その失敗はあなたの責任です。そして、それは良い知らせであることに気づきましょう | アドビUX道場 #UXDojo

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エクスペリエンスデザインの基礎知識

昔、小さなデザイン会社で働いていたことがあります。そこでは、プロジェクトマネージャーは十分にチームを管理しておらず、営業担当者はばかげた約束を繰り返し、開発者はバグの多いコードを書いていました。デザイナーは、印刷とデジタルの違いについて混乱していました。私はあまりにいらいらしていたために、怒りっぽく、批判的で、ため息ばかりつく嫌なヤツになりました。個人的な仲良しはいたものの、最終的には燃え尽きてそこを去ることになりました。

驚くべきことは、ある単純な事実に気づいてさえいれば、そうしたネガティブさのほとんどを避けることができただろうということです。それは私の過ちでした。彼らが無能だったのではなく、彼らの失敗には理由があり、そこには私が加担していました。私はそれが自分の責任だとは気づいていませんでしたし、さらには、それが良い知らせである理由も理解していませんでした。というのは、何かが自分の過ちだったとしたら、それは自分が、将来同じことを起こさないようにする力を持つことを意味するからです。

手当たり次第ランダムに起きる事象に対しては何もできないかもしれません。しかし、より多くのことに責任を持てば持つほど、影響を与えられる範囲は広がります。もし責任から逃げるのなら、それはより良い結果をチームから奪うということになるでしょう。そこで、この記事では、責任を正しく取るための方法をいくつか紹介したいと思います。

責任を正しくとる方法

1. 非難しない

非難には悪いイメージが付きまといます。おそらく、非生産的で、敵をつくりがちなことがその理由でしょう。上で話した会社にいた時、私は常に、誰が台無しにしたのかを把握しようとしていました。実のところ、それが問題だったのです。非難する側は間違えた相手だけを問題にし、何度も指を指し、横柄なコメントをして、目を回したりした後に、罪を犯した者が罰せられたことを知って安心します。これは最も無視されるべきやり方です。代わりに採用するべき方法は…

2. 客観的になる

あなたは医者で、手術中にタバコを吸っていたため、誰かの盲腸に灰を落としたりしましたか?誰も死んではおらず、あなたの評判が損なわれていなければ、それを受け止め、気にするのはやめましょう。なにしろ、あなたはウェブサイトをつくっているのです。開発者がバグの多いコードを書いているとしても、おそらく意図的になされたことではありません。ですから、何が問題なのかを理解して、品質チェックを増やして、その先に進みましょう。いつもパニック状態の人が周りをうろついていませんか?ミスを冷静に扱えれば、尊敬を得られるものです。

3. 変えられないことは無視する

以前の私を振り返って、成功を阻もうとするあらゆる物事について延々話していた状況を思い浮かべると身がすくみます。それは建設的な役目を全く果たしませんでした。起こったことの一部は実際に私たちの手には負えなかったのかもしれません。もしそうなら、無視すべきだったでしょう。対処できない問題に時間と労力を浪費する必要はあるでしょうか?繰り返し発生する危険性があるなら、次回のリスク評価にその危険性を含めましょう。そうでなければ、先に進みましょう。

4. 問題への自分の関わりを特定する

非難や周囲にあまり重点を置かないことで、何をしたか理解するための時間をつくれます。問題の解決に着手する前には、まず問題を理解しなければなりません。それは戦略的な誤り(向かった方向が間違っていた)だったのか、それとも、戦術的な誤り(とった行動が間違っていた)だったのでしょうか?営業担当がまっとうなプロジェクトを売り込んでいないのは、説得力のあるコンセプトを特定する支援を行っていないからかもしれません。少しでも関われたはずのものを、すべて見つけましょう。

5. 学ぶ

そう、それがやるべきことのすべてです。今後、どのようにしたら同じ問題を軽減できるでしょうか?別のアプローチを試してみて、その効果を測ることはできますか?自分の失敗を製品と同様に扱い、必要に応じて、調査、プラン、実施、レビュー、調整を繰り返しましょう。私の経験上、失敗の痛みは脳に十分に焼き付いているので書き留める必要はないかもしれませんが、失敗と対応をまとめておきたいならそれを実行しましょう。自分が学んだことを他の人と共有すれば、自分だけでなく、彼らが同じようなトラブルを避けるための役に立つかもしれません。

自ら責任をとるメリットは何か?

「正しく責任をとる」は理論的には良い話のように聞こえるかもしれません、しかし、物事が現実になって、非難する相手を探し始めたときにはそれほどでもなくなっていることでしょう。いつものあいつらがまた自分をこんな目に合わせたのに、なぜ自分が非難されているのか?と感じている頃です。

そんな時は深呼吸をして、困難な道を進むことに、実際に役立つメリットがあることを思い出してください。

1. 自身の成長

責任感を持つことは、謙虚さを保つための役に立ち、継続的な成長に本当に興味がある様を周囲に示すでしょう。他人から一緒に働きたいと思われるような人になるのに役立つのです。成功は、再び成功するために何をすべきかについて知るための良い教師になるかもしれませんし、失敗は、何をしてはいけないのか、失敗とフラストレーションにどのように対処すればよいかを教えてくれます。

2. 組織文化の変革

自身が見たいと願う姿に変わりましょう。失敗してそこから学ぶのは決して世界の終わりではないという態度を同僚や上司に示すのは、その考え方を組織に広めるのに役立ちます。もしも会社があらゆる種類の失敗を許容しないのであれば、いずれにせよそこで働きたいとは思わないでしょう?

3. 自己啓発

何も間違ったことをしていなかったとしたら、それはただの状況の犠牲者です。傍観者として人生を歩むことはできなません。自分の誤りとして責任をとれば、長期的には間違いを減らせるでしょう。また、泣き言を言うことも減って、より多くの人と親しくなれるでしょう。

4. 運はいつまでも続かない

失敗のない成功は、おそらくただの運です。そして、運は長続きしません。たまに失敗しないことがあったとしても、それは十分に頑張っていないだけかもしれません。ですから、もっと懸命に努力して、自分にできることに対する責任を持ち、うまくいかなくても心配しないよう心掛けましょう。次はもっとうまくいくはずです。

燃え尽きてしまう前に

私は、他の人たちの失敗だと思っていたことに気をとられて、貢献したり、人の助けになる機会を逃してしまいました。プロジェクトが管理されていないように見えるのは、十分な情報を与えられていなかったり、必要以上に多くのことを求められているからかもしれません。必要なスキルを持たない人ももちろんいますが、それは本当に問題なのでしょうか?

他人の失敗を自分の責任にしたとき、失敗した相手や、チーム全体が成功するための方法を探すようになります。その態度で仕事に臨めば、燃え尽きたりすることなく、幸せな同僚や健全な状況に近づけるでしょう。私を信じてくれるなら、それが私の経験が語っていることです。

この記事はIt’s Your Fault, and That’s a Good Thing(著者:Kurt Krumme)の抄訳です