写真を選ぶ目が変わる。フォトリテラシー基礎講座 #7 ー Adobe Stockを使うメリットや有効活用するための心得 #AdobeStock

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写真を選ぶ目が変わる! フォトリテラシー基礎講座

雑誌やタイアップ広告などを数多く撮影し、現在は広告写真を手がける写真家・善本喜一郎。2008年より宣伝会議の「編集・ライター養成講座」や「フォトディレクション基礎講座」で講師を務め、編集者、ライター、企業の広報担当者などに向けて「写真を撮るとは、ビジネスシーンに求められている写真とは」をテーマに、その方法論を経験に基づき教えています。

このブログでは、「数あるストックフォトの中で効果的な一枚を選ぶには?」をテーマに、みなさんのフォトリテラシー(=写真を読み解く力)が上がるような基礎知識をお伝えします。カメラマンの視点を知ることで、写真素材を選ぶ目は確実に変わるでしょう。

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1. 写真の”権利”について意識していますか?

みなさんはこれまで、インターネット上で拾った写真素材を深く考えずに使ってしまったことはありませんか? たとえそれが外部の人の目に触れない社内資料であったとしても、「著作権の侵害にならないか」という危機管理意識を持てているでしょうか。

いまの時代、インターネットで検索するとたくさんの写真素材が出てきます。「すべて無料のフリー素材」「商用利用OK」と謳っているWebサイトやストックフォトサービスも数多く存在します。 しかし、きちんとした管理体制で運営されているサービスがある一方で、悪意を持って他人の写真を流用しているサイトもあるので注意が必要です。 過去には、自社のホームページに提供元不明の写真素材を載せていた企業が、訴訟を起こされたケースもあります。「フリー素材」としてアップされていたものをよく確認せずに使ったところ、実際はストックフォト販売会社が著作権を有する写真素材だったという事例です。https://amana.jp/news/detail_187.html

悪用されていた背景を知らなかったとしても、無断で使用した側は責任を取る必要があります。
そもそも、提供元不明のものを安易に利用してしまう姿勢が問題です。
このように、無料のフリー素材は一見便利そうに思えても、予期せぬトラブルが起きる可能性が高くリスクを伴うのです。

2. 安全性を保ちながらコストカットするために

Adobe Stockをはじめとする有料のストックフォトサービスは、高品質な写真が揃っているだけでなく、写真を使用する権利(ライセンス)を取得できるところにもメリットがあります。

使用料を支払うことによって利用許諾を得られるので、より安全に使うことができます(ただし、著作権は制作者にあるので、ロゴやトレードマークとしては使用不可)有効期限もなく、一度ライセンスを取得すればどこからでも簡単に利用できます。

また、プロジェクトの予算が限られている場合、ストックフォトの中でイメージに合ったものを見つけられれば上手くコストカットできます。

モデルを使う場合は出演料を支払うので、人数が増えれば増えるほど費用がかかります。さらに人物撮影時にはモデルリリース(肖像権の利用許諾書)の取り交わしが必要になり、相手が有名人である場合はパブリシティ権(タレント等の氏名・肖像に関する権利)なども発生するので、撮った写真を使用できるのは一定期間に限られてしまいます。そのため、モデルを使う際はストックフォトを利用した方が費用を安く抑えられます。

同じように、海外の風景写真などを使いたい場合も、遠征費や時間をかけずに手に入れられるので便利です。急な仕事の依頼を受けた場合でも、簡単に素材を揃えられるので納期に間に合わせることができます。こうした面で、Adobe Stockは安全性が高く費用対効果も高いのです。

3. 誤解を招かない表現をするために

企業や店舗紹介のためのイメージ写真を使う場合、気をつけなければならないことがあります。それは見る側に「誤解させない」ということです。

ストックフォトは見た目が美しく、そしてドラマチックに切り取られているものが多くあります。そのイメージに惹かれて、あまりにも現実とかけ離れた写真素材を選んでしまうと、実際に足を運んでくれた人がギャップを感じてしまうので注意です。

みなさんも、ホテルやレストレンなどへ写真に期待して行ってみたけれど、「実際は違った」「誇張表現だった」とがっかりしたことはありませんか? 雰囲気の良い写真をフックにすれば、一度はお客さんが来てくれるかもしれませんが、騙されたという印象を与えてしまうと逆効果です。信頼を失くさないためにも、自分がお客さんだったらどう感じるか? に留意して写真素材を選ぶことをお勧めします。最終的には、この連載の中で何度もお伝えした「ターゲット」や「目的」を意識することが大切です。

4. プレミアムコレクションはアイデアの宝庫

Adobe Stockにはプレミアムコレクションがあり、トップクリエイターの作品の中から厳選された写真が公開されています。多様な物の見方を持つグローバルなクリエイターが集結しているので、机の上で考えていただけでは思い浮かばなかった一枚が見つかるかもしれません。

世界中の価値観に触れることができ、刺激を受けるので知見が広がります。カメラマンにとっても、勉強になる「アイデアの宝庫」と言えるでしょう。

みなさんは「セレンディピティ」という言葉を聞いたことはありますか?「偶然の発見」という意味の造語です。

たとえば欲しい本があるとき、インターネットで注文すればワンクリックで手に入るので便利です。しかし、書店に足を伸ばしてみるからこそ、面白い偶然が起きることってありますよね。

目的とは別の本が目に入り、何となく手に取ってみると、そこにはずっと悩んでいたことのヒントや正解が書かれていたりするものです。

同じように、プレミアムコレクションを眺めていると、インスピレーションが降りてきたりアイデアが湧いてきたりするかもしれません。写真素材を探すことはもちろん、次のビジネスへのヒントを得たいときなどにも、ぜひ活用してみてください。

7回に渡って連載してきた「フォトリテラシー基礎講座」いかがでしたでしょうか? またどこかでお会いできること楽しみにしております。写真の楽しさ、面白さを伝えるワークショップなども時々開催しております。

また、宣伝会議の「編集・ライター養成講座」や「フォトディレクション基礎講座」で、編集者、ライター、企業の広報担当者などに向けて「写真を撮るとは、ビジネスシーンに求められている写真とは」をテーマに、その方法論を経験に基づき教えています。ご興味ありましたら是非ともお問い合わせください。

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いかがでしたか? Adobe Stockでは、3D素材を含め、写真やイラストを中心とした「通常アセット」を毎月10枚利用いただける年間サブスクリプションが、1ヵ月無料となるキャンペーンを引き続き継続中です。PhotoshopIllustratorなどいつものアプリから直接検索でき、高解像度画像への差し替えも一発でできるため、高い作業効率を実現できます。まだの方はこの機会にぜひお試しください。また、Adobe Stockで作品販売したい方は、こちらをご覧ください。