AIと機械学習をクリエイターのために!アドビの製品マネージャーに取り組みを聞く | アドビUX道場 #UXDojo

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エクスペリエンスデザインの基礎知識

Adobe Creative Cloudはクリエイティブな人たちが最高の作品をつくる力となるツールとプラットフォームのパッケージです。そして、Creative Cloudに関わる多くのチームにとっての主要な目標は、ユーザーができるだけ簡単にそれを実現できるようにすることです。Adobe Sensei and Searchチームが開発中のクリエイティブアシスタントは、まさしくその目的のためにデザインされており、AIと機械学習技術を活用して、デジタル世界のクリエイティブの作業に適応する支援体験を提供しようとしています。

アンドレイ・ステファンはSensei Agentsチームのシニア製品マネージャーです。彼はこのビジョンを形にすることに責任を負うPMの1人です。ルーマニア出身で現在はサンフランシスコ在住の彼は、CC製品を使うクリエイティブなユーザーを支援する新たな方法を見つけることに情熱を注いでいます。「私たちが開発しているクリエイティブアシスタントは、適切なタイミングでユーザーを触発し、クリエイターとしての熟練度を高め、日々の生産性に関わる課題に対応します。ユーザーと彼らが使うツールの能力を増幅しようとする試みです」と彼は言います。

それではアンドレイに、アドビでのAIの仕事について、そして未来のクリエイティブアシスタントをつくるようになった経緯を聞いてみましょう。

アンドレイ・ステファンはSensei Agentsチームのシニアプロダクトマネージャー

クリエイティブアシスタントが目指す姿はどのようなものでしょうか?

私たちのクリエイティブアシスタントの最終的な目標は、AIと機械学習を活用して、インテリジェントな支援体験を構築することです。これにより、クリエイティブプロセス全体を通して、ユーザーの作業やアドビ製品を扱う手間が大幅に改善されるでしょう。

私たちは、ユーザーの実像を理解するために、積極的に時間と労力を費やしています。ユーザーのニーズに適応して、パーソナライズされた体験をクリエイティブアシスタントが提供できるように、ユーザーのスキルレベル、ワークフロー、個々のアプリケーション内および複数のアプリケーション間での振る舞いについて調査しています。私たちはクリエイティブプロセスをいくつかの段階に分けて分析し、関連する製品についての仮説を明確に定義し、そして、実際のプロジェクトにおける人々の働き方を知るための広範なユーザー調査を実施しました。

ここで、実際にクリエイティブアシスタントが提供しようとしている機能について説明しておきましょう。私たちのデザインチームは、アプリ内のコンテキストに応じたインタラクションモデルを考案しました。それにより、ユーザーが自分の作業に関連するアクションを素早く実行できる 「サジェスト・カード・ストリーム」 の提示が可能になりました。例えば、最適なAdobe Stockアセットの発見、推奨されるフォントや形状や色の提示、さらにはユーザーが知らないかもしれない製品の機能を紹介することができます。われわれが目指しているのは、ユーザーの視野を広げ、思考を高め、創造性を刺激することです。

また、すべてのCreative Cloudアプリケーションに対応できるような基盤を整備しています。ですから、新しいユースケースに対応してさらに多くの機能を追加することも容易にできるようになるでしょう。

そのようなクリエイティブアシスタントの開発には、どんな課題がありますか?

私たちが取り組もうとしている範囲は広く、例えば、クリエイティブアシスタントが反応するユーザーシナリオ、対象とするユースケースの種類、さらにインタラクションモデルの定義などの作業があります。その広さが、興味深い課題の存在につながっています。

チームに参加してから直面した課題の1つは、クリエイティブアシスタントが扱う範囲を絞り込むことでした。どこから着手するのか?どのアドビ製品のどのユースケースに最初に取り組むべきなのか?のような問いに答えなければなりません。

アドビの広範な製品群のために、私たちは、選択肢を評価したり、チーム間のコラボレーションの機会を設けたり、関係する製品チームを巻き込むために相当な時間を割かなければなりませんでした。その過程で、単純なアプリではなく、最も複雑なアプリを選択したことで、結果が非常に興味深いものになりました。ジョン・F・ケネディ大統領の「私たちは月に行くことにしました」の精神のように、簡単だからではなく困難だから選んだのです。この方針のおかげで、私たちのチームは多様でユニークな能力を得ることができました。それは、後から他のアプリケーションやツールに手を広げた際に、実際に役立つ資産であることが証明されました。

私が個人的に学んだことは、「常に高い目標を設定する」ことです。

どのようにしてこの仕事に就いたのでしょうか?

私は2018年にSensei and Searchチームに加わりました。それ以前は、クラウド技術の組織で働いていて、初めてのエンドユーザーや管理者向けの体験を管理するプロジェクトのマネージャーでした。新しい役職では、アドビのクリエイティブアシスタントの初期の要件を定義したり、エンジニアリングと連携してチームのベストプラクティスを確立する作業の支援が最初の仕事でした。

その際は、ユーザリサーチ、デザインコンセプト、ユーザストーリーといった情報の豊富な蓄積を照合して、チーム全体が機会と課題をよりよく理解できるように支援を行いました。また、継続的な競合分析を通して、チームが進むべき方向の検討を行いました。

ウェブデザインやニューメディアのために学校に戻ることを選んだのはなぜですか?

学校に戻りWeb Design and New Mediaの修士号を取得しようと決めた主な理由は、ビジュアルデザイン、そしてデザイン全般に対する私の情熱です。それは非常に興味深い体験でした。デザインプロセス、UX、ユーザーリサーチ、タイポグラフィ、フロントエンド開発などについて多くのことを学習しました。これらはすべて、私がプロダクトマネージャとしてすでに持っていたスキルを強化する素晴らしい学びでした。

修士プログラムで学び始めたのはクリエイティブアシスタントの仕事よりも前のことですが、そのデザイン体験は、私たちが現在製品に対して行っている作業に大きな影響を与えてきたと言えるでしょう。関係者とそのワークフローを理解し、アドビのAIによるクリエイティビティの未来を形作るという点で、大きな影響を与えています。

個人的な意見ですが、AI/ML技術は、人々の能力とスキルを向上させて熟達度を高めることで、クリエイティブの世界にポジティブな影響を与えることでしょう。反復的なタスクを自動化することで効率性が向上し、その分クリエイターはアイデアを出し合ったりコンセプトを定義する段階により集中できるようになるでしょう。

なぜあなたはAIとMLの仕事に情熱を注ぎ、クリエイティブな人たちための革新を支援しているのですか?

私たちのチームは、アドビのAI/MLによる製品のイノベーションの最前線にいます。働くには本当にエキサイティングな場所であり、他の何かと交換するなんてことは想像できません。私たちが行っていることの中には、膨大な量の調査があります。私たちには多くの研究や実験を行う自由があり、学んだすべてを素晴らしい製品に詰めこんで、人々が創造する力を強化するのです。

私たちのチームが現在デザインしているものが、人々がアドビ製品を利用し働く姿を建設的な方向に変える役に立つことを願っています。それは、達成できることに対する基準を徐々に引き上げ、標準を再定義し、次世代のクリエイティブの進歩を推し進めるものになるでしょう。

この記事はAdobe Sensei Stories: Meet Andrei Stefan, the Product Manager Using Design to Channel AI and ML Tech into Useful Solutions for Creatives(著者:Patrick Faller)の抄訳です