企業がいますぐ動画内製化に取り組むべき理由 第1回 動画内製化(インハウス動画制作)の背景とメリットについて #PremierePro #PremiereRush

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企業がいますぐ動画内製化に取り組むべき理由

みなさん、こんにちは。株式会社火燵の安部(Twitter: @kotatsu_kun)です。本日から「企業が動画内製化に取り組むべき理由」と題して6回に分けてブログを公開していきます。実は今、動画内製化(インハウス動画制作)を検討している企業が凄い勢いで増えています。その中で、私はかなり早い段階から動画内製化を支援するサービスを立ち上げてコンサルティングを行ってきました。大企業から中小企業まで様々な会社の動画内製化を支援する中で上手く行くパターンと行かないパターンには少なからず法則性がある事に気がつきました。そんな私の経験から皆さんの動画内製化が失敗しないように、スムーズに動画制作チームが立ち上がるように、そして何よりも動画制作を楽しんで貰えるようにブログにまとめて行こうと思います。

動画内製化(インハウス動画制作)増加の背景

動画内製化(インハウス動画制作)をする企業がなぜ増えているのか背景を上げてみました。5Gの到来、撮影から拡散までの作業の一般化、他社との優位性確保など動画のビジネス活用が当たり前になってきています。

(1)5G到来

4Gが一般化し、スマホでの動画視聴が日常になった昨今。2020年には5G(第5世代移動通信)が開始されます。統計データなどを見ると動画の視聴者や、動画制作に携わる人が増え続けています。(*1、*2、*3)動画広告出稿費用は今後も更に増え続ける見通し(*4)で、消費者の動画視聴や企業の利活用も増え続けて行くことが予想されます。

(2)撮影からSNS拡散まで無料の時代

スマホさえ持っていれば、撮影、編集、SNSや動画共有サイトへのアップロード、SNSでの拡散まで全て無料でできる時代になっています。動画の視聴や撮影は現代人にとって当たり前の行為です。動画制作のコモディティ化により、高機能になったスマホやアプリを使い、よりクオリティの高い動画作成に挑戦する人が増えています。

(3)企業文化と環境の変化

Googleの検索結果には動画が表示されるようになっています。動画SEOと呼ばれています。企業は動画SEOを使いこなすことによって、これまで以上にビジネスを成長させることが可能です。動画制作講座や動画活用セミナーが多く開催されるようになり自社が競合よりも優位に立つには他社よりも早く作る方が有利です。誰でも動画の撮影経験がある時代ですから、簡単な動画であれば当然、動画内製化を検討する事になります。

動画内製化(インハウス動画制作)を行うメリット

動画内製化を行うメリットについてお伝えしたいと思います。メリットは長期的なものもあります。動画内製化を行う企業によりますが、多くの場合は試しにやってみてダメならやめるといスタンスで始める事が多いようです。

(1)情報機密性を保てる

動画制作会社の仕事の受け方は通常、2つの方法があります。1つは代理店経由、もう一つは直接取引です。トップシークレットの仕事の場合はまず、秘密保持契約を結ぶ事になります。携わる人数が少ないほど情報が漏れる可能性が低くなります。新商品や新事業の動画制作を検討される場合は、社内で制作を行った方が情報機密性は高くなります。

(2)コスト削減

例えば、そこまでクオリティを必要としないマニュアル動画の制作を外注し100万円かかるとしましょう。発注側の担当者1人の給与を仮に30万円としましょう。外注だと、外注費とスタッフ給与、計130万円のコストが発生します。動画内製化の場合は外注費の発生はありませんから、自社スタッフの給与のみでコストを削減しながら動画が完成する事になります。もちろんクリエイティビティが高い動画はプロに頼んだ方が仕上がりが早いかも知れません。しかし、これからの動画時代を生き残っていくには、ノウハウやスキルが見えない資産になる事も考えなくてはなりません。

