Pan-CJKフォント「源ノ角ゴシック」にバージョン2.0が登場 #AdobeFonts #AdobeMAXJapan
本日、源ノ角ゴシックのバージョン2.0がリリースされました。2014年にGoogleと共同で開発したオープンソースPan-CJK書体ファミリーの大きなアップデートです。
技術情報とアップデートの詳細を含む同書体のより詳しい情報が必要な場合には、GitHubサイト上のリリースノートをご参照ください。このブログでは、とくに重要な変更点といくつかの改善点について説明いたします。
- 新しい書体デザインのパートナーのArphic Technology(文鼎科技)と作業を進め、香港で広く用いられる字形と追加の字形を定めた標準の『香港增補字符集-2016』(HKSCS-2016)に対応する、新しいタイプの中国語繁体字を追加しました。さらにその他の中国語用の漢字に対しても多くの調整を行いました。(最新のバージョンのAdobe InDesign CC 2019 では香港用の言語タグが利用可能で、源ノ角ゴシックの利用がさらに便利になっています)。この5番目の東アジア主要言語の追加によって、源ノ角ゴシックのフォントファイルの数は72個から16個増えて88個となりました。
上の図では、「遍」の文字(U+904D)について、その日本、韓国、中国、台湾、香港のそれぞれの地域で広く用いられている5個の字形を示しています。また、バージョン2.0では、台湾と香港で用いられている辶の部分の形にも改良を加えました。
上の図には、最初の2行は日本や韓国で主に用いられる漢字、3行目は繁体字、4行目に香港繁体字、5行目に簡体字のそれぞれの字形に対応した「ビャン」という文字で、源ノ角ゴシックの7つのウェイトで示されています。5つの言語に対応するために、この繁体字は4つの異なる字形を必要としています。
- CJK統合漢字のUnified Repertoire and Ordering(URO、すなわちUnicode 1.1で最初に符号化された統合漢字の集合)のブロックはUnicodeのバージョン0の(U+9FEF)までで完結しています。
- 専門家諸氏から寄せられたフィードバックをもとに、アドビのチーフタイプデザイナーでありPan-CJKフォントプロジェクトにおいて書体デザイン面でのリーダーを務める西塚涼子は、新しい用字系のデザインを習得する課題に取り組み、種々の文字グリフや声符の形状に対して改善を加えるだけでなく、台湾で用いられ一部の中国語の方言でも利用される発音記号ボポモフォ(国音字母)のグリフについても抜本的な改良を施しました。
源ノ角ゴシックの旧バージョンと今回のアップデートバージョンにおけるボポモフォの形の比較。ボポモフォの各グリフに対してどのような修正がなされたかを示しています(青色が旧バージョン、黒色が今回のバージョン)。
- 源ノ明朝ではすでに利用可能になっている、RegularウェイトとBoldウェイトのスタイルリンク機能に、このバージョンで源ノ角ゴシックも対応しました。この機能を利用してテキストをBoldにする一部のアプリケーションでは、フォントメニューにBoldウェイトが表示されない場合があります。
この新しい源ノ角ゴシックのフォントは、すべてGitHubサイトから入手可能です。一部のPan-CJK版およびサブセット版については、デスクトップおよびWebフォントとしてAdobe Fontsのサービスから利用することができます。これらのフォントのGoogleのバージョンには、Noto Sans CJKという名前が付けられ、同社のNoto Pan-Unicodeの書体ファミリーの一部として入手可能です。
数多くの微細な変更が書体ファミリー全体で行われているため、源ノ角ゴシックのフォントをこれまでに利用されたことのある方は、使用されているシステム上のフォントが最新のものになるように、一旦、源ノ角ゴシックのフォントをディアクティベートした後で、再度アクティベートしなおすことを推奨いたします。