サンダンス映画祭審査員特別賞受賞!『WE ARE LITTLE ZOMBIES』の製作を支えたPremiere Pro #PremierePro

インディペンデント映画の発掘と育成を目的に創設され、世界への登竜門としても知られるインディペンデント映画の祭典「サンダンス映画祭」。2017年開催の第33回で、日本人として初のショートフィルム部門グランプリを獲得した長久允(ながひさまこと)監督が、第35回となる2019年サンダンス映画祭においても快挙を成し遂げました。

映画『ウィーアーリトルゾンビーズ』6月14日(金)より、全国公開©2019“WE ARE LITTLE ZOMBIES”FILM PARTNERS 配給:日活

長久氏の長編デビュー作「ウィーアーリトルゾンビーズ」が、ワールドシネマドラマティックコンペティション部門で日本映画初の審査員特別賞・オリジナリティ賞を受賞したのです。

他の多くのサンダンス映画祭出品作とおなじく、「ウィーアーリトルゾンビーズ」も全編Adobe Premiere Proで編集されています。私たちは、長久監督ならびに編集を担当された稲本真帆(いなもとまほ)氏にお話を伺いました。

長久監督:「4人の13歳の子どもたちの話です。彼らはみんな両親が死んでしまい、お葬式の会場で出会います。彼らが家に帰りたくなくて、冒険に出て、バンドをして、成長をしていく、という物語です。」

映画『ウィーアーリトルゾンビーズ』6月14日(金)より、全国公開©2019“WE ARE LITTLE ZOMBIES”FILM PARTNERS 配給:日活

CMプランナーとして都内の広告代理店に籍をおきながら、独創的な映画づくりに取り組む長久監督は、自身の子育て中、若者たちを自殺に追い込むカルト団体のニュースに触れたときに、若者たちが絶望しないような物語を作ることを決心したと述べます。

映画『ウィーアーリトルゾンビーズ』6月14日(金)より、全国公開©2019“WE ARE LITTLE ZOMBIES”FILM PARTNERS 配給:日活

長久監督:「サンダンスに招待されたときは、もちろん嬉しかったですね。やっぱりぼくの映画は変わったテンポ感で、変わった編集のタイミングだったり、ちょっと王道の映画と違ったりするので、その映画がこのような大きい、ぼくの好きな映画祭に呼ばれることは、すごい光栄でした。」

サンダンスへの招待は、作品が映画として革新的でチャレンジングなことをしていながらも、楽しめるエンターテインメントであると認められた証であり、それが嬉しかったと監督は語ります。

いっぽうの稲本氏は、大手映像プロダクションROBOTで長年にわたりCMやMVなどの編集者として従事し、Premiere Pro使用歴も長いとのことです。日本映画初のサンダンス映画祭ショートフィルム部門グランプリ受賞作「そうして私たちはプールに金魚を、」で長久監督と初めてコンビを組みました。

長久監督:「優秀なエディターがいる、ということでマッチングしてもらって、すごい息が合ったので、今回もお願いしました。」

映画『ウィーアーリトルゾンビーズ』6月14日(金)より、全国公開©2019“WE ARE LITTLE ZOMBIES”FILM PARTNERS 配給:日活

「そうして私たちはプールに金魚を、」でも稲本氏はPremiere Proを使って編集を行いました。いくつか課題があったもののそれを乗り越え、満足のいく作品を完成させることができ、その経験からPremiere Proを信頼し、今回の長編作品にも使うことを決めたそうです。

稲本氏:「今回Premiere Proを使ったのは、とにかくカメラの種類も多いし、音数もすごく多かったのですが、そのなかで一番使いやすかったのがPremiere Proだったので使用しました。普通だったらいっぱいレイヤーを重ねてしまうと画がカクカクしたり再生がしにくかったり、下のレイヤーを見るときも調整しにくいんですけれども、Premiere Proはやりやすかったですね。」

映画『ウィーアーリトルゾンビーズ』6月14日(金)より、全国公開©2019“WE ARE LITTLE ZOMBIES”FILM PARTNERS 配給:日活

制作にあたってはまず、ロケハンを兼ねながら2〜3週間かけて2時間ぶんのビデオコンテを作り、それに合わせた本番の演出と編集を行いました。撮影後の編集作業には2ヶ月ほど。多くのテーマが重層的に織り込まれた本作品では、映像のテンポを重視したと長久監督は言います。

長久監督:「音楽とかオーケストラのように台詞や音を編集していくことで、ライトに受け止めてもらえるような作りをしています。」

稲本氏:「音に合わせた編集が多かったのですけれども、例えば同じ曲で10台近くカメラが回っていたのが何テイクもあり、同じ音に対して100個くらいの素材がありました。それをなんのストレスもなくタイムラインに積み上げて、そこから画をチョイスして、シーンを繋いだ、というのをやっても、全然ストレスなかったので、すごい使いやすかったですね。」

作品中でSNSのようにメッセージが表示されるシーンでは、Adobe After Effectsでテキストを作成し、ダイナミックリンクを使ってPremiere Proと行き来しながらスピーディーに制作できたと稲本氏は付け加えます。

映画『ウィーアーリトルゾンビーズ』6月14日(金)より、全国公開©2019“WE ARE LITTLE ZOMBIES”FILM PARTNERS 配給:日活

長久監督は、これから映画監督を目指す若者たちには、古い映画をたくさん観てほしいと言います。

長久監督:「昔の映画はすごい自由で、アグレッシブな編集をしていたりアングルを切っていたり、変わった実験的なチャレンジをいっぱいしていました。そこから学ぶことは多いので、たくさん見てそれをやってみる、みたいなことにチャレンジしてほしい。」

稲本氏は、映像においてはちょっとした編集の機微が伝わりかたを左右し、そのような重要な役割りを「握れる」ところが、編集という仕事の魅力であると語ります。

稲本氏:「これから映像を創る人たちには、やっぱりPremiere Proなどの編集ソフトなどがすごく身近になって、誰でも触れるような時代になったので、そこからもう一歩先をどんどんどんどん考えて、私たちがそこにたどり着かなかった地点を、もっともっとやってほしいなと思います。」

映画『ウィーアーリトルゾンビーズ』6月14日(金)より、全国公開©2019“WE ARE LITTLE ZOMBIES”FILM PARTNERS 配給:日活

第33回サンダンス映画祭ショートフィルム部門グランプリ受賞作「そうして私たちはプールに金魚を、」は、現在オンラインで全編公開中です(公式サイトからリンク)。また、第35回サンダンス映画祭で審査員特別賞を受賞した「ウィーアーリトルゾンビーズ」は、2019年第69回ベルリン国際映画祭スペシャル・メンション賞準グランプリならびに2019年ブエノスアイレス国際インディペンデント映画祭最優秀男優賞も獲得、2019年6月14日から全国公開されます。

脚本・監督:長久允
1984年8月2日生まれ、東京都出身。大手広告代理店にてCMプランナーとして働く傍ら、映画、MVなどを監督。そして2017年、脚本・監督を務めた短編映画『そうして私たちはプールに金魚を、』が第33回サンダンス映画祭ショートフィルム部門にて日本人史上初めてグランプリを受賞した。今作が長編映画デビュー作となる。

編集:稲本真帆
愛媛県出身。日本大学芸術学部を卒業後、1999年株式会社ロボット入社。
CM・WEB・映画などのさまざまな映像制作の編集を担当。
様々な編集ソフトの経験を経て2010年頃からAdobe Premiere Proを使用。
主な作品に、CM「NO MORE 映画泥棒」、映画「百瀬、こっちを向いて。」(14)