2019年2月 Lightroom CCアップデートを提供開始 #Lightroom
アドビは、Camera Raw、Lightroom Classic CC、Lightroom CCのMac、Windows、Android、ChromeOS、iOS版を含むフォト製品エコシステムすべてにわたるアップデートを提供開始しました。
今回のアップデートでは、Senseiを活用した新機能「ディテールの強化」を追加しています。Mac版およびWindows版のAdobe Camera Raw、Lightroom Classic CC、Lightroom CCに搭載されたこの機能は、RAWで撮影した写真のデモザイク処理を、機械学習とコンピュテーショナルフォトグラフィ(計算写真学)を利用した新たなアプローチで行うものです。デモザイクとは、RAW写真の処理において、カメラがキャプチャした生の情報を私たちが見慣れた写真に変換するための、画素レベルのプロセスのことです。
ディテールの強化に用いるアルゴリズムは、BayerならびにX-Transセンサーで撮影された写真の解像度を最大30%向上できます。この機能は、どんなRAWファイルにも適用できます。例外は、リニア画像化されたRAWファイル、結合後のHDRまたはパノラマ(結合前のファイルにディテールの強化を適用してから結合することは可能)、スマートプレビュー、非可逆圧縮されたDNGファイル、バージョン1.1互換として保存されたDNGファイルです。写真にディテールの強化を適用すると、微細なディテールの描画が大幅に改善され、細かな色の再現性が高まり、富士フイルムのX-Transセンサー搭載カメラで一部のお客様からご報告があった問題が解決します。
ディテールの強化についての詳細は、こちらをご覧ください。また、富士フイルムのX-Trans形式での効果は、こちらからファイルをダウンロードして実際にご確認いただけます。
上掲のアニメーションでは、富士フイルムX-Trans形式ファイルを400%に拡大した詳細部分の比較を示しています。街灯や信号機の部分にみられるような細かな色のディテールに注目してください。
さらに、前述のフォト製品すべてに新しいカメラとレンズのサポートが追加されています。
Mac版およびWindows版 Lightroom CCの新機能
ディテールの強化に加えて、HDR、パノラマ、HDRパノラマの結合ツールならびにターゲット調整ツールが追加され、ヒストグラムクリッピングインジケーターも加わりました。
HDR、パノラマ、HDRパノラマの結合
ハイダイナミックレンジ(HDR)とパノラマは、どちらも単一の写真では実現不能な美麗な写真を、複数のフレームを結合することで作成するものです。Lightroom CCは複数のRAWまたは非RAW写真をHDRまたはパノラマ写真に結合できます。生成されたDNGは、RAWファイルの利点をすべて保持しているため、ホワイトバランスの調整やハイライト部の復元などが可能で、最高の結果を得られます。
パノラマの撮影は手持ちでも三脚でも可能です。手持ちの場合は、Lightroomの高性能なテクノロジーが、それぞれの写真の位置を揃え、歪みを補正します。三脚を使えば、さらに高品質な結果が得られ、超広角パノラマなどより難しい撮影への対応も可能になります。
HDRまたはHDRパノラマのために複数枚の写真を撮影する場合、露出を変えながら一連の写真を撮影できる、カメラのオートブラケット(自動段階露出)モードの使用が推奨されます。オートブラケットモードの使用法については、カメラに付属のマニュアルをご参照ください。HDRパノラマをキャプチャする際は、必要な一連の露出をすべて撮影してからカメラの向きを変えますが、このとき三脚とリモートスイッチが役に立ちます。
Lightroomに写真をインポートしたら、結合したい写真を選択し、「写真/写真を結合」メニューアイテムから適切な結合オプションを選択します。
ターゲット調整ツール
ターゲット調整ツールは、色と色調の正確なコントロールを可能にするもので、トーンカーブ、カラーミキサー、B&Wミキサーの各ツールで使えます。
ターゲット調整ツールを使うには、トーンカーブ、カラーミキサー、B&Wミキサーのいずれかを開き、ターゲット調整ツールアイコンをクリックします。すると、スクリーン下部に新しいコントロールパネルが現れ、ツールが写真に及ぼす効果の種類を表示します。この状態のまま、写真上でクリック&ドラッグをすることで、トーンカーブ、カラーミキサー、B&Wミキサー(いずれか現在有効なもの)を操作するのと同様の編集を、マウスカーソル直下の領域の色と色調に対して行えます。例えば、写真のなかで空が写っている部分を、カラーミキサーを有効にした状態のターゲット調整ツールでクリック&ドラックすれば、空の彩度が変化します。写真上のさまざまな箇所をこのようにしてダイレクトかつ効果的に編集できます。
ヒストグラムクリッピングインジケーター
クリッピングとは、完全な白(ハイライト)あるいは完全な黒(シャドウ)のように、明るすぎ、または暗すぎるためにディテールが潰れてしまった領域のことを指します。そのような領域が生じる原因としては、快晴で光が強いなどの理由でシーンに含まれるダイナミックレンジが高すぎるため、写真がキャプチャされた時点でクリップされたハイライトまたはシャドウが残る場合と、編集中にクリッピングが生じる場合とがあります。ヒストグラムクリッピングインジケーターは、写真上のハイライトクリッピングを赤で、シャドウクリッピングを青でプレビューします。
ヒストグラムクリッピングインジケーターを有効化するには、まず「表示/編集パネル/ヒストグラムを表示」メニューコマンドを選択して編集パネルの上部にヒストグラムを表示し、左上(シャドウクリッピング)または右上(ハイライトクリッピング)の三角形をクリックします。それぞれのクリッピングインジケータープレビューは、個別に有効化できます。
iOS版Lightroom CCの新機能
今回のアップデートでは、アドホック写真共有をサポートしたほか、現行の機能に対する表には現れない改善や、将来の新機能への準備を実施しました。改善点とバグ修正の完全なリストは新機能ページでご確認ください。
アドホック写真共有
任意の写真を選び、そのままオンラインで共有可能な写真セットを作成できるようになりました。あらかじめアルバムを作成してから共有するのではなく、好きな写真を選択してスクリーン右上の3点メニューをタップ、「Webに共有」を選ぶだけです。他のWeb共有方法と同様に、リンクを送る共有相手に写真のダウンロードやメタデータの閲覧を許可するかどうかを設定できます。
Chrome OS版およびAndroid版のChromeOSの新機能
近々予定している新機能の準備に注力しているため、今回のリリースには基本機能に関する改善とバグ修正をいくつか盛り込むにとどめています。改善点とバグ修正の完全なリストは新機能ページでご確認ください。
Lightroom Classicのアップデート
今回のリリースでは、ニコン製カメラ利用時のパフォーマンスと安定性をさらに改善しました。2018年10月のアップデート(英語)以降、キヤノン製カメラ利用時にもたらされるようになったのと同等のスピードと安定性を、ニコン製カメラ利用時にも実現しています。また、Lightroom Classicを使ったテザー撮影時の写真転送スピードが高速化しています。さらに、テザー撮影バーには、ISO、シャッター速度、絞り、ホワイトバランスといったカメラの基本機能コントロールが追加され、便利になりました。その他テザー撮影関連の詳細についてはこちらを、改善点とバグ修正の完全なリストは新機能ページでご確認ください。
この記事は2019/2/12にポストされたFebruary Lightroom Releasesを抄訳したものです。