第6回「InDesignではルビや圏点、縦中横も簡単に実現可能」#InDesign
InDesign入門ガイド
今回は、ルビや圏点、縦中横、段落境界線、段落の囲み罫と背景色といった機能を解説します。これらの機能は、Illustratorには搭載されていないものも多く、とくに[自動縦中横設定]は縦組み時に必須の機能です。Illustratorでは手間のかかっていた作業も、InDesignでは驚くほど手軽に実行できるの、覚えておきましょう。
ルビ・圏点
Illustratorでは、ちょっと面倒くさいのがルビや圏点です。Illustratorでは、ルビや圏点を親文字と別オブジェクトとして作成しなければならないため、本文に修正が入るとルビや圏点の位置を調整する必要が出てくるからです。InDesignには標準でルビや圏点といった機能が搭載されています。なお、InDesignのルビは、モノルビとグループルビのいずれかを選択でき、位置やサイズ、フォント、カラーも自由に調整できます。
InDesignでモノルビを設定した例。
[ルビ]ダイアログでは、「モノルビ」と「グループルビ」のいずれかを選択でき、位置やサイズ等、詳細な設定も可能。
圏点には「ゴマ」や「蛇の目」「二重丸」など、あらかじめ多くの種類が用意されており、目的のものを選ぶだけで手軽に設定できます。ルビと同様、位置やサイズ、フォント、カラーを自由に調整できます。なお、任意の文字を圏点として使用することも可能です。
InDesignで圏点を設定した例。
InDesignの圏点には、あらかじめさまざまな物が用意されている。
圏点では、位置やサイズが調整できるだけでなく、[圏点種類]に「カスタム」を選択することで、任意の字形を圏点として使用することも可能。図では、圏点に「★」を指定している。
縦中横機能
縦組みで文字を組むと、半角の英数字は横倒しになってしまいます。この横倒しになった英数字を回転させ、読みやすくする機能が[縦中横]です。InDesignには、文字単位で適用する[縦中横]と、段落単位で適用する[自動縦中横設定]がありますが、文字単位で1つずつ適用していては時間がかかってしまうので、一般的には[自動縦中横設定]を使用するとよいでしょう。もちろん、位置やサイズの調整も可能です。さらに、英数字を組数字としてではなく、一文字ずつ回転させる[縦組み中の欧文回転]という機能も用意されています。
縦中横
横倒しになったテキストを文字ツールで選択し、[文字]パネルのパネルメニューから[縦中横]を適用すると、選択しているテキストが回転します。Illustrator同様、文字単位で適用しなければならないため、通常の作業ではあまり使用することはありません。
縦中横設定
[縦中横]で回転したテキストの位置を調整したい場合には[縦中横設定]を使用します。[文字]パネルのパネルメニューから[縦中横設定]を選択すると、[縦中横設定]ダイアログが表示されるので、目的に合わせて[上下位置]と[左右位置]を調整します。
自動縦中横設定
複数の組数字を一気に回転させたい場合には[自動縦中横設定]を使用します。目的のテキストをすべて選択し、段落パネルのパネルメニューから[自動縦中横設定]を選択すると、[自動縦中横設定]ダイアログが表示されるので、[組数字]として回転させたい桁数を指定します。さらに、欧文に対しても適用したい場合には、[欧文も含める]にチェックを入れます。ここでは、2桁までの組数字と欧文を回転させるよう設定しました。この機能を使用することで、選択したテキストすべてに対して、一気に縦中横を適用できます。
縦組み中の欧文回転
英数字を1文字単位で回転させることもできます。この場合、段落パネルのパネルメニューから[縦組み中の欧文回転]を実行します。なお、[縦組み中の欧文回転]と[自動縦中横設定]は併用することが可能です。この場合、[自動縦中横設定]で指定した桁数までは組数字として、それ以上の桁数は1文字単位で回転します。
段落境界線
InDesignでは段落に対して境界線を引くことができます。一般的には段落に対して罫線を引けるだけの機能のように思われがちですが、境界線の位置や太さを調整することで、文字の背景に帯状の塗りオブジェクトを作成したり、枠囲みのような効果を得ることもできます。また、[前境界線]と[後境界線]の2つの境界線を作成でき、さらにはテキスト量に応じて境界線を伸縮させることもできます。もちろん、段落スタイルとして運用できるため、素早く効果的な見出し処理が実現できるというわけです。
段落境界線を適用した例。テキスト量に応じて自動的に境界線を伸縮させることができる。
段落境界線では、[前境界線]と[後境界線]の2つの境界線を指定できる。
段落の囲み罫と背景色
CC 2015で新しく追加された機能に[段落の囲み罫と背景色]があります。バージョンが上がるごとに機能が強化され、現在では、かなり使いやすい機能に仕上がっています。[段落の囲み罫と背景色]では、その名のとおり、段落に対して「囲み罫」や「背景色」をそれぞれ指定できます。段落境界線の機能では、複数行に対してそれぞれ境界線を運用することはできませんでしたが、[段落の囲み罫と背景色]では複数行に対しも「囲み罫」や「背景色」を適用できるのが大きなポイントです。コラム等の作成時に威力を発揮するでしょう。
また、複数の段落にまたがる場合の処理や、段落の途中で段が変わったような場合でも、どのような表示をさせるかが指定可能です。段落境界線と組み合わせて使用することもできるため、高度な運用が可能です。
段落に対して[段落の囲み罫と背景色]を適用した例。「囲み罫」と「背景色」をそれぞれ適用できる。
複数の段落に対して、1つの「囲み罫」や「背景色」を適用することも可能。
段落の途中で段が変わったような場合、「囲み罫」をどのように表示するかも指定できる。
なお、[段落境界線]や[段落の囲み罫と背景色]を適用した見出しのサンプルを筆者のサイト上に公開しているので、作業の参考にしてください。
InDesignの勉強部屋「other No.22 見出しまわりの処理(サンプル)」
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