新時代の「印刷」と、Adobe PDFがもたらす印刷エクスペリエンス #AcrobatDC #PDF
今年の6月、Adobe Acrobat と Portable Document Format(PDF)は25 周年を迎えました。この間、デジタルメディアは劇的な普及を遂げ、印刷業界の 500 年の歴史の中で最大の挑戦をつきつけました。これはラジオやテレビよりも大きな影響を与えました。新聞や雑誌は薄くなり、印刷された電話帳は姿を消しつつあります。しかし今でも印刷業界は年間売上総額 9,000 億ドルで、緩やかながら成長を続けている世界的な巨大産業です。他の業界と同様、テクノロジの発展が印刷業界にも劇的な変革をもたらしています。
これらの変革の中で、最も重要なものとしてはインクジェットヘッドの進化が挙げられます。数十億もの微小なインク滴で、ほとんどあらゆる素材面に高速かつ正確に描画でき、最近では、シングルパス方式も実用化されました。アナログ印刷の刷版(アルミニウム板、ゴム板、スクリーンステンシル、布パッド等)を必要とせず、デジタルコンテンツが物理面に直接描画されるため「デジタル」印刷と呼ばれます。デジタル印刷では製版等の準備の手間が低減され、コストが大幅に低減されるため、パーソナライズ印刷、バージョニング印刷、印刷単位部数を 1 部にまで減らした印刷まで実現可能になります。
インクジェットヘッドは設置面積が小さいため、工場の組立ラインを含め、ほぼあらゆる場所に設置できます。また印刷面とは直接接触しないため、素材が平らである必要もありません。プラスチック、金属、ガラス、セラミック、布など、事実上あらゆる素材に効率的に印刷できます。この効率性は、製品用部品、スポーツ用品、車両の外装、スーツケース、マグカップ、パッケージ、T シャツ、衣類などさまざまな形状やサイズの表面に印刷する場合も同様です。インクジェット技術の進化は既に多くの新製品、新しいビジネス手法、新しいビジネスモデルを生み出しています。
紙媒体を使用しない、従来とは異なるこのグラフィックアートを、業界アナリストが「新時代の印刷」と呼ぶのも不思議ではありません。企業、デザイナー、商業印刷業者の課題は、「新時代の印刷」が切り開いたクリエイティブなビジネス機会を最大限に活用にすることにあります。堅牢なイメージングモデルを持つ PDF には、今日の豊富なグラフィックデザインをキャプチャして表現する能力があります。また、幅広い色域、特殊効果(ニス塗、箔押し)、新しい紙素材やテキスタイル素材、特殊色(金、銀、蛍光色、白等「白は透明素材における新しい基準色」)、パーソナル化など、現代のデジタル印刷機の新機能も活用できます。これらすべての機能を効果的に活用することで、消費者の関心を引き付けることができます。
7 月にリリースされた Adobe PDF Print Engine バージョン 5(APPE 5)は、「新時代の印刷」が変革を遂げる中で生成されるさまざまなジョブをレンダリングできるように設計されました。PDF 2.0 の印刷機能を完全にサポートすることで、印刷素材の種類を問わず、インパクトのあるカラー出力を実現します。さらに Adobe Illustrator CC、InDesign CC、Photoshop CC、Acrobat DC で使用されているものと同じ Adobe PDF のコアテクノロジーが採用されているため、デザインからプレビュー、承認、校正、プリフライト、最終出力に至るまで、一貫性と予測性が確保されます。これはあらゆる人々の作業を容易にするものであり、これこそ私達が Adobe PDF の印刷エクスペリエンスと呼ぶものなのです。
この記事は、2018/9/6(米国時間)にポストされたNew Print and the Adobe PDF Print Experienceを抄訳したものです。