写真を選ぶ目が変わる。フォトリテラシー基礎講座 #4 : カメラマンが撮影時に必ず押さえるポイント【後編】 #AdobeStock
写真を選ぶ目が変わる! フォトリテラシー基礎講座
雑誌やタイアップ広告などを数多く撮影し、現在は広告写真を手がける写真家・善本喜一郎。2008年より宣伝会議の「編集・ライター養成講座」や「フォトディレクション基礎講座」で講師を務め、編集者、ライター、企業の広報担当者などに向けて「写真を撮るとは、ビジネスシーンに求められている写真とは」をテーマに、その方法論を経験に基づき教えています。
このブログでは、「数あるストックフォトの中で効果的な一枚を選ぶには?」をテーマに、みなさんのフォトリテラシー(=写真を読み解く力)が上がるような基礎知識をお伝えします。カメラマンの視点を知ることで、写真素材を選ぶ目は確実に変わるでしょう。
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みなさん、こんにちは。前回はカメラマンが撮影時に必ず押さえるポイントとして「フレーミング」を解説しました。今回は同じぐらい大切な「光と影」について説明します。「光と影」の違いによって、写真が人に与える印象は変化します。その違いを読み取る力をつけることが大切です。同じ被写体でもフレーミングの違いによって見え方、印象が大きく変化することを前回解説しましたが、同様に被写体に当たる光の強さ、方向によってもイメージは大きく変わます。
光と影を読み取る
季節が変わるごとに、1日ごとに、さらに毎分毎秒、光によって景色は変化します。どの季節、どの時間帯、どの天候を選ぶか。シャッターチャンスは一瞬現れたかと思えば、次の瞬間には消えてしまいます。被写体に当たっている光の強さと方向によって写真は変わるのです。光と影を読み取ることを一般的に「光を見る」と言いますが、僕は「影を見る」と言い換えて、そのことを強く意識しています。影の印象に注目することで光の特徴が見えてくるのです。
光の向きをあらわす言葉に、順光・斜光・逆光・半逆光などがあります。それぞれの光には特徴があり、同じ被写体であっても、光の方向によって立体感やシズル感が生まれたり、色が美しくなったりします。まずは被写体にどう光が当たっているかを意識してみましょう。
写真素材を選ぶ時には写真から、光と影が与える印象を読み取って、あなたのコンテンツにふさわしいのはどれか選んでみてください。
- 順光
光が被写体の正面にあたっている状態です。カメラマンが太陽を背にする位置関係ですね。光が全体にあたるので、色彩が鮮やかに出て、細かなところまで美しく表現できます。たとえば、空を撮る時に太陽の逆を狙えば真っ青に写すことができます。
- 斜光
光が被写体の斜め方向にあたっている状態です。被写体の左右どちらかに影ができるので、立体感が表現しやすく、ドラマチックな雰囲気を演出できます。左右に明暗差が出るため、明るさをどこに合わせるのかを調整(露出補正)する必要があります。太陽の位置が低い朝夕などは、長い影となりますので、「視座」(アングル)を変えることで同じ被写体でも見え方、印象が大きく変化します。
- 逆光
光が被写体の背後からあたっている状態です。被写体の輪郭をくっきりと浮かび上がらせ、透き通るような色や光を作れるので、ドラマチックな写真になります。被写体が暗くなりすぎないよう注意が必要です。
逆光はさまざまなバリエーションが撮れます。露出補正を使うことで意図に合った表現ができるようにコントロールしましょう。逆光だと明るくさせるためにプラスに補正しがちになりますが、逆にマイナスに補正することで被写体のシルエットが浮かびあがるような写真も撮れます。これは逆光ならではです。何をどう見せたいか、表現に合わせて露出補正は判断しましょう。
- 透過光
薄い葉や花びらなどの撮影には、色鮮やかで透明感のある表現ができる「透過光」と呼ばれる「逆光」がおすすめです。葉や花びらに太陽の光が透けるようなアングルを探して撮影してみましょう。
- 半逆光
斜光と逆光の間からの光を半逆光と呼びます。料理撮影では料理の斜め後ろ45度からの光である「半逆光」で撮影されることが多いです。立体感やみずみずしさやツヤ感など料理のシズル感と呼ばれる表現が出て、美味しそうに撮ることができます。
料理の手前にある影をうすくするために、レフ板を置くこともあります。
逆光や半逆光で撮ると「ゴースト」や「フレア」が発生する可能性がありますが、逆にそれらを活かすことでまぶしさなど、光を感じさせる効果を得られます。
IraEfremova / Stocksy /Adobe Stock
「ゴースト」とは、逆光時などにレンズ内に強い光が入ると、レンズ内で反射した光が絞りの形などとして写る、光の像のことです。また「フレア」は太陽光などの強い光の方向にレンズを向けると、レンズ面やレンズの鏡胴内で有害な光が反射して発生する光のカブリのことで、「フレア」が発生すると画像の一部または全体が白っぽくなり、シャープさを欠いた写真になります。レンズフードは「ゴースト」「フレア」を避けるためのものです。
今回のブログはいかがでしたか?写真素材を選ぶときには写真から、「光と影」を意識してみて、選んでみてください。
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次回は、「行動を喚起させる写真とは?」について一緒に考えましょう。どうぞお楽しみに。
ヘッダー画像:Alexandr Ivanets/Stocksy/Adobe Stock