NRF2019現地レポート
本ブログは、NRF2019に参加したアドビ システムズ 株式会社のエグゼクティブフェローである石井 龍夫がレポートにまとめたものです。
2019年1月13日(日)から15日(火)までの3日間、ニューヨークのジェイコブ ジャビットセンターでNRF(National Retail Federation)2019 Retail’s Big Show & EXPOが開催されました。このイベントは、約3万7000人の参加者が99カ国から集う、リテール分野では世界最大級のもとなっています。
アドビは、EXPOエリアのアドビブースでリテール向けのソリューションを紹介するだけでなく、昨年よりグループに加わったECプラットフォームのMagentoが独自のブースを設け、数多くの欧米企業のECサポート実績をベースに、ソリューションの提案を行いました。
ECの巨人であるアマゾンが席巻する流通業界の競争環境の中では、小売店が競争力を保ちながら、買い物客のロイヤルティを強化するためには、優れた顧客体験を提供する必要があります。実際に、米国のオンライン小売店上位100店のうち80店がAdobe Experience Cloudを利用し、データを活用した顧客体験管理(CXM:Customer Experience Management)に取り組んでいます。
今回のNRF2019での展示やセミナーでの各社のキーパーソンの発言から読み取れるのは、オールウェイズオンの時代におけるオンラインデータの活用はもちろんのこと、オフラインのデータ活用への期待です。これまで、オンラインのデータはウェブサイトでの閲覧履歴やキャンペーン応募のデータ、そしてECの購買履歴などを総合して、適切なパーソナライズに基づく顧客体験を提供する事を実現してきました。しかし、オフライン、特に店舗については、店頭売上データをリアルタイムに管理し、棚からの欠品を無くしつつ在庫の適正化を実現しROIを改善するためにはRFIDやICタグを導入するなど、少なくない投資が必要でした。
しかし、昨今のデジタル技術の進歩により、店頭に設置したカメラによる画像認識とAIによる機械学習がこれらのセンサーへの投資を必要としなくなる可能性が提示されています。また、画像認識技術は、商品が棚板から取り上げられた事を検知するのみではなく、店頭での顧客の商品選択や購買の行動をデータ化することも可能にしました。また、これまで印刷物として提供されていた値札も、Eインクを活用した物に置き換わることで、店員の持つスマートフォンから棚板や商品毎にリアルタイムで価格変更が出来るようになります。
結果として、オンラインと同様に店内での来店客の行動と商品の動きをデジタルデータ化し、オンラインのデータと連係することで、来店客のオンラインでの閲覧履歴に基づいた店頭POPのパーソナライズも可能になります。これによって真のオムニチャネル化とオンラインからオフラインまで統合した顧客体験の提供が可能になるのです。
https://blogs.adobe.com/japan/wp-content/uploads/2019/02/nrf-003.jpg
アドビがNRF2019で発表した小売店向けの新しい顧客体験管理イノベーションについては、こちらのブログ記事でご覧いただけます。
### 【関連資料】
### 所有から利用へ:サブスクリプションで顧客の期待に応え続けるためにいま注目される「サブスクリプション」ビジネスモデル。この特色は、顧客体験を最大化することが収益に直接結びつくということです。サブスクリプションモデルに取り組み、顧客との長期的かつ良好な関係を築き、継続的な利益という事業基盤の強化を図るには何が必要なのか、解説します。