハイライトの露出を抑えて雲の立体感を再現。各機能の微調整が済んだら、「OK」ボタンで補正を確定する。

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さらに詳しい解説は、Shuffle by COMMERCIAL PHOTO で連載中の「風景&ネイチャー レタッチの教科書」(解説・写真:桐生彩希)に掲載されています。サンプルファイルもダウンロードできますので、ぜひ挑戦してみてください!

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