アドビとWPP、クリエイティブワークフローとキャンペーンのための新たなテクノロジー開発で協業 #AdobeMAX #WPP

連載

Adobe MAX 2018

アドビがForrester Researchに委託して行った最近の調査によれば、エクスペリエンス主導型の企業は、非エクスペリエンス主導型の企業に比べ1.6倍のブランドの認知、1.5倍の再訪問者数、1.9倍の平均購入単価であることが明らかになりました。

このことはエクスペリエンス主導型企業にとって顧客体験がいかに重要な要素となっているかを示しています。しかし、こうしたプラクティスをどのように拡大していくかは検討の必要があります。エクスペリエンス主導型のマーケティングには、コンテンツ制作のスピードが欠かせません。これにはパーソナル化と顧客の特性に応じた反応の強化と、多種多様なコンテンツを頻繁かつ迅速に、増大する一方のチャネルすべてで活用することが含まれます。データと効率的なデザインプラクティスを活用してこれを実現するために、ブランド企業は、エージェンシーパートナーに依存することになります。

私たちは、コミュニケーションサービスの世界的なリーダーであるWPPと協力し、クリエイティブチームとマーケティングチーム間のアセットワークフローを効率化し、コンテンツのデザインと制作の大規模化を支えるソリューションを開発します。

クリエイティブブリーフを再発明

ブランドエージェンシーとの関係は多くの場合、要件等の資料であるクリエイティブブリーフから始まります。正しく用いれば、クリエイティブブリーフはキャンペーン全体の制作物とデザインの仕様書となりますが、コンテンツ制作により一層のスピードが求められる中、クライアントからのブリーフィングは不足したものとなりがちです。ダイナミックでスケーラブルなエクスペリエンス主導型のキャンペーンには、新たな情報やアセット、あるいは目的が追加されるたびに、いつでも更新可能な「リビングドキュメント」が必要です。

アドビとWPP(同グループのオグルヴィーとワンダーマンを通じて)は、まさしくそのようなクリエイティブブリーフのソリューションを開発します。そのゴールは、紙に書かれた変更不能なクリエイティブブリーフを、ブランド企業とエージェンシー間のコラボレーションを効率化する生きたハブに作り替えることです。クライアントは1か所のセキュアなポータルから、デザインブリーフを発行し、その内容についてエージェンシーと直接コラボレーションし、コンテンツ制作のためにリアルタイムのキャンペーンデータとアセットを送信し、アセットの最終ドラフトを素早く承認することができます。

新しいクリエイティブブリーフのハブは、従来型のブリーフを使って何人もが仕事を行っていた時に起こりがちだった作業のダブりや断片化をなくします。デザイナーは作業に早く取り掛かれ、時間を有効に使うことができます。

デザインツールの有効活用

ひとつのキャンペーンで、何万件ものビジュアルアセットが作成されることがありますが、その多くは、サイズ、ファイル形式、使用言語といった細かい変更と編集で生み出されます。ひとつひとつの変更は小さくとも、これに費やされるデザイナーの総時間は無視できないものであり、クリエイティブプロセス全体に影響します。

Adobe Creative CloudとAdobe Experience Managerが備えるアセット制作と管理のテクノロジーを組み合わせて、アドビとWPPはコンテンツ制作をより迅速かつ効率的に行うためのソリューションを開発します。これにより、クリエイティブにもビジネスにも寄与しないタスクにかける時間を削減でき、チームはコンテンツのクオリティ向上やイノベーションに集中できるようになります。

例えば、アドビはWPPグループのグレイとワンダーマンと協力し、反復作業を自動化し、クリエイティブブリーフにそったPhotoshop関連のワークフローを高速化するPhotoshop Imaging Engineの開発に取り組んでいます。

Photoshop Imaging Engineはキャンペーン期間全体にわたり、アセット制作と編集に加え、完成したアセットのクライアントへの送信に至るワークフロー全体を改善します。テンプレート制作時間の最大90%短縮、テンプレートの修正依頼への対応時間の最大95%短縮が見込まれています。

顧客体験の新たな波:音声

アドビとWPPは、デザインプロセスを加速し、全く新しい顧客体験を可能とする新たなテクノロジーの探求も行っています。

音声操作はブランド企業が急速に関心を高めている分野です。AlexaやSiriのようなサービスはすでに一般に普及し、それらを中心としたエコシステムが構築されようとしています。より多くの人々がモバイルデバイスを使い、拡張現実(AR)や仮想現実(VR)といったエクスペリエンスの普及が目前に迫る今、私たちは音声技術がブランドアイデンティティとデジタルエクスペリエンスにおける重要な要素になると考えています。

アドビとグレイは、Voice Information Architectureと名付けたプロジェクトに取り組んでいます。これは、ブランド企業のWebサイトを訪れた消費者が、目でも声でも、一貫したエクスペリエンスを得られるようにすることを目的としています。

これらの取り組みはひとつひとつが大きな価値を持つものですが、組み合わせて用いることで、デジタルエクスペリエンス構築のための制作ワークフローに革命をもたらす可能性を秘めています。アドビとWPPが共有するビジョンは、デザイナーがきちんと情報を受け取り、規模の大小を問わずアセットを効率的に管理し、結果として納得した選択ができ、クライアントの名のもとに素晴らしいエクスペリエンスを作り出せる世界の実現です。

この記事は、2018/10/15(米国時間)にポストされたAdobe and WPP Collaborate to Develop New Technologies for Creative Workflows and Campaignsを抄訳したものです。