InDesign 2020がリリースされました! #InDesign #AdobeMAX

2019年11月4日(US時間)、InDesign 2020がリリースされました。新機能の追加をはじめ、多くのバグフィックスが行なわれています。今回は、筆者の目線でInDesign 2020のレポートをしたいと思います。

InDesign 2020の新機能

まずは、新機能について見ていきましょう。今回のバージョンでは、大きな目玉となるような新機能はありませんが、使い勝手を向上させる細かな機能がいくつか追加されており、どちらかと言えば、新機能よりもバグフィックス(問題点の改善)に力を入れたバージョンと言っても良いかもしれません。

バリアブルフォントのサポート

既にIllustratorでは対応していたバリアブルフォント(可変フォント)ですが、InDesign 2020で正式に対応しました。バリアブルフォントを指定したテキストを選択すると、[フォント]パネルに[バリアブル]ボタンが表示され、クリックすることで各パラメーターが指定可能になります。なお、OpenType SVGフォントについては、既にCC 2019で対応しています。

バリアブルフォントの[Weight]と[Eidth]を指定したケース。

バリアブルフォント(可変フォント)に関する詳細は、こちらも参照してください。
https://helpx.adobe.com/jp/indesign/using/whats-new/2020.html#variable_fonts

SVGのインポート

SVG形式およびSVGZ形式の配置が可能となりました。今後、SVG形式の使用は増えていくと思われますので、この対応はありがたいと言えるでしょう。なお、HTMLおよびePubへは、Native Animation(SMIL)もサポートされます。

CC 2019までは、SVGファイルは配置できませんでした。

SVGファイルの読み込みに関する詳細は、こちらも参照してください。
https://helpx.adobe.com/jp/indesign/using/import-svg-files.html

段間罫線への対応

InDesign 2020の新機能の中でもっとも筆者が嬉しかった機能強化が、段間罫線への対応です。その名のとおり、段と段の間に罫線を作成してくれる機能です(新聞や雑誌等でよく見られる罫線ですよね)。設定は[テキストフレーム設定]ダイアログからおこない、プレーンテキストフレームとフレームグリッドのどちらでも使用可能です。線の太さやカラー、位置の調整が可能です。もちろん、オブジェクトスタイルとしても設定可能です。ただし、バラバラの異なるテキストフレーム間に罫線を引くことはできません。

[テキストフレーム設定]ダイアログの[段間罫線]で設定をおこなう。

段間罫線に関する詳細は、こちらも参照してください。
https://helpx.adobe.com/jp/indesign/using/set-column-rules.html

データ結合の機能強化

データ結合で[結合ドキュメントを作成]を実行した際に、[画像の配置]の[サイズ調整]に[既存のものを使用]オプションが追加されました。これにより、個々のグラフィックフレームの[サイズ調整]オプションを保持した状態でデータ結合が可能になります。なお、区切り文字として「タブ」と「カンマ」に加えて、「セミコロン(;)」もサポートされるようになりました。

[結合ドキュメントを作成]ダイアログの[オプション]タブ。[サイズ調整]に[既存のものを使用]が追加された。

データ結合の機能強化に関する詳細は、こちらも参照してください。
https://helpx.adobe.com/jp/indesign/using/whats-new/2020.html#data_merge

Creative Cloud検索

InDesignのホーム画面では、検索バーが上部中央に表示されるようになりました。任意のワードで検索すると、ウィンドウの表示が変わり、作業ドキュメントをはじめ、ヘルプやAdobe Stock等、関連するコンテンツが表示されます。なお、ホーム画面は、アプリケーションバーの左端にある[ホーム]ボタンをクリックすることでも表示できます。

InDesignのホーム画面で検索を実行した状態。関連する内容が表示される。

似た画像を検索

InDesignドキュメントに配置した画像に似た画像を、Adobe Stockから検索可能になりました。これまでも[CCライブラリ]パネル上で検索は可能でしたが、目的の画像を選択した状態でダイレクトに検索が可能になっています。

画像を選択した状態で右クリックして[似た画像を検索]を実行すると、[CCライブラリ]パネル上にAdobe Stock内の似た画像が表示される。

似た画像を検索に関する詳細は、こちらも参照してください。
https://helpx.adobe.com/jp/indesign/using/using-adobe-stock-in-indesign.html#find_similar

欧文スペルチェックの強化

[欧文スペルチェック]を実行した際、[検索と置換]ダイアログのように、[順方向]と[逆方向]が選べるようになりました。

InDesign 2020の[欧文スペルチェック]ダイアログ。

欧文スペルチェックに関する詳細は、こちらも参照してください。
https://helpx.adobe.com/jp/indesign/using/using-adobe-stock-in-indesign.html#find_similar

ショートカットキーの強化

キーボードにテンキーがないノート等のマシンを使用している場合でも、段落スタイル/文字スタイル/オブジェクトスタイル/表スタイル/セルスタイルに対して、ショートカットキーの設定が可能になりました。ノートPCを使用している方には、嬉しい機能向上ではないでしょうか。

図は、MacBook Proでファンクション(Fn)キーを押しながらoptionキーと数字キーの「1」を押してショートカットを設定したもの。

テキスト関連のパフォーマンスの向上

InDesignのパフォーマンスが向上しました。とくに、テキストの入力や作業時に、その効果を実感できるはずです。パフォーマンスの向上は、非常に嬉しい改善点ですよね。

東南アジア言語のテキストエンジンサポート

日本語組版ではあまり関係ありませんが、新しいテキストエンジン「Harfbuzz」が多言語対応コンポーザーに追加されました。このエンジンは、東南アジア言語(タイ語、ビルマ語、クメール、ラオス語およびシンハラ語)の組版で使用します。

東南アジア言語のテキストエンジンサポートに関する詳細は、こちらも参照してください。
https://helpx.adobe.com/jp/indesign/using/whats-new/2020.html#sea_support

CC 2020で改善された問題点

ここ最近のアップデートでは、数多くのバグフィックスがなされています。バグフィックスは、あまり大きな声でアナウンスされないため気付きにくいですが、ユーザーからの声が反映されやすくなっており、昔よりも問題点の改善が積極的に行なわれるようになりました。とても嬉しい傾向ですよね。また、意味の通じにくい訳がされた機能名やツール名も、かなりの見直しがなされています。これもユーザーからの声が反映されたおかげです。ここでは、いくつかの改善された機能をご紹介します。

正確な角丸の描画が可能に

InDesign 2020のバージョンアップで筆者が一番嬉しかったのが、正確な角丸が描画可能になったことです。InDesign日本語版が登場してから約19年になりますが、リリース当初から、設定した値できちんとした角丸が描画されない(いびつな角丸になってしまう)という問題がありました。この問題がやっと解決され、本来あるべき形の角丸が描画可能になりました。なお、以前のバージョンで作成したドキュメントをInDesign 2020で開くと、いびつな角丸はキレイな角丸として表示されます。問題になるケースはほぼないと思いますが、念のため、注意して下さい。

縦中横を適用したテキストへの下線

これまで、下線を適用しても縦中横を適用したテキストへは下線が適用されないという問題がありました。この問題もInDesign 2020で改善されました。

なお、その他にもクラッシュやフリーズ等、InDesignの多くの問題点が改善されているそうです。個人的にこの流れは歓迎したいと思っており、今後もバグフィックスと動作スピードの改善、使い勝手の向上を目指し、InDesignがより良い製品になることを願っています。