(3)時間短縮

ほとんどの動画制作会社が、企業から発注があった順番で撮影、編集を行います。多少の前後はあると思いますが基本的に納期は外注業者が抱えている仕事量や業者とのコミュニケーションの量に依存します。クオリティーが高く、こだわりの映像を制作する場合は打ち合わせや、チェックVTRの提出に1ヶ月以上かけて行う場合もあります。また、人気の制作会社やクリエイターは直ぐに予定が埋まってしまいます。時間をかけてクオリティー重視の制作であれば外部に頼んだ方が良い場合もあります。ただ、自分たちの想い通りの動画をいかに早く他社よりも作りたいと思うならば必然的に動画内製化という選択肢になります。

(4)スキルアップによる事業の成長

もし、社内にllustratorやPhotoshopのファイルがある場合は、そのファイルをアニメーションさせるだけで簡単な広告動画を作る事が可能です。そう言ったファイルをお持ちでない方はAdobe Stockがお勧めです。プロが作った数百万点に及ぶロイヤリティフリー素材を使って直ぐに動画を作る事でできます。テンプレートも充実しており、デザイン力や経験がなくてもプロ級の動画を素早く簡単に作る事ができます。また動画内製化でスキルが身につけば、ノウハウや実績が貯まります。そういったデータが貯まれば、さらに動画の研究を行い新しい事業の方向性も見えてくるのではないでしょうか。

(5)社内コミュニケーションの円滑化

ネット通販の会社に動画内製化チームができる時は、広告チームがベースになる事が多いです。「この商品はこの角度が良い。何故なら画像広告ではこの角度が一番成果があった。」などの情報は広告チームが持っています。実店舗や現場で収集するデータリサーチは外部の人が入らない事で素早く、スムーズに行えるようです。また動画内製化チームが社内にできた企業の多くは社内のコミュニケーションの変化を実感しているようです。社内からこんな動画が欲しいなどのリクエストが増え、お試し制作や方向転換依頼なども気兼ねなく伝える事ができるそうです。

(6)制作の楽しみを得る事でモチベーションアップ

動画内製化に限らずに、動画制作は基本的に楽しいです。ものづくりが好きな人は基本的に動画を作るのも楽しいと実感してもらえるはずです。そう言える根拠は、私が動画内製化支援のコンサルティングで入った会社のスタッフの方々の100%が「動画を作るのは楽しい」と答えているからです。皆さん、編集は真剣に行う事がほとんどですが、撮影時間は笑顔で動画制作を楽しみながら過ごしています。今までデスクワークのみだった方は撮影で席を立ち、動くのが気分転換にもなるようです。また手に職としてスキルが身につくので担当されるスタッフさんのモチベーションも非常に高いことが多く、結果的に離職率低下にも繋がっているようです。

いかがでしたでしょうか?人手がいない、ハードルが高いなど動画内製化に踏み込めないといった意見も多いですが今一度、動画内製化が可能になった時のビジネスのインパクトをお考えいただき検討してみてください。第2回は「動画内製化の導入における課題と解決策」についてお伝えしていきます。

アドビが勧める動画内製化についてもぜひご覧ください。

https://www.adobe.com/jp/creativecloud/business/teams/video-work.html

*本記事は以下の出典元の情報を参考に執筆しております。

<出典一覧>

(*1)http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h28/html/nc132230.html

(*2)http://www.soumu.go.jp/main_content/000541063.pdf

(*3)https://www.meti.go.jp/press/2018/03/20190326003/20190326003-4.pdf

(*4)https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=22540

執筆者プロフィール

株式会社火燵 代表取締役 安部貴士(Twitter: @kotatsu_kun)

https://kotatsu.info

香川短期大学デザインアートコース非常勤講師(映像制作)

上場企業の動画マーケティングや動画内製化・インハウスビデオのコンサルティングを手掛ける。

総務省四国総合通信局登録の映像制作講師。全国の大学や商工会議所で動画制作やマーケティングの講演も行う。