時は金なり:AIの活用で画像検索に注ぐ労力とコストを削減 #AdobeStock

写真やビデオ、イラストレーションやベクターグラフィックスをゼロから作り出すことがいかに大変かは、掲載用のデジタルメディアを制作する人なら誰もが知っています。そこには創作上の自由があり、無限のカスタマイゼーションも可能ですが、大きなトレードオフが生じます。つまり、プロジェクトのあらゆる要素を自分で作れば、その分多くの時間とお金がかかるということ。プロジェクトには必ず納期があり、多くの場合、時間に余裕はありません。しかも、大抵、資金の制約があり、独自に写真撮影を行えば、予算を大幅に超えてしまうかもしれません。

そのため、迅速に低コストでアセットを調達する必要があるコンテンツ・クリエイターにリソースを提供するストックフォトやビデオがこれほど普及したのです。ところが、コンテンツの宝庫がもたらすこのメリットも、また別の問題を招いていると言えるでしょう。あらゆるアセットの中からまさにぴったりの1点を選び出すのは、骨の折れる作業です。何より、その時間は、コンテンツ制作の他のプロセスや戦略に充てるなど、より有意義に使えるかもしれない時間なのです。

事実、2018年10月にAdobeが委託して実施した、米国、英国、ドイツのクリエイターたちへのインタビューに基づく質的な調査研究によると、彼らの74%が自分たちの時間の半分以上を繰り返しの作業や非クリエイティブなタスクに費やしていると述べています。

だからこそ、Adobeでは独自のAI、機械学習テクノロジーであるAdobe Senseiを活用し、Adobe Stockでの検索作業のような日常的なタスクを楽に行えるようにしています。1億5千万点を超えるデジタルコンテンツのライブラリーを展開するAdobe Stockでは、画像、ビデオ、テンプレート、さらには3Dオブジェクトに至るまで、各種アセットにアクセスすることができ、ゼロからコンテンツを作らずとも制作に必要な材料が見つかります。皆さんが最も得意とするクリエーションにより多くの時間を割くことができるよう、私たちは効率的なコンテンツ検索を実現し、関連性の高い検索結果を提供することを目指しています。

時間のかかる従来の画像検索プロセスの悩みを解決

今回のAdobe Stock利用者とのインタビューから、巨大なコンテンツライブラリーを徹底サーチして最適なアセットを見つけるプロセスは、大きな負担のひとつだということがわかりました。しかも、プロジェクト発注者からの要求はかなり細かくなることもしばしばで、アセット1点につき30分以上の時間を取られる場合もあるといいます。通常この仕事は、その道の高度な訓練を積んだ有能な人が担当しますから、サーチエクスペリエンスはより一層効率的で彼らを満足させるものにする必要があります。

従来のテキストベースの画像検索には改善の余地が大いにあります。こうした検索ワードと関連付けられているのは、人が編集した、予測される検索結果に結び付くテキストメタデータです。このような検索アーキテクチャは、検索ワードと一般的に関連のあるコンテンツを探し出すうえでは役立ちますが、画像には言葉で描写しづらい独特の特徴を持つものも少なくありません。例えば、自分にとって完璧な画像。何に惹かれるのかはっきり言えないけれど、それを見た瞬間、まさに自分が探し求めていたものだとわかることはありませんか?デザイナーが気に掛ける画像の属性にしても、その多くに決まった検索ワードがありません。被写界深度エフェクトについて調べる場合、デザイナーはおそらく「被写界深度」、「ボケ」、「背景画像のぼかし」などの言葉で検索するでしょう。テキスト合成のための余白がある画像を検索する場合も、「コピースペース」、「ホワイトスペース」、「ネガティブスペース」と検索ワードはさまざまです。これもまた、従来の検索エンジンが苦手とすることで、メタデータ内でも検索ワードの一貫性がない場合はなおさら難しくなります。

Adobe Stockでは、皆さんがいつでも適切かつ有意義な閲覧・検索を行えるよう努めています。検索機能を向上し、無駄な時間とコストを削減するための一連のAdobe Senseiサービスを考案したのもそのためです。人工知能により強化されたこれらのサービスでは、関連性のあるすべての視覚的特徴を識別することで、利用者と同じように複合的に画像を「見る目」が養われています。以下は、Adobe StockとAdobeリサーチチームの連携のもと、Sensei&検索チームが開発したサービスから生まれた4つの機能の概要です。これらの機能を使えば、これまでよりスピーディーに、自分のニーズに完璧に合う画像を特定することが可能です。

ビジュアルサーチ — 類似画像検索

Adobeのビジュアルサーチは、手持ちの画像、あるいは検索結果から見つけた画像を利用して検索を行い、類似画像の一覧を表示させることができます。そして、その機能をさらに高めたものが、Find Similar Controls(類似画像検索)です。この機能を利用すれば、カラーや構図といった画像の要素に絞って、同じ視覚的特徴を持つ画像を見つけることができます。ビジュアルサーチの微調整も可能です。例えば、左側にサーフボードがあるウィンドサーフィンの画像がほしいけれど、最初に見つけた画像とはやや異なる美的表現が良い、という場合も、ボタンのクリックだけでそれが叶います。

