統計データに見る、音声UIデザインに関する米国の最近のトレンド | アドビUX道場 #UXDojo

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エクスペリエンスデザインの基礎知識

音声テクノロジーの採用は急増しています。Amazon AlexaやGoogle Assistantが日常生活を侵食しています。最近、アドビは、既に91%のブランドが音声に多額の投資をしていることを発見しました。

それらのブランドの71%は、音声をユーザー体験を向上させるものと考えています。では、消費者はそれを実際に感じているでしょううか?

アドビは米国の音声テクノロジーユーザー1,000人を対象に、彼らの体験を調査しました。その結果、音声を使うデジタル体験の変革をデザイナーがリードする大きな機会があることが明らかになりました。

音声が日常的に使用されるようになるにはデザインが必要

ほとんどすべてのユーザー(94%)が、音声テクノロジーは便利だ考えており、時間の節約だけでなく、生活の質を向上させると述べています。

一方、半数以上の回答者が、音声テクノロジーの使用は直感的ではなかったと答えており、その49%は、作業をどう始めてよいかわからないことがあったと言っています。

また、ユーザーは音声アシスタントの能力に満足していると報告されているにもかかわらず、音声テクノロジーを日常的に利用している人は半数に満たない状況です。

人々は、さまざまな単純な作業に音声を利用しています。道案内、電話の発信、テキストメッセージの記述、天気予報の確認、音楽の再生といった作業です。しかし、過半数の人々が、パーソナルバンキング(61%)や旅行の予約(52%)のような複雑な作業には、音声を使わないだろうと言っています。

企業は、音声によるインタラクションの利用範囲を、単純なやり取りのユースケースだけでなく、より対話的で複雑な作業に拡大しようと試みています。そんな中、音声体験をユーザーフレンドリーで直感的なものにする上で、おそらく最も重要な役割を果たすことになるのはデザイナーでしょう。

デザイナーが音声を活用した体験をデザインする際、その支援をできるように、Adobe XDには音声体験のプロトタイプをつくる機能が導入されています。

音声アシスタントは人間らしくなければならないわけではない

多くの企業が、まるで人であるかのように会話できる音声アシスタントをデザインしようと努力しています。しかし、消費者側は、音声テクノロジーが進化し続ける過程で、同情やユーモアといった人間的な属性を持つべき(51%)か、それとも持たないべき(49%)かについては、ほぼ意見が真っ二つに分かれています。

UXデザイナーならば、状況に応じて個別のアプローチを採る必要があることを知っているでしょう。音声アシスタントをどのくらい人間らしくすべきかを判断するには、ユーザーのニーズを見抜く必要があります。例えば、音声で操作できる電子レンジに人間らしさは必要ないかもしれませんが、対話型の位置情報システムには有益かもしれません。

ユーザーの70%は音声テクノロジーの会話能力に満足しています。それでも、人と比べると、音声アシスタントは自分に求められていることを理解するのに苦労することが多くあります。ユーザーの半数は、音声テクノロジーを使う上での最大の課題のひとつは、音声認識だと述べています。平均すると、音声テクノロジーが命令や質問を与えられたときに正確に理解できるのは、69%に過ぎません。

そして、時には、デジタルアシスタントとのやり取りは不快なものになります。回答者の半数近く(47%)が、デバイスに話しかけるときにぎこちなさを感じていると答えています。

おそらく、人間らしくすることに注力するよりも、簡単で直感的に使える音声アシスタントや体験を企業は優先すべきでしょう。デザイナーは、どこで、どのような状況で消費者が音声アシスタントを使用しているかといった利用状況に注意を払うことで、より直感的で自然に感じられるインタラクションを作成できます。最終的に、この新しいメディアの幅広い普及を加速し、満足度を高めることができるでしょう。

音声とスクリーンの組み合わせはデジタル体験の次の姿

今日の音声によるインタラクションの大部分は、単純なやり取りの積み重ねであり、進行は直線的です。しかし、調査によれば、多くのユーザーが診療予約(37%)やホテルの備品のリクエスト(31%)や食料品の配達(30%)のような、より複雑な行為に音声を利用したいと考えていることがわかりました。これらの状況で音声テクノロジーが使われていない最大の理由は、その複雑さです。

では、デザイナーはどのようにしたらユーザーの作業を簡素なものにできるのでしょうか?その答えは、音声とスクリーンの組み合わせにあります。

スマートフォンは音声テクノロジーが最も広く使われているデバイス(85%)で、スマートスピーカー(39%)をはるかに上回っています。これは音声とスクリーンの組み合わせに対する支持を示唆しています。実際、ほとんどのユーザー(80%)は、視覚的な要素によって音声テクノロジーをより幅広い作業に利用できるようになると考えています。また、83%が、指示された命令を表示し直す画面でデバイスの理解を確認できるは、特に有効だと回答しています。

ここで重要なことは、効果的な音声インターフェイスは、意図的に設計されている必要があるということです。

デザイナーは音声に対応した製品を直接体験して、音声アプリのUXやインタラクションのエキスパートになるべきです。お気に入りのスマートスピーカーやモバイルアシスタントを使用して、音声を第一のインターフェイスとする使い方に慣れ親しみましょう。その体験から、自分がデザインする際に取り入れられることを学びましょう。スクリーンと共に使用すると改善できるインタラクションがどのようなものか、すぐにわかるようになるでしょう。

音声テクノロジーは今後も成長し続ける

最終的に、音声は個人的なテクノロジーやブランドとの関わり方を変える可能性を秘めています。おおよそ5人に3人のユーザーが、今後5年間で音声が自分たちのニーズをより良く満たすようになるだろうと考えています。

ユーザーは、各企業が音声主導の体験のレベルを一段上に引き上げることを期待しています。そして、未来のデジタル体験の実現に向けて主導権を握るのは私たちクリエイティブコミュニティです。

この記事はVoice Trends & Statistics: What Designers Need to Know About the New Tech Boom(著者:Mark Webster)の抄訳です