Shiori’s pick vol.3: アムステルダム発祥のタイプフェイスデザインコミュニティー
Creative Cloud Community Mgr. Shioriのおすすめアーティスト
蒸し暑くなる前の夏風が気持ち良い季節ですね。Goededag!(フッデダッハ:オランダ語で「こんにちは」)Creative Cloud Community ManagerのShiori です。Adobe Creative Jam in Amsterdamをサポートするために半年ぶりにアムステルダムに訪れました。
あちこちに自転車が並ぶアムステルダムの街並み!
ヨーロッパのデザインカンファレンスを通して知り合ったAnimographyの創立者、Jeroen Krielaars (以下Jeroen)に 彼が手がけたCommumintyプロジェクトの話を聞いていたタイミングで私のAmsterdam出張が決定したので、彼のデザインスタジオに遊びに行ってきました。
Animographyとは?
Typeface Design Communityのご紹介の前に、その仕掛け役となったAnimographyについても簡単に説明しましょう。
Animography aka Anim(ated Typo)graphy : Animated typefaces for Adobe After Effects. Customizable and easy to use.
カスタマイズ可能な、Adobe After Effectsで便利に使えるセンスのいいアニメーションタイプフェイスをたくさん提供しているストックアニメーションサービスで、クリエイターのクリエーションに使える素材としてクリエイターの強い味方となっています。世界中にユーザーを持ち、現在Instagramフォロワー数は30,000人強。
約束の日、早めに彼のデザインスタジオ近くに到着した私は、いい気の流れる水辺のカフェで朝日を浴びながら朝食を食べて待っていると、スタジオに到着した彼から天気が良いのでそっちに行くと連絡が入り、カフェで落ち合うことにしました。
テラス席でカフェラテを飲みながら、アムステルダムの歴史、街の成り立ちや街から広告が消えた話、オランダの家族のあり方、生き方、法律とはなど、時代に惑わされず生きているアムステルダムっ子の「あり方」を話し合い、本題に入る前にとことんインスピレーションを受けました。その後、早速彼のスタジオに向かいます。
Animography 創立者のJeroen
太陽が燦々と降り注ぐアムステルダムの奥義の手元の部分、青い空にキラキラの水面、ボートが四六時中行き来するのんびりとCanelが広がる水際にAnimographyのスタジオはありました。
スタジオでちょうど制作をしていた彼の仕事仲間、 イラストレーターのThomasを紹介されて日本文化から彼がどれほど影響を受けているかという嬉しい話を聞きながら早速本題に入ります。Thomasの作品はこちらから!
Studioはこんな雰囲気 Thomas (左)Jeroen (右)
タイプフェイスデザインコミュニティーの活動:A word, a week.
コミュニティー同士が横で繋がることがしたいというモチベーションと、Animographyとして作った自分の素材作品と他のクリエイターのコラボレーションをコレクションにしたらどうなるのかという好奇心から、このプロジェクトが始まったと、Jeroenは言う。
A word, a week. Behanceページ
A word, a week とは?
このプロジェクトは、素材としてのAnimographyが提供するアニメーションタイプが、どのようにクリエイターに活用されているのか、インスピレーションを探求するために1年間を通し毎週、選ばれた1名のアーティストに「ある言葉 (a word)」に基づいてモーショングラフィックスを作成・発表してもらう。1年間=52週、世界中から52名のアーティストがこのプロジェクトに参加した。
まずは、自分のデザイナー友達の繋がりからスタート。「a word, a week」のプロジェクトに賛同してくれたデザイナーに「どう調理してくれてもよい」「自己表現をして欲しい」と、完全なクリエイティブの表現の自由を伝え、素材となるAnimographyのアニメーションタイプフェイスを送った。
Typeface communityの説明をしてくれているJeroen
そこから、1年間(52週に渡り)週に1度、出来上がった作品をクリエイターのプラットフォームBehanceにアップロード。実際に世界中のデザイナーから上がってきた作品は**こちらのBehanceのページ**からチェック!
52名の知り合いのデザイナーに自分の作った素材作品を使ってもらうことの満足感といったら素晴らしいものだった。毎週思いがけないような表現の作品に感激しながら、その作品を受け取り公開し続けた。更に、公開された作品を見た世界中のタイプデザイナーからプロジェクトに関わりたいと連絡をもらうようになったとのこと。
一番大変だったことを尋ねると、アップロード期日1週間前に、仕事が忙しすぎて出来なくなったと連絡が入ったことがあり、だからといって代わりが誰にでもいいわけではなく、自分が尊敬するデザイナーたちに関わってもらいたかったので代わりのデザイナーを探すのも一苦労だった。毎回終わる度に、もうこんな大変なことは絶対しない!と思うのに結局またコミュニティーに還元できることをしたくなってしまうと、彼はいう。関わってくれたデザイナーが次のデザイナーの作品のコメントをし、そこの中からコミュニティーが広がっていき、気づくと自然と横の繋がりができていた。
現在Nuonでこのプロジェクトの展示会を予定しているとのこと。他にも、フランスのMotion Motionやトリノで行われるGraphic Days でも上映予定!
Graphic Days Trino
最後に、次のプロジェクトはいつやるかと尋ねると、「そのうち気が向いたらその時がやるときだね」とはにかんだ彼の次の未来プロジェクトにも注目です!
私たちは人間は、好奇心の塊で、他者との共有から得られるインスピレーションを常に探しているのでしょうね。
2017年3月31日に亡くなったLGNTQのシンボルとなるレインボーフラッグをデザインしたGilbert Bakerを偲んで制作されたGilbertが素晴らしいので是非こちらも要チェック!素晴らしいですね、Design for Great Cause!
<おまけ>
彼のStudio visitの後に寄った オランダデザインの集大成といったらこことよく言われる、Droog Designの上のカフェに行き、この記事を書いています。
アムステルダムは、単刀直入な表現も含め、人々が本当に自由にのびのびとした表情をしていて気持ちいい。街全体に水が流れているので、悪いエネルギーは綺麗さっぱり水に流され、ここには滞らないのかもしれないですね。
Jeroen と私を繋げてくれたモーションデザインの祭典、Motion Plus Design in Parisは今週末 6月22日実施なので、こちらも要チェック!今回もやばいラインアップです◎