積極的に使いたいAdobe Fonts

皆さん、Adobe Fontsをお使いでしょうか? Typekitという名称でスタートしたこのサービスですが、2018年10月より、Adobe Fontsという名称に変更となり、フォントの使用制限等も大きく緩和されました。筆者は積極的に使用していますが、まだまだお使いでない方も多くいらっしゃるようなので、今回はAdobe Fontsのメリットについて記述してみたいと思います。

Adobe Fontsのアクティベート

ご存知のように、Adobe Fontsとは、Creative Cloudメンバーが使用できるフォントのサービスで、2019年9月末現在、15,000以上の欧文フォントと206の和文フォントが使用可能です。以前は、100書体までと、アクティベート(同期)できるフォント数に制限がかかっていましたが、今では無制限で使用できます。とくに、欧文フォントはかなりの数が用意されているので、筆者も最近は積極的に使用しています。インストールする手間もなく、管理も非常に楽ですので、皆さんも積極的に使用されることをお勧めします。

ただし、一部のプランでは基本ライブラリ(特定のフォントを選択して利用できるライブラリ)しか使用できませんので注意してください。詳細はこちらを参照してください。https://helpx.adobe.com/jp/fonts/system-subscription-requirements.html

では、Adobe Fontsからフォントをアクティベートしてみましょう。CCデスクトップアプリを起動させ、左側のリストから[フォント]をクリックします。なお、2019年10月中旬より、CCデスクトップアプリのUI(ユーザーインターフェイス)が順次、新しいものに変更されています。

すると、ブラウザが起動し、Adobe Fontsのサイトが表示されます。[デフォルトモード]を選択すると欧文フォントが、[日本語モード]を選択すると和文フォントが表示されます。なお、各Adobe製品の[フォント]パネルからもAdobe Fonts内のフォントを検索できますが、ブラウザから実行した方が見やすいのでお勧めです。

[デフォルトモード]を選択した状態。

[日本語モード]を選択した状態。

ここに表示されたフォントで使用したいものをアクティベートすれば良いのですが、数が多いので、目的に応じて絞り込むと良いでしょう。ここでは欧文フォントを例に、左側に表示された[フィルター]を指定して絞り込んでみます。[分類]では[Sans Serif]や[Serif]といったようにフォントの種類に応じて絞り込みが可能です。また、[おすすめ]や[書体の属性]では目的やウエイト等で絞り込みができます。なお、[フィルター]が表示されていない場合は[フィルターを表示]をクリックします。

図は、[分類]に[Sans Serif]、[書体の属性]の[太さ]に一番太いものを選択した結果。

なお、[表示]には[リスト表示]あるいは[グリッド表示]のいずれかを指定でき、[サンプルテキスト]にも好きなものを指定できます。ちなみに[テキストを自由に入力してください]を選択すると、フィールドに直接入力したテキストでサンプル表示が可能です。さらに[テキストサイズ]も指定できます。

また、[お勧め][名前][最新]のいずれかで並べ替えも可能です。

使用したいフォントがみつかったら[ファミリーを表示]ボタンをクリックします。ここでは「Cora」をクリックしました。

「Cora」のファミリーすべてが表示されます。ファミリーすべてをアクティベートする場合は、右上に表示される[フォントをアクティベート]をオンに、ウエイト単位でアクティベートする場合は、目的のウエイトのみアクティベートします。これで、指定したフォントが自動的に自分のマシンにアクティベート(同期)されます。

すべてのウエイトをアクティベートした状態。

Adobe製品のフォントメニューを見てみると、アクティベートしたフォントが使用可能なのが分かります。なお、フォントメニューで雲のアイコンが表示されているのがAdobe Fontsからアクティベートしたフォントです。また、[フィルター]の雲のアイコンをアクティブにすることで、Adobe Fontsのフォントのみを表示させることも可能です。

ちなみに、アクティベートしたフォントはAdobe製品だけでなく、自分のマシンにインストールされた他のアプリケーションでも使用することが可能です。ただし、通常のフォントのように[ライブラリ]のフォントフォルダーにインストールされるわけではなく、どこにインストールされたかが分からないようになっています。

