ソニー銀行、日立システムズのDocument Cloud成功事例に学ぶ – BEYONDレポート(2)

2019年10月2日に東京・天王洲で開催された「BEYOND ~Adobe Document Cloud Business Conference~」。昨今大きな経営課題となっているワークプロセスの変革や、企業競争力の強化・向上について、Adobe Document Cloudがどのように貢献するのか、その知見を共有するイベントです。
第2部では、ソニー銀行株式会社、そして株式会社日立システムズによる導入事例を通じ、アドビが実現するビジネス変革の効果や、大規模企業へのサブスクリプション型クラウドサービスDocument Cloud導入・運用のコツを紹介しました。

第1部と第2部の休憩時間にデモを見学する参加者たち

Adobe Signでローン契約完了期間を1日未満に

壇上に登場したのは、ソニー銀行 ローン業務部副部長兼業務企画課長の重田浩治氏です。ソニー銀行は2001年に設立されたインターネット専業銀行で、主力商品は住宅ローンと外貨預金。2019年6月に同社の主軸である住宅ローンの電子契約サービスにアドビのクラウドサイン「Adobe Sign」を導入したそうです。

ソニー銀行 ローン業務部副部長兼業務企画課長の重田浩治氏

その背景には、マイナス金利政策の影響、LINEなど新しい個人向け融資サービスの参入があり、「金融事業のビジネス環境は年々非常に厳しくなっています」(重田氏)といいます。加えて住宅ローン業務は用意するべき書類が非常に多く、間接業務も多くなり、規模を大きくしても収益に直結しにくいという特徴がありました。

今回Adobe Signを導入したことで、契約者側で準備しなければならなかった実印や印鑑証明などの書類が不要になり、郵送の手間もなくなりました。これにより、これまで平均17〜 18日かかっていた契約が22時間以内に完了、書類の不備による差し戻しもなくなったほか、契約者が負担していた印紙代最大6万円も不要になったことで、「利便性の向上、商品力の強化、そして現場の生産性も向上と、3つの大きな効果がありました」と重田氏は説明します。
生産性向上につながったのは、Adobe Signがオープン性高く、さまざまな業務システムと連携できるため。

ソニー銀行では営業現場でSalesforceを活用しており、Adobe Signと連携したことで、営業担当はSalesforceの画面上で自分の顧客の契約プロセスの状況を一目で把握できます。「以前は書類をファイルボックスから引っ張り出して担当者がチェックをしていたのですが、その手間がなくなったことで、本業に注力できるようになりました」(重田氏)

最後に重田氏は「業務プロセスを電子化するには、業務変革とセットで考えなくてはいけません。紙をなくすだけでは何も変わらず、むしろ紙がないと業務が成り立たなくなるので、業務自体を変える必要があります。ここを乗り越えると導入後の果実は大きく、本業に集中できるようになります」と述べ、講演を終えました。

Document Cloudエンタープライズ版で大規模運用を実現した日立システムズ

続いて登壇したのは、日立システムズ ビジネスクラウドサービス事業グループ ビジネスクラウドサービス営業統括本部 第五営業本部 第一営業部部長 吉末まさる氏です。

日立システムズ ビジネスクラウドサービス事業グループ ビジネスクラウドサービス営業統括本部 第五営業本部 第一営業部部長 吉末まさる氏

同社では2017年にAdobe Document Cloudを導入し、クリエイターや制作現場のコラボレーションに活用しているとのこと。従来からクリエイターから「Document Cloudでファイル共有やライブラリを使いたい」というニーズが上がっていたのですが、一方で「個人ID運用により、会社の管理外のクラウドストレージと機密共有ができてしまうという懸念や、クラウドサービス自体のリスクを検証できないという課題がありました」と吉末氏は説明します。
そんな同社が採用したのは、サブスクリプション型クラウドサービスDocument Cloudのエンタープライズ版でした。エンタープライズ版は、Federated IDやシングルサインオンに対応しており、同社では社内の認証基盤とDocument Cloudを連携することで、ライセンス管理とユーザー管理の両方を実現したのです。

吉末氏は「Federated IDで、社内認証ができないとDocument Cloudの利用もできないという仕組みを整え、管理外の知らないユーザーが発生することを防ぎました」と話します。また利用に当たっては、日立グループが定めているパブリッククラウドの利用ガイドラインに基づきリスクを洗い出したうえで、ユーザーに制約事項を啓蒙することで、リスク管理に務めました。また、吉末氏の部門が日立グループ全体の運用担当チームとして、Document Cloudの加入申請や利用申請を受け付け、監視することで、正しい運用体制を築いています。ユーザーは、グループワークを効率化でき、また最新バージョンの適用が容易になるなど、さまざまな効果をもたらしました。

使い方のデモやハンズオンから運用のコツまで幅広く紹介

事例発表の後は、アートディレクターでデジタルツールのエバンジェリストの垣田彩水氏によるAcrobatのデモンストレーションを展開。

Acrobatの使い方を説明する垣田彩水氏

さらにアドビのプロダクトスペシャリスト永田敦子による大規模運用のノウハウやライセンス体系の紹介、インストラクターの大倉壽子による使い方の実践ハンズオンなど、利用者から運用管理者まで幅広いニーズに応えるDocument Cloudのイベントが終了しました。