iPadのために生まれ変わったPhotoshopと、その開発ストーリー #Photoshop

今月初頭に開催したAdobe MAXでPhotoshop iPad版の最初のバージョンの提供を開始しました。アプリをダウンロードし、さっそく素晴らしい画像をいくつも作成いただいているユーザーの皆さんに、アドビのPhotoshopチームを代表して感謝の意を表します。リリース直後にも関わらず、すでに皆さんの多くが新たな発想でアプリの使い方を工夫し、Photoshop iPad版を作品作りに活用されていることに驚いています。

Photoshop iPad版の現在

私たちは、タッチ操作とモビリティ全盛の現代に、そしてタブレットにあわせて、抜本的に再デザインした新しいユーザーエクスペリエンスとともにPhotoshop iPad版を開発しました。バージョン1.0では、Photoshopで最もよく使われる合成、マスキング、レタッチの各ワークフローを実現しました。ほぼすべてのPhotoshopプロジェクトに、これらの主要タスクが含まれるからです。

私たちはまた、いつでもどこでもPSDファイルを開き、レイヤーを含むドキュメントの確認と編集ができるようにPhotoshop iPad版を開発しました。このアプリは、デスクトップ版Photoshopと同様に、数千ものレイヤーを含むような巨大なPSDファイルもサポートします。アドビの新しいクラウドドキュメント機能により、PSDファイルは自動保存され、Photoshopを使うすべてのデバイス上で共有できます。私たちのゴールは、デスクトップであろうとiPadであろうと、Photoshopを使った制作を、場所を問わず可能にするシームレスなエクスペリエンスを提供することです。

Photoshop iPad版の今後

今回発表した最初のバージョンのPhotoshop iPad版は、このアプリが持つ可能性のごく一部を示すものに過ぎません。私たちは、皆さんすべてのために、最高のモバイルアプリケーションを実現するための長い道のりへの一歩を踏み出したばかりです。私たちの開発プロセスでは、皆さんの体験、フィードバック、視点を常に重視しています。iPad版の開発においても、皆さんからのインプットを真摯に取り入れて、製品の開発計画を立てています。

この記事では、皆さんからのフィードバックに基づいて、開発中であり今後搭載を予定している新機能の一部をご紹介します。

Photoshop iPad版で利用できるフォントについて多くのご質問をいただいています。その利用法について、改めてお知らせします。

iOS上ですべてのAdobe Fontsが利用可能


Photoshop iPad版ではAdobe Fontsをご活用いただけます。無償のiOS版Creative Cloudアプリをお使いであれば1,300種類のフォントをブラウズし、インストールすることができます。Creative Cloudの有償プランのいずれかをお使いの方は、17,000種に及ぶ全フォントがお使いいただけます。iOS版Creative CloudアプリでiPadにインストールしたフォントは、すべて自動的にPhotoshop iPad版でも利用可能になります。iOS版Creative Cloudアプリはこちら(英語)からダウンロードしてください。

iOS版Creative Cloudアプリでフォントをアクティベートする手順についてはこちら(英語)をご覧ください。

2019年内にPhotoshop iPad版に実装予定の機能

被写体を選択


「被写体を選択」機能は、AIおよび機械学習テクノロジーであるAdobe Senseiを活用し、画像内の被写体を自動認識して選択することで、複雑な選択領域作成タスクをスピードアップするものです。Adobe MAXのキーノートセッションでは、搭載前のこの機能をiPad上でプレビュー公開しました。これほどパワフルかつ使いやすい領域選択機能を持つiPadアプリは他にはありません。

クラウドドキュメント

クラウドドキュメントはその処理速度がますます高速化します。新しくなったクラウドドキュメントシステムに保存したドキュメントは、iPad版およびデスクトップ版のPhotoshopのどちらからもアクセス可能な状態であるため、デバイスを横断した作業がシームレスに行えます。Photoshopのクラウドドキュメント形式は、PSDに追加で行われた編集の差分だけを追記保存するように最適化されているため、複数のデバイスを横断したPhotoshopドキュメントの編集が、他のどの方法よりも高速に行えます。例えば、ドキュメント上の1ピクセルだけを編集すると、クラウド上のドキュメントにはその1ピクセル分の情報だけがアップロードされ同期されます。この12月には、クラウドドキュメントのアップロードとダウンロードをさらに迅速にするためのシステム最適化を予定しています。

2020年前半に実装予定の機能

Photoshopならではの高機能な選択ツールが、Photoshop iPad版にも実装されます。

境界線調整ブラシツール


境界線調整ブラシは、Photoshopが装備する各種選択ツールのなかで最も重要なもののひとつです。被写体の毛髪や毛皮などの境界領域にソフトなエッジの選択範囲を作成したい場合、あるいはソフトとハードなエッジが混在する場合など、複雑で難易度の高い選択範囲の作成を可能にします。この機能をiPad版ユーザーに来年お届けできることを楽しみにしています。

トーンカーブと調整レイヤー

トーン補正のためのトーンカーブの追加により、レタッチ能力はさらに高まります。また、調整レイヤー機能をさらに強化し、非破壊型ワークフローがより充実したものとなります。例えば、レベル補正に色調範囲の調整などを追加する予定です。

ブラシの感度とカンバスの回転

新製品であるAdobe Frescoアプリ(こちらからダウンロードできます)と同様の、高度な筆圧感度設定を実装します。また、カンバスの自由な回転も実装予定です。このようにPhotoshop iPad版には、タッチ操作などモバイルデバイス特有の環境に最適化した機能を今後も取り入れていく予定です。

Lightroom連携

写真は実質すべての作品の根幹であり、私たちはLightroomチームと協力してiPad上でのLightroomとPhotoshopのワークフローの連携に取り組んでいます。具体的には、Lightroom iPad版で処理したRAW画像を、iPadに最適化されたワークフローでPhotoshopに取り込み、編集作業にかかれるようになります(Lightroom有償サブスクリプションが必要)。

皆さんからのインプットをお待ちしています

Photoshop iPad版を皆さんにお届けできたことは、私たちにとって大きな喜びです。今後これをどのように進化させていくべきか、ご意見をぜひコミュニティフォーラムfeedback.photoshop.com(英語)を通じてお寄せください。

この記事は2019年11月21日に公開されたPhotoshop Reimagined for iPad: The Journeyの抄訳です。