破壊的テクノロジーはデザインをどのように変革するか

人工知能、拡張現実、バーチャルリアリティ、タッチレスインターフェイスがカスタマーエクスペリエンス(顧客体験)を一変させようとしています。

この変化する環境の中で、デザイナーは開拓者として、最先端のテクノロジーを取り入れ、魅力的でインパクトのあるエクスペリエンスを生み出す方法を見つける必要があります。

多くの人が、最先端のテクノロジーをどのようにビジネスに組み込めばよいか考えています。私たちは、次に登場するテクノロジーとそれがデザイナーにとってどのような意味を持つかという点について、6名のデザインリーダーに意見を聞きました。以下に紹介します。

テクノロジーでクリエイティビティを解放する

新しいテクノロジーを採用するデザイナーは、カスタマーエクスペリエンスの新境地を拓くことになります。

Microsoft社のデザイン、エクスペリエンス、デバイスグループのCVPを務めるAlbert Shum氏は、現在を、目を見張るデザインを生み出す発見のときと位置付けています。

「音声にしても拡張現実にしても、私たちは多くのクリエイティビティを解放する新しいコミュニケーション方法を生み出そうとしています。これは、私たちが初めてタッチスクリーンに触れ、可能性にあふれる世界を発見したときと似ています」

新しいテクノロジーは、Microsoftのデザイナーが持つカスタマーエクスペリエンスの概念を変えようとしています。Shum氏のチームが取り組んでいるのは、カスタマーエクスペリエンス全体でシームレスなエクスペリエンスのフローを提供し、ほんの数年前のテクノロジーをもってさえ実現できなかったつながりと使いやすさを生み出そうという活動です。

新しいテクノロジーはデザインプロセスも変革します。既にAIが時間のかかる作業を自動化し、作業をより速くスマートにおこなうことを可能にしており、デザイナーはより多くの時間をクリエイティブな作業に充てられるようになっています。

新たな視点をもたらすAI

バーチャルアシスタントから医療診断テクノロジー、スマートホームデバイスに至るまで、人工知能アルゴリズムは既に私たちの生活の中で大きな役割を果たしていますが、この分野はさらなる実用的成果の発見に向けて進化し続けています。

例えば、UberはAI技術の使用の最前線に立っていますが、同社によるAIの使用は自動運転技術だけにとどまりません。UberではAIをカスタマーサービスやデータの分析に不可欠なものと捉えています。

「AIは、Uberが世界とどのように関わっていくかという点で極めて重要です」と、Uberのプロダクトデザイン担当バイスプレジデントのMichael Gough氏は語ります。「特にAIがもたらすデータの活用、お客様とのより良い関係の構築、より良い製品の開発を可能にする多くの機会のことを思えば、AIは利用しないでおくにはあまりにも強力なツールです」

クリエイティブエージェンシーSid Leeのデザイナーにとって、AIは高まるクライアントの期待に応えるためにクリエイティブプロセスを強化するものです。

Sid Lee社のクリエイティブディレクター、Vincent Ramsay-Lemelin氏は次のように述べます。「AIには私たちの視点を変える力があります。自分たちのアイデアにどのような意味があるか理解し、非効率な部分を際立たせ、製品の欠陥を指摘することさえ可能にしてくれます。私たちは、AIがより良いアイデアをより速くクライアントに届けるサポートをしてくれることを期待しています」

Microsoftでは、AIは顧客インサイトを引き出し、より良い製品を開発する鍵となっています。

「私たちは、データからインテリジェンスを引き出す方法について多くの検討を重ねています」とShum氏は言います。「AIは、お客様の動機を理解し、お客様が目的を達成するのに役立つ製品の開発に向けて大きな役割を果たしています」

新しい現実をデザイン

ARとVRは、私たちがコミュニケーションしたり情報を理解したりする方法を変える大きな可能性を秘めています。また、ストーリーテラーやクリエイターに新たな可能性の扉を開きます。

Sid LeeのデザイナーはARと3Dビデオを使用してクライアントの想像力を刺激しています。

「私たちは、クライアントに伝えたいメッセージを強化するあらゆる種類のクリエイティブな拡張現実を作り出すことができ、クライアントは私たちのアイデアをより明確に思い描くことができます。私たちにとっても、強化されたビジュアルコミュニケーションでより多くの仕事が生まれます」とRamsay-Lemelin氏は話しています。

業界の新境地を拓く

ARとVRは、不動産業界など一部の業界に本質的に適しています。

不動産サービスと投資管理専門の不動産コンサルタント会社JLLのアメリカ地域担当クリエイティブディレクター、Becky Mikrut氏は次のように述べています。「バーチャルリアリティを使用すれば、物件の購入希望者は実際に現地に行かなくても物件を見学できます。拡張現実を使用すれば、増築後にその場所がどのようになるかイメージしやすくなります。今後、私たちの業界ではこれらのイノベーションが大きな役割を果たすでしょう」

そこまでメリットが明確でない業界でも、ARとVRは大きな可能性を秘めています。デザイナーやマーケティング組織は、アドビのProject Aeroなど、そういったエクスペリエンスを簡単に提供できる新しいオーサリングツールを使用することで、ARやVRのクリエイティブプロセスを一般化し、没入型コンテンツでストーリーテリングを強化できます。

AT&TのUXデザインプリンシパルのDavid Kendall氏は次のように述べています。「私たちはようやく、没入型エクスペリエンスでカスタマーサービスを向上させるにはどうすればよいかを理解し始めたところです。だからこそ、アドビのProject Aeroはエキサイティングな存在です。ARやVRのエクスペリエンスを制作できるツールを利用できることで、私たちはこのテクノロジーを視覚化したり実験したりできるのですから」

デザインやビジネス業界の英雄(ヒーロー)たちはクリエイティブに対して何を思い、何を実行しているのか。アドビは、”Customer as Hero”と題し、様々な業界におけるクリエイティブとビジネスのヒーローの方々のインタビュー動画をご紹介しております。

https://www.adobe.com/jp/information/enterprise/customer-as-hero.html