Goto Aki が教える、売れる風景写真を撮る基本 #6 – 「カメラポジション・アングル」#AdobeStock

連載

Goto Aki が教える、売れる風景写真を撮る基本

世界一周から日本全国の旅へと風景撮影の旅を続ける写真家・GOTO AKI。現在は日本の風景をモチーフに地球的な時間の流れをテーマとした作品を写真集や個展で発表する傍ら、当ブログや写真教室などで、より多くの方々に写真の魅力を伝えるための活動にも力を入れています。

この連載では、「ストックフォトとして売れる風景写真とは何か?」をテーマに、みなさんがAdobe Stock用の素材撮影に役立つような考え方と基礎的な知識を作品例とともにお伝えしていきたいと思います。

みなさん、こんにちは。

ここまでの5回の連載記事では「光」「時間」「色」「造形」「明暗」についてお伝えしてきました。今回は「カメラポジション・アングル」についての話です。

これまでの連載で、ストックフォトは素材であるという話をお伝えしてきました。例えば、ユーザーであるデザイナーが風景写真を検索する際に、「場所」だけでなく「ローポジション」や「ローアングル」などのカメラの位置や角度をして検索することがあるのをご存知でしょうか。ストックフォトで、ユーザーに選んでもらうチャンスを広げるために、ここでは、「カメラポジション」と「アングル」の特徴を学んでみましょう。

1 「カメラポジション」・「アングル」とは何か?

写真を学び始めると、「カメラポジション」・「アングル」という言葉を耳にする機会があると思います。「カメラポジション」は言葉の通り、撮影をするときのカメラ位置のことです。「アングル」は被写体に対する角度の意味です。それぞれ分類すると3種類あります。

* カメラポジション(カメラの位置)

ハイポジション・・・アイレベルより上

アイレベル・・・目の高さ

ローポジション・・・アイレベルより下

* アングル(被写体に対するカメラの角度)

ハイアングル・・・被写体から見て高い角度からの撮影。

水平アングル・・・被写体から見てほぼ水平の角度からの撮影。

ローアングル・・・被写体から見て低い角度からの撮影。


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ローポジション、水平アングルの写真 ©︎Copyright2018 GOTO AKI All Rights Reserved.

次にそれぞれの特徴や効果、作例となる作品をみて行きましょう。

2 「カメラポジション」と「アングル」の特徴とは?

カメラポジション」と「アングル」の工夫で相手への伝わり方が違ってきます。検索で比較されるストックフォトでは目立つことも大事です。日常から離れたポジションやアングルで魅力的な写真撮影を目指しましょう。

ハイポジション ・・・奥行きや空間を強調。非日常で新鮮。客観的。状況説明に適する。

アイレベル・・・日常的な表現に適する。安心感。安定感。

ローポジション・・・臨場感の強調。非日常で新鮮。主観的。

ハイアングル・・・俯瞰の角度。チルト機能付の背面モニターを使っての撮影が便利。地面や水面が背景になる。

水平アングル・・・被写体と視線の高さが同じ角度。日常感、親近感、安定感があるが、面白みに欠ける。

ローアングル ・・・アオリの角度。遠近感を強調することで迫力のある写真が撮りやすい。被写体を上に見上げるため、爽やかさや希望などの前向きな表現にも適している。空が背景になる。

ストックフォトでは被写体が何かだけでなく、「爽やか・希望」など被写体から受ける印象も大事な検索の要素になってきます。この分類を覚えて撮影現場で活かすことはストックフォトのバリエーションを増やす点で有効です。

実際の風景撮影では、カメラポジションとアングルの組み合わせで構図を作ります。

アイレベル、ハイアングルで撮影した一枚。


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アイレベル、ハイアングルで撮影した一枚。©︎Copyright2018 GOTO AKI All Rights Reserved.

ハイポジション、ローアングルで竹林を撮影。


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ハイポジション、ローアングルで竹林を撮影。©︎Copyright2018 GOTO AKI All Rights Reserved.

ローポジション、水平アングルの作品


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ローポジション、水平アングルの作品 ©︎Copyright2018 GOTO AKI All Rights Reserved.

ローポジション、ハイアングル、俯瞰で捉えた花の写真


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ローポジション、ハイアングル、俯瞰で捉えた花の写真 ©︎Copyright2018 GOTO AKI All Rights Reserved.

アイレベル、水平アングルの作品


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アイレベル、水平アングルの作品 ©︎Copyright2018 GOTO AKI All Rights Reserved.

連載3回目の記事「色」で、被写体の色だけでなく、その色から受ける印象も伝わるという趣旨の話をしましたが、今回の「カメラポジション」「アングル」も同様です。被写体だけでなく、相手に伝わる情報や印象についても一緒に考えて撮影できるように心がけてみましょう。

3 まとめ

連載第6回目の記事はいかがでしたでしょうか。これまでの連載の記事は「光」「時間」「色」「造形」「明暗」をテーマにお伝えしました。今回の「カメラポジション」と「アングル」をあわせた基本的な知識は、実際の撮影の上では連動しています。過去記事を復習しながら、ストックフォトの風景写真をお楽しみいただき、素敵な作品を是非Adobe Stockへアップロードしてみてください。今回で全6回の連載も終了です。最後までお読みいただきありがとうございました。

Adobe Stockでは、作品を投稿してくださるコントリビューター(投稿者)を募集中です。コントリビューター登録がお済みでない方はこちらからどうぞ。みなさまの素敵な作品をお待ちしています。

お知らせ:

GOTO AKIさんの写真展「terra」が東京・品川のキヤノンギャラリーSにて2019年1月19日から3月4日まで開催されます。また、写真集「terra」(赤々舎)も併せて出版予定です。2月2日にはトークイベントも予定されているとのこと、この機会に是非AKIさんの最新の作品とその世界感をご堪能ください。


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