Adobe MAX 2018 今すぐ試してみたくなるセッション3選 #AdobeIO

この投稿について

いつも Adobe I/O デベロッパーブログをお読みいただき、ありがとうございます。

先日10月15日から17日に、ロサンゼルスで Adobe MAX 2018 が開催されました。MAXというと、キーノートでの新製品発表やスニークでの開発中の機能紹介が話題になりますが、それらに関しては既に各種ウェブニュースやブログで数多語られているので、ここでは触れません。この投稿では、Adobe MAX で行われた数多くのセッションの中から、今すぐ試してみたくなったセッションをご紹介します。

コンテンツ

「セッション」について

Adobe MAXといえばキーノートやスニークが話題になりますが、それ以外の朝8時15分から夕方5時45分の間に1コマ75分の「セッション」を聴講することができます。セッションでは、様々な製品のテクニックや使用事例、業界動向やヒントになる情報などをそれぞれの分野の第一線で活躍する方々がプレゼンします。セッションは全部で約200種類もあるのですが、3日間で最大11枠しか受けられないので、見たいものを厳選するのが大変な上に人気のあるセッションは事前登録ですぐに満員になってしまいます。


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私は、新製品や新機能、今話題のものを中心に参加しました。それらのうち、今すぐ自分で試したくなったものをいくつかご紹介します。Adobe MAXのサイトにセッションの録画が掲載されていますので、興味のある方はそちらも合わせてご覧ください(録画は予告なく削除される場合があります)。

#気軽に楽しく 3D 制作:Adobe Dimension

セッション名:BRINGING IMAGINATION TO LIFE: EVOLVING THE IMMERSIVE MEDIA TOOLSET
録画URL : https://max.adobe.com/sessions/max-online/#24904

Immersive digital environment(没入型デジタル環境)は VR(Virtual Reality = 仮想現実)と AR(Augment Reality=拡張現実)技術からなり、VRではGoogle のストリートビューのように自分が仮想環境の中に入っているような体験ができ、ARでは、恐竜や家具などの実際には目の前に存在しない物体が現実世界にあるような体験を行うことができます。このセッションは、Googleによる3Dアセットライブラリの紹介と、YouTubeによるVR360/180ビデオの概要と4名のVRクリエイターとのトークセッションです。

GoogleではAR/VR Experienceを作成するための様々なハードウェアやソフトウェア、サービスを提供しています。セッションの前半では、VRデバイスを使用してVR環境内で3Dモデルを作成するためのソフトウェア Blocks と、AR/VRに使用する 3D モデルや 360VR 写真などのアセットを集約し発信するためのライブラリ Poly が紹介されました。


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Polyでは、クリエーターから投稿された3Dモデルや360VR写真を検索し、それらをドラッグで回転させながら見ることができます(Polyでは日本語での検索には対応していないようなので、英語で検索するか、カテゴリを選択してリストから見つけます)


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リミックス可能なアセットを使用すれば、自分で 3D モデルを作れなくても気軽に 3D 作品を作ることができます。Poly の 3D モデルを Adobe Dimension CC 2019 で使用するには、選択したモデルを OBJ または FBX 形式でダウンロードし、Dimensionに読み込んでアートボード上に配置します。


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もちろん、読み込んだ3Dオブジェクトのテクスチャや色を Dimension 内で簡単にカスタマイズすることができます。


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無償で使える 3D アセットは、Dimension のプリセットや Adobe Stock テンプレートでも多数用意されていますが、もっと気軽に 3D を始めるなら、このような愛らしい動物やキャラクターを3D空間に配置したら楽しさ倍増です。想像力が刺激されるので、子供と一緒にお話を作りながら絵作りするのも楽しいかもしれません。

後半は、YouTubeによるVR360/180ビデオに関するセッションです。

YouTube VR での VR ビデオ数は 80 万本を超え、VR ヘッドセットは全世界で数千万個を超える勢いで販売されています。Google VR カメラ JUMP では、ゆがみの補正や被写界深度の向上により、より合成しやすい動画撮影が可能になりました。一方、用途によっては360度画像でなくても180度の方がいい場合もあります。インタビューやコンサート画像で後ろを振り向く必要がない場合、後ろのクルーが映りこむことを気にする必要もなく、つなぎ目が不自然になることを気にする必要もありません。これらのVRビデオは、Premiere ProやAfter Effectsに読み込み編集することができ、VRビデオとして書き出してYouTubeにアップロードすることができます。

以上のVRビデオの概要に続いて、YouTubeで活躍する4人のVRクリエイターによる50分間のトークセッションが始まります。機材の話、制作にまつわる話(英語)などを聞きたい場合は是非録画をご覧ください。

#プラグインでUIデザインをより快適に:Adobe XD

セッション名:GETTING STARTED WITH XD PLUGINS
録画URL:https://max.adobe.com/sessions/max-online/#24809

このセッションでは、Adobe XD CC 2019 の新機能「Adobe XD アドオン」のプラグインについて、プラグインを使用する側と作成する側の体験が説明されます。XDプラグインに関する基本の基本を知りたい場合は、このセッションを見ることをお勧めします。

XDでプラグインを使用することによって、繰り返しの作業やアセットの読み込みなどの手間がかかる作業が簡素化され、より現実味のあるプロトタイプを短時間で作成することができます。


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プラグインを検索するには、XDのホーム画面の「アドオン」パネルで「プラグイン」をクリックするか、プロジェクトを開いている場合は、「プラグイン」メニューから「プラグインを見つける」を選択すると、プラグインマネージャーが開きます。プラグインマネージャーではすべてのプラグインを表示したり、既にインストールされているプラグインの管理をおこなったりします。


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インストールしたプラグインは「プラグイン」メニューに表示されます。使用するにはリストから選択します。


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Adobe XD のプラグインの詳細はこちらをご覧ください。

このセッションでは、プラグインのサンプルとして次の3つのプラグインが紹介されました。


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「UI Faces」は、選択したシェイプをフリー素材の顔写真で埋めてくれるプラグインです。自分でフリー素材からバラバラの顔写真を探すのは大変ですが、このプラグインを使用すると、性別や年齢などでフィルターした人物写真を自動でシェイプ内に当てはめてくれるのでとても簡単です。


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「Google Sheets」は、スプレッドシートのデーターを読み込んでくれるとても便利なプラグインです。データを読み込ませるオブジェクトを選択してプラグインを起動し、Google SheetsをURLで指定するかCSVファイルを読み込んだら、UI上のどのオブジェクトにどのカラムを関連づけるかを指定します。もちろんExcelで作成したCSVファイルも読み込むことができます。Google Sheetsプラグインには、アニメーションのチュートリアルもついています。


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「Stark」は、プロジェクトのカラーをシミュレーションしたり、UIのコントラストをチェックしたりします。今のところ結果をエクスポートする機能はありませんが、将来リリース予定ということです。


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一方、開発者としてプラグインをビルドする方法についても説明されています。このセッションでは、シェイプを繰り返し複製して背景パターンを作成するコードの作成例が紹介されています。

自分のプラグインの作成を開始するには、まず、console.adobe.io/plugins にアクセスして「Create Plugin」をクリックし、プラグイン名を入力します。この時、プラグイン名は一度使用したものは重複して使えず、後から変更もできないので、お試しで使用する場合には本番で使いそうな名前をつけないよう注意が必要です(プラグインマネージャー上で表示されるプラグイン名は、manifestファイル内で指定します)。プラグイン名が決定したら、「Create Plugin」をクリックすると、自分のプラグインページが作成されますので、「Download Starter Project」をクリックしてプラグイン作成に必要なファイルを入手します。


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ファイルには manifest.jsonとmain.jsが含まれています。


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作成したプラグインを身近な人に配布するには、この二つのファイル(と必要な参照ファイル)をzip形式で圧縮し、拡張子を.xdxに変更するだけです。プラグインをインストールするにはxdxファイルをダブルクリックします。プラグインマネージャー経由で配布するには、自分のAdobe I/Oのプラグインページで「Submit for Review」から送信します。XDチームのレビュー後、数日以内に採用・不採用の連絡が届きます。

その他、プラグインの作成について詳しくは https://adobexdplatform.com/ をご覧ください(現在英語版のみ)


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XDアドオンでは、プラグイン以外にもUIキットや他社アプリケーションとの連携ツールを見つけることができます。作業に役立つツールを探して、プロトタイプ作成をさらに快適にしましょう。

#自分のデザインをAR化:Project Aero

セッション名:DESIGNING FOR THE REAL WORLD IN AUGMENTED REALITY
録画URL:https://max.adobe.com/sessions/max-online/#24828

このセッションでは、Project AeroによってAR作成がデザイナーにとっていかに身近になるかを、PhotoshopとDimensionから書き出したファイルを使用しての簡単なデモを交えて紹介されます。Project Aeroのベータ版はまだ公開されていないので今すぐ始めることはできませんが、事前登録を行うことができます

これまで、ARを作成するには多くの工程や専門的なアプリケーションが必要で、デザイナーが思い通りの作品を作るには多くのコミュニケーションが必要でした。


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Project Aeroでは、使い慣れたCreative CloudツールでARを作成でき、様々なデザインを取り入れる可能性が増えます。


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PhotoshopからAero用に書き出したPSDファイルをAeroに読み込んでレイヤーを立体的に見せたり


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Dimensionから3DモデルをAero用に書き出してAero内で現実世界上に置いたりできます。なお、Aero用に書き出すためにはPhotoshopとDimensionのプライベートベータが必要です。


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Project Aero のプレリリースの受付は https://www.adobe.com/jp/products/projectaero.html の下にある「お申込み(英語)」ボタンから行えます。まだベータ版の配布は開始されていませんが、準備完了次第お知らせが届きますので今しばらくお待ちください。


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