Adobe XDをプロジェクトチームとつなぐ「Cloud Content API」の公開
昨年のAdobe MAX 2018開催時、アドビはAdobe XDのプラグインAPIが利用可能になったことを発表しました。それは、Adobe XDに拡張性を持たせる試みの第一歩でした。プラグインAPIは、デザインツールとしてのAdobe XDの境界を広げようとするプラグイン開発者のために、新しいエコシステムをつくり出しました。今年のMAXで公開されたXDの新しいバージョン24でもプラグインに対するサポートはさらに強化されています。同時に、利用可能なプラグインは毎週のように増え続けています。
そして、今年のMAXの更新で、Adobe XDの拡張性はさらに一歩先に進みました。
XDのCloud Content APIが利用可能になったことを発表できることにはとても興奮しています。このAPIは、XDでつくられたデザインを、これまでは持ち込めなかった環境に持ち込むことができます。全く新しいレベルの統合が可能になるのです。
XDでつくられたデザインをチームとつなぐ
XD Cloud Content APIは、XDでつくられたデザインをプロジェクトの関係者やクライアントが利用する環境、すなわちプロジェクト管理ツール、データ管理サービス、コミュニケーションアプリ等と連携させるためのサービスAPIです。
昨年から利用できるようになっているプラグインは、デザイナーがXDの中でできることをもっと増やすための存在です。今回新しく追加されたクラウドコンテンツは、チームのデザイナー以外のメンバーが作業を行う場所に、XDのデザインを統合するためのサービスです。
例として、常に重要な関係であるデザイナーと開発者の場合を考えてみましょう。両者をターゲットにした優れたツールは存在しますが、デザインを渡すときや協業するときには、しばしばちょっとした衝突や行き違いがあるものです。XD Cloud Content APIは、そうした場における隔たりを埋めるのに役立つ、制作物についての豊かで価値のある情報を提供します。
ソフトウェア開発ツールのJira Softwareは、すでにXD Cloud Content APIを利用して、デザイナーと開発者をつないでいます。XDと統合されたおかげで、Jiraのユーザーは仕事に必要な情報を素早く入手することができるようになっています。例えば、アートボード、デザインスペック、タイムスタンプといった情報です。この統合により、開発者は使い慣れた環境の中でデザインに関する情報を得ることができ、プロジェクトを効率的に進められます。
より詳しくはこの動画をご覧ください。
XD Cloud Content APIを活用してXDの新しい拡張性を利用することは、誰でもすぐに始められます。開発している製品やサービスにXDでつくったデザインを取り込みましょう。
どのように動作するか
Adobe XDの統合を始めるために必要なものは、XDから共有されたドキュメントのリンクと、アドビのサービスへのAPIの呼び出しだけです。呼ばれたAPIはJSONデータを返します。そこには、ドキュメントのメタデータやアートボードのサムネイルなどが含まれています。
基本的には、APIの呼び出しは以下のコマンドラインのように単純なものです。
$ curl -H "x-api-key: YOUR-API-KEY"
https://xdce.adobe.io/v2/document/21652643-762a-41c6-5cd9-6342060e8aff-5754
これによりJSONデータを受け取ることができます。そこには、以下のリストを含む、共有されたドキュメントについての様々な情報が含まれています。
- id
- name
- thumbnail
- publisher
- artboardCount
- artboards
- homeArtboardId
- version
- history
- assetID
- includesDevelopmentData
APIの呼び出しを成功させるには、考慮すべきいくつかの条件があります。
- APIキーの入手
- プライベート共有されたドキュメントへのOAuth組み込み(オプション)
それぞれ、以下に説明します。
1. APIキーの入手
XD Cloud Content APIを使ったコミュニケーションを行うためには、リクエストと一緒に送る自分だけのAPIキーが必要になります。キーを入手するには、アドビに連絡して、構築しようとしている機能を少しだけ共有してください。
2020年の後半には、セルフサービスでAPIキーの生成ができるようになる予定です。
2. OAuthの組み込み(オプション)
XD Cloud Content APIは、一般公開されたドキュメントと、プライベート公開されたドキュメントの両方に対応します。一般公開されたドキュメントのみを扱う予定であれば、OAuthは必要ありません。
しかし、招待者を指定して共有されたドキュメントを扱いたいのであれば、Adobe ID用のOAuthの組み込みは必須です。
OAuthの必要性について判断するためのより詳しい情報(英語)がドキュメントに記述されています。
また、初めてAPIを利用する人が始めやすいように準備されたAPIのチュートリアル(英語)が用意されています。
今すぐ始めよう!
APIドキュメントに新しく追加されたXD Cloud Content APIのページを開いて、APIを使ってできることを学んでください。
ドキュメントもAPIも、これから更に進化を続けます。アドビは皆さんからのフィードバックを求めています。質問やリクエストがあれば、是非XDの開発者フォーラムに投稿してください。
APIがどのように使えるのかを実感したい人は、Adobe XDとJira Softwareの統合を試してみてください。
XD Cloud Content APIを開発者の皆さんがどのように使って、XDでのデザインを更に一歩進めようとするのか見ることを楽しみにしています。その道が成功に続くように、皆さんを支援する体制を整えています。
この記事はAdobe XD Cloud Content APIs Are Here(著者:Ash Ryan Arnwine)の抄訳です