コピースペースフィルター

Adobe Senseiにより強化されたコピースペースフィルターは、合成用のスペースがある画像を判別します。この機能は、デジタルマーケティング素材として併せて使用するテキストやロゴをきれいに合成できる、カラーやテクスチャーが似通った画像を探し出します。必要な余白がある画像のみを検索結果として表示する機能は、デジタルアセットのクリエイターにとって大幅な時間の節約となるでしょう。

ビビッドカラースライダー

ビビッドカラースライダーは、画像の明るさを基準に検索結果を表示し直します。スライダの右端へ行くほど明るく、はっきりとした色調になり、左端へ行くほどモノクロームの抑えた色調になります。

被写界深度スライダー

ついに、この機能により、画像の「被写界深度エフェクト」または「ボケ」の度合いを基準に検索結果を表示し直すことができるようになりました。シンプルなキーワード検索では見つけ出すのが困難な、イメージ通りのぼかしが効いた画像をすばやく検索するのに役立ちます。

Adobe Senseiにより強化された機能を活用して削減可能な時間とコストを計算

従来の画像検索にかかる時間や、Adobe Senseiにより強化された機能を活用して削減できるコストなどを明らかにするため、私たちはAdobe Experience Managerチームが作成したコスト削減カリキュレータを利用しています。たとえば、以下の条件で仕事をしているとしましょう。

今回ご紹介した各種機能により、アセット1点あたりの検索時間が平均して30分から10分に減少するとした場合、検索の効率化だけで年間400,000ドル以上のコスト削減が見込めます。これには(デジタルマネジメント管理の導入による)アセットの再作成の減少やその他の制作ワークフローの効率化により浮いた分は含まれていません。

あなた自身のチームでこの計算をするには、こちらのカリキュレータを開いて以下の操作を行ってください。

    1. Create a new test (新たに評価を行う)をクリックし、次に表示される画面でROI Calculator(投資収益率の計算)を選択する。
    2. Adobe Stockでの検索の最適化により向上するであろうROIを的確に把握するには、Reduced Search Time(検索時間の減少)、Reduced Asset Re-Creation(アセットの再作成の減少)、Increased Asset Reuse(アセットの再利用の増加)、Creative Workflow Efficiencies(制作ワークフローの効率化) を選ぶ。
    3. Enter your own figures in the Financial(財政)、Resourcing(人件費)およびCost Assumption(コスト想定値)欄に自社の数値を入力する。

この動画は、AEMプロダクトマーケティング&ストラテジーチームが作成したコスト削減カリキュレータの使い方について解説しています。AIにより進化した検索機能があなたの最終的な収益にどのくらい影響するのかを判定します。

これで計算結果が出ます。検索時間の減少でどれだけコストダウンを図れるかがお分かりいただけると思います。

クリエイターのストレスを減らすために

Adobeは、コンテンツクリエイターを支援するためのAIの活用において大きな飛躍を遂げてきましたが、更なるサービスの向上と、皆さんがデザインや創作に打ち込みやすい環境を作るための新たな方法を考え出すことを目標としています。最適の画像を求めるユーザーにとって、アセットを閲覧し、検索結果からインスピレーションを得ることは「発見」であり、それは検索と同じくらい重要です。

私たちの使命は、制作における煩雑なタスクからクリエイターの方々をできる限り解放し、皆さんがチームに提供する最も重要な価値である「人間のクリエイティビティ」をより一層高められるようにすることだと考えます。そのため、今後もユーザーの声に耳を傾け、Adobe Senseiを活用し、制作上の長々とした作業の時間を最小限に抑えるための新機能を生み出していきます。従来の検索システムを発展させ、デザイン関連の重要な情報をキャッチできるようにすることも、そのような改善に向けた取り組みのひとつです。デジタルコンテンツのデザインプロセスをあらゆる面から活性化していくと同時に、クリエイティブな仕事をさらに上の次元へ引き上げるイマジネーションを育むことを目指し、新たなテクノロジーとチャンスを活用していきたいと考えています。

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いかがでしたか? Adobe Stockでは、3D素材を含め、写真やイラストを中心とした「通常アセット」を毎月10枚利用いただける年間サブスクリプションが、1ヵ月無料となるキャンペーンを引き続き継続中です。PhotoshopIllustratorなどいつものアプリから直接検索でき、高解像度画像への差し替えも一発でできるため、高い作業効率を実現できます。まだの方はこの機会にぜひお試しください。また、Adobe Stockで作品販売したい方は、こちらをご覧ください。

この記事は2019年6月26日に Adobe Stock Team により作成&公開されたTime Is Money: Using Artificial Intelligence to Take the Pain (and Cost) Out of Image Search and Discoveryの抄訳です。

*ヘッダーイメージ:Marko Milanovic/Stocksy / Adobe Stock