Adobe Fontsはパッケージされない

IllustratorやInDesignには[パッケージ]機能が搭載されており、パッケージを実行すると、ドキュメントで使用している欧文フォントと(Adobeのフォントに限り)和文フォントが収集されます。しかし、Adobe Fontsからアクティベートしたフォントは収集されませんので注意してください。とはいえ、データの入稿先がCreative Cloudメンバーであれば、ドキュメントを開いた際に図のようなアラートが表示され、[アクティベート]ボタンをクリックすれば自動的にフォントを同期してくれるので問題ありません。

ただし、入稿先がネットへの接続を許可していない環境であったり、特別なライセンスプログラムでAdobe Fontsが使用できないCreative Cloudを使用している場合には問題が起きてしまうので、PDFで入稿するなどの対処が必要となります。

似たフォントをアクティベートする

例えば、製品や印刷物にプリントされたフォントと同じフォントを使用したいと思ったことはないでしょうか。パッと見て、フォント名が分かれば良いのですが、なかなか分からないケースも多いと思います。そのような場合は、Adobe Fontsで似たフォントを検索してアクティベートすることができます。
ブラウザでAdobe Fontsのページを表示させ、カメラのアイコンをクリックします。

フォント名を調べたい画像ファイルを指定すると読み込まれるので、ハンドルをドラッグして読み込む範囲を指定します。

[次のステップ]をクリックしてテキストを確認します。認識されたスペルが間違っていたら修正して[次のステップ]をクリックします。

画像内のフォントに似たフォントをAdobe Fonts内からリストアップしてくれるので、必要に応じてフォントをアクティベートして使用します。なお、リストアップできるのは欧文フォントのみで、現時点で和文フォントには対応していません。

アクティベートしたフォントをディアクティベートする

自分がアクティベートしたフォントをディアクティベート(同期解除)したい場合には、CCデスクトップアプリの右上に表示されている[Adobe Fonts]アイコンをクリックし、続けて[フォントを管理]をクリックします(あるいは、Adobe Fontsのページの右上に表示される[My Adobe Fonts]をクリックしてもかまいません)。なお、あまり多くのフォントをアクティベートしていると、パフォーマンスに影響するので、普段使用しないフォントはディアクティベートしておくことをお勧めします。

ブラウザが起動し、自分がアクティベートしているフォントの一覧が表示されます。ここで、目的のフォントをディアクティベートすれば、自分のマシンから自動的にフォントが削除されます。

なお、[フォントを管理]の項目ではアクティベートした日時でのフィルタリングもできるので、目的に応じて切り替えると便利です。

また、一度ディアクティベートしたフォントを、再度アクティベートしたい場合は[以前アクティブだったフォント]から探すと良いでしょう。過去12ヶ月間にディアクティベートされたフォントがリストされます。

Webフォントとして使用する

Adobe Fontsのフォントは、デスクトップアプリで使用できるだけでなく、Webフォントとしても使用が可能です。まず、Adobe FontsのサイトでWebフォントとして使用したいフォントファミリーを開き、[Webプロジェクトに追加]ボタンをクリックします。もちろん、ファミリー内で使用したいフォントのみ[Webプロジェクトに追加]を実行してもかまいません。

[Webプロジェクトにフォントを追加]ダイアログが表示されるので、[+新規プロジェクトを作成]を選択して、名前を入力します。もちろん、既存のプロジェクトを選択して、そのプロジェクトにフォントを追加してもかまいません。

プロジェクトに含めるフォントをセレクトしたら、[作成]ボタンをクリックします。

Webサイトにフォントを読み込むための埋め込みコードが表示されるので、コピーして[終了]ボタンをクリックします。あとは、埋め込みコードをWebサイトの<head>タグに追加すればOKです。

なお、[プロジェクトを編集]ボタンをクリックすると、プロジェクトに含めるフォントの太さとスタイルを変更したり、フォントファミリーを削除することもできます。また、文字セットを変更することにより、プロジェクトでサポートする言語を指定することもできます。

なお、東アジアのフォントを提供する場合は、ダイナミックサブセットを指定する必要があります。詳細は以下のページをご覧下さい。
https://helpx.adobe.com/jp/fonts/using/add-fonts-